01 細胞増殖/細胞毒性測定用試薬

Fatty Acid Uptake Assay Kit

Fatty Acid Uptake Assay Kit

脂肪酸取り込み検出キット

  • 脂肪酸取り込み能力を高感度かつ簡便に測定できる
  • 3 ステップの簡便操作
  • Quenching Buffer(同梱)で洗浄不要
  • 製品コード
    UP07  Fatty Acid Uptake Assay Kit
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
100 tests ¥32,000 343-10031

使用回数の目安
1 set あたり96-well plate 1 枚

キット内容
100 tests ・Fatty Acid Uptake Probe
・Quenching Buffer
・Washing Buffer (10X)
×1
11 ml×1
11 ml×1

性質

本キットはFatty acid analogとして Fatty Acid Uptake Probe を用いており、これは細胞膜表面に存在する脂肪酸トランスポーターを介して細胞内に取り込まれます。細胞内に取り込まれた色素を 蛍光顕微鏡 やフローサイトメーター、プレートリーダーなどの蛍光測定法により検出することで、細胞の脂肪酸取り込み能力を測定することが可能です。また、本キットには細胞内に取り込まれなかった Fatty Acid Uptake Probe の蛍光を消去する試薬(Quenching Buffer)も組み込まれているため、細胞の洗浄操作を行うことが難しい場合でも簡便に測定することができます。

技術情報

なぜ、脂肪酸取り込み能力が注目されているのか?

脂肪酸は、生体がエネルギーを得るために重要な物質です。脂肪酸取り込み能は肥満や糖尿病などの疾患に関わるだけでなく、がん細胞における代謝指標の 1 つでもあります(左図)。細胞増殖が活発ながん細胞は多くの脂質を必要とするため、細胞内における脂肪酸合成や細胞外からの脂肪酸取り込みが活発に行われています(右図)。そのため、がん細胞の脂肪酸代謝経路をターゲットとした多くの薬剤が開発されています。

このキットですべて解決!! 脂肪酸取り込み実験の手技課題

脂肪酸の取り込み実験で聞かれる以下のお客様の声に、本キットはすべて対応します。

本キットには、脂肪酸トランスポーターを介して細胞に取り込まれるFatty acid analog (Fatty Acid Uptake Probe)を同梱しており、脂肪酸の取り込みを蛍光法にて検出できます(測定原理)。Quenching Buffer により洗浄操作の手間と時間を省いた検出が可能です(操作手順)。

測定原理

操作手順

Washing BufferまたはQuenching Bufferの選択ガイド

下記表を参照し、細胞種や実験系 (操作や測定装置) に応じてWashing Buffer または Quenching Buffer のいずれかを選択してください。

〇:測定可能、×:測定不可、△:注釈参照

 

Washing Buffer (10×)

Quenching Buffer

付着細胞

浮遊細胞

付着細胞

浮遊細胞

洗浄操作の必要性

必要

不要

プレートリーダーの使用

ボトムリーディング

(透明底プレート)

1

トップリーディング

×

落射型蛍光顕微鏡

共焦点レーザー顕微鏡

2

フローサイトメーター

×

 

※1細胞がプレートの底を覆う程度 ( 目安:3x105 cells/well)に播種し、しばらく静置させて細胞をプレートのそこに沈めることで測定することは可能です。
※2共焦点レーザー顕微鏡で透過光観察を行う場合、488 nm レーザーを用いた透過光観察はできません。透過光観察を行う場合は Quenching Buffer を Washing Buffer で 10 倍希釈してご使用いただくか、640 nm レーザーを用いて透過光観察を行ってください。

実験例:脂肪酸取り込み阻害剤による脂肪酸取り込み阻害

本キットを用いて、脂肪酸トランスポーター阻害剤(FATP2 inhibitor: CB-2) によるHepG2 細胞の脂肪酸取り込み阻害を観察かつ数値化することができました。実験手順等の詳細は取扱説明書をご覧ください。

実験例:脂肪酸の代謝状態の確認

A549 細胞を本キットを用いて染色し蛍光顕微鏡で観察後、0 mmol/l glucose (Starved)または25 mmol/l glucose (Control)含有の培地で更に5hインキュベート後に観察しました。

結果、染色直後はプローブは細胞質全体に局在しており、25 mmol/グルコース含有培地(Control)で培養すると主に脂肪滴への局在が見られました。一方で、グルコース飢餓処理(Starved)を行うとプローブはミトコンドリアや小胞体への局在が確認され、β酸化の亢進が示唆される結果が得られました。これにより、本製品は取り込み後の脂肪酸代謝変化も検出できることが確認できました。

<観察条件>
GFP (Ex = 450 - 490 nm, Em = 500 - 550 nm)

実験例:脂肪酸トランスポーター阻害剤によるHeLa細胞の細胞内代謝の変化

脂肪酸は膜の合成などに重要であり、細胞の増殖には欠かせません。そこで、HeLa細胞を脂肪酸トランスポーター阻害剤で処理し、脂肪酸取り込みを阻害した際の細胞増殖能および細胞内代謝(グルコース消費量、Lactate放出量、NAD/NADH比率)の変化を確認しました。
その結果、細胞増殖能の低下が認められましたが、グルコース消費量とLactate放出量が増加し、細胞内 NAD+/NADH 比率が低下したことから代謝経路が解糖系へシフトしたことが確認されました。

<使用製品>
細胞増殖:Cell Counting Kit-8 (製品コード:CK04)
グルコース消費量:Glucose Assay Kit-WST (製品コード:G264)
Lactate放出量:Lactate Assay Kit-WST (製品コード:L256)
細胞内NAD/NADH比率:NAD/NADH Assay Kit-WST (製品コード:N509)

 

よくある質問

Q

使用実績のある細胞種を教えてください。

A

下記の細胞において使用実績がございます。

細胞名 由来

A549

ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞

HepG2

ヒト肝癌由来細胞

HeLa

ヒト子宮頸癌由来細胞

Jurkat

ヒト白血病T細胞

MOLT-4

ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞

3T3-L1 (preadipocyte)

前駆脂肪細胞

3T3-L1 (adipocyte)

脂肪細胞

 

Q

Fatty Acid Uptake Probeを生細胞へ取り込ませた後、細胞を固定することは可能でしょうか?

A

4% PFAを用いて染色後の細胞を固定した実績がございます。

〈プロトコル〉
-付着細胞-
1. ディッシュまたはマイクロプレートに播種した細胞を準備した。
2. 培地を除去し、無血清培地で2回洗浄した。
3. 無血清培地を添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で15分間静置した。
4. 上清を除去した後、Fatty Acid Uptake Probe working solutionを添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で15分間静置した。
5. 上清を除去した後、Washing Buffer solutionで1回洗浄した。
6. 4% PFA/PBSを細胞へ添加し、室温で5分間インキュベートした。
7. PBSで細胞を3回洗浄後、蛍光顕微鏡で観察、プレートリーダーで測定した。

※固定化により蛍光強度は低下します。

-浮遊細胞-
1. マイクロチューブに細胞を準備した。
2. 300×gで5分間遠心し、上清を除去した。
3. 無血清培地を加え、ピペッティングにより懸濁後、300×gで5分間遠心し、上清を除去した。この操作を2回繰り返した。
4. 無血清培地を添加し、ピペッティングにより懸濁後、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で15分間静置した。
5. 300×gで5分間遠心し、上清を除去した。
6. Fatty Acid Uptake Probe working solutionを添加し、ピペッティングにより懸濁後、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で15分間静置した。
7. 300×gで5分間遠心し、上清を除去した。
8. Washing Buffer solutionで1回洗浄した。
9. 4% PFA/PBSを添加し、ピペッティングにより懸濁後、室温で5分間インキュベートした。
10. 300×gで5分間遠心し、上清を除去した。
11. PBSを加え、ピペッティングにより懸濁後、300×gで5分間遠心し、上清を除去した。この操作を2回繰り返した。
12. 蛍光顕微鏡で観察、フローサイトメーターで測定した。

 

Q

プレートリーダーで測定する場合、どのプレートを使用すればよいでしょうか?

A

蛍光検出のため細胞培養用のブラックマイクロプレートをご使用ください。

〇: 使用可、×: 使用不可、△: 注釈参照

 

付着細胞

浮遊細胞

 

不透明底

プレート

透明底

プレート

不透明底

プレート

透明底

プレート

Washing Buffer (10×)

使用時

Top Reading

Bottom Reading

×

×

Quenching Buffer

使用時

Top Reading

×

×

Bottom Reading

×

×

※細胞がプレートの底を覆う程度に播種し、しばらく静置させて細胞をプレートの底に沈めることで測定することは可能です。

〈Quenching Buffer使用時、浮遊細胞のデータ〉

 

また、使用実績のあるマイクロプレートは下記の通りです。

メーカー名

製品名

Cat No.

ibidi

µPlate 96 well ibiTreat black S 15

ib89626

Thermo Fisher

96 Well Black/Clear Bottom Plate, TC Surface, Pack of 10

165305

 

Q

Fatty Acid Uptake Probe working solutionは保存可能でしょうか?

A

Fatty Acid Uptake Probe working solutionは保存できません。

Q

バックグラウンドが高い場合、どうすればいいですか?

A

細胞に取り込まれなかったFatty Acid Uptake Probeがウェル内に残存している可能性があります。Washing Buffer solutionによる洗浄を繰り返すか、Quenching Bufferの使用をご検討ください。

Q

1キットあたり測定可能なサンプル数を教えてください。

A

下記表をご参照ください。

 

付着細胞

浮遊細胞

培養器材

(添加量)

6-well

(1.5 ml/well)

24-well

(0.3 ml/well)

96-well

(0.1 ml/well)

35-mm dish

(1.5 ml/well)

1.5-ml microtube

(0.5 ml/tube)

測定可能

サンプル数

7 sample

34 sample

100 sample

7 sample

20 sample

 

Q

Quenching Bufferを使用して共焦点レーザー顕微鏡で透過光観察を行ったのですが、透過光観察ができません。どうすればいいですか?

A

Quenching Bufferを使用して共焦点レーザー顕微鏡で透過光観察を行う場合は、QuenchingBufferをWashing Buffer solutionで10倍希釈してご使用いただくか、640 nmレーザーを用いて透過光観察を行ってください。

〈共焦点レーザー顕微鏡で透過光観察を行う場合に見られる現象〉

Q

脂肪酸を定量することはできますか?

A

本製品を用いて脂肪酸を定量することはできません。

Q

細胞内に取り込まれた色素(Fatty Acid Uptake Probe)を定量することはできますか?

A

取り込まれた色素(Fatty Acid Uptake Probe)を定量することはできません。本製品は、脂肪酸取り込み能力の増減を確認するためのキットとなります。

Q

他の蛍光色素との共染色を行うことはできますか?

A

Fatty Acid Uptake Probeは赤色蛍光への漏れ込みが僅かに観察されます。そのため、緑色および赤色蛍光検出以外の色素を用いて共染色を行って下さい。

弊社ミトコンドリア染色用色素MitoBright LT Deep Red (MT12)との共染色を行った実績がございます。

〈赤色蛍光への漏れ込み〉

〈MitoBright LT Deep Redとの共染色プロトコル〉
1. ディッシュまたはマイクロプレートに播種した細胞を準備した。
2. 培地を除去し、無血清培地で2回洗浄した。
3. 無血清培地を添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で15分間静置した。
4. 上清を除去した後、Fatty Acid Uptake Probe working solutionを添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で15分間静置した。
5. 上清を除去した後、0.1 µmol/l MitoBright LT working solutionを添加し、インキュベーター(37℃、5%CO2存在下)で30分間静置した。
6. 上清を除去した後、HBSSを用いて2回洗浄した。
7. HBSSを添加し、蛍光顕微鏡で観察した。

 

Q

蛍光顕微鏡観察時の注意点はありますか?

A

蛍光顕微鏡観察時、励起光を照射し続けるとFatty Acid Uptake Probe由来の蛍光が退色する可能性があります。連続した励起光の照射は控えてください。

 

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