Lactate Assay Kit-WST

Lactate Assay Kit-WST

乳酸測定キット

  • 製品コード
    L256  Lactate Assay Kit-WST
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
50 tests ¥33,000 343-09281
200 tests ¥77,200 349-09283
キット内容
50 tests ・Dye Mixture
・lactate Standard
・Enzyme Solution
・Assay Buffer
・Reconstitution Buffer
x1
150 μl x1
12 μl x1
5.5 ml x1
550 μl x1
200 tests ・Dye Mixture
・lactate Standard
・Enzyme Solution
・Assay Buffer
・Reconstitution Buffer
x1
600 μl x1
48 μl x1
11 ml x2
2.2 ml x1

性質

Lactate Assay Kit-WST は、解糖系の代謝産物である乳酸を定量(下限値: 0.02 mmol/l )することができます。96 ウェルマイクロプレートに対応しているため多検体測定が可能です。乳酸の定量は、細胞内代謝経路の変化をモニタリングするためのマーカーの1つとしてがん研究分野では広く使われていますが、最近では幹細胞の分化や糖尿病研究においても乳酸を指標とした評価の報告が増えています。

30秒解説:グルコース取り込み検出キット

再生すると音声が流れます

本解説動画では、グルコース取り込み検出の目的から、従来測定法との比較・実験例を交え本製品の特徴を解説します。

マニュアル

Lactate Assay Kit-WST の使い方

技術情報

乳酸の検出原理

本キットは、乳酸量に応じ発色したWSTホルマザンを吸光度測定することで、細胞培養液や細胞内の乳酸を検出することができます。またキットには乳酸(Lactate)標準液が含まれており、標準曲線を作成しサンプル中の乳酸濃度を定量することができます。

技術や使用製品に関する補足

学会発表ポスター

WSTを用いた細胞の代謝解析

細胞内代謝活性の測定

培養上清または組織・細胞の破砕液をプレートに添加し、試薬を加えてインキュベートするだけの簡単操作です。

試薬の高い安定性

各社のStock Solutionの保存安定性と保存期間を比較

検量線の作成例

本キットのLactate Standardを用い作成した検量線からサンプル中の乳酸濃度を求めることができます。乳酸濃度が1 mmol/l以上の場合は、サンプルを希釈することで評価いただけます。

グルコース及び乳酸の測定例

グルコーストランスポーター阻害剤である Phloretin をJurkat 細胞に加えた際の代謝活性の変化をGlucose Assay Kit-WST 及びLactate Assay Kit-WST にて確認しました。

 実験条件
細胞: Jurkat 細胞( 5 x 105 cells)
薬剤:Phloretin( 終濃度:100 µmol/l)
暴露時間: 一晩
測定サンプル:培養上清

 結果
Phloretin 添加によりグルコースの取り込みが阻害されグルコース消費量が減少し、培地中のグルコース量は増加、乳酸量は減少する結果が得られました。

技術や使用製品に関する補足

本キット使用時の注意点:細胞数の補正をお勧めします。

マイクロプレートを用いた細胞の解析では、得られる結果がウェル中の細胞数によって変化する場合があります。その際には、細胞数のカウントやトータルタンパク質量の確認により、得られた測定値の補正(ノーマライゼーション)が必要となります。本キットでは、試薬を細胞培養液に添加するだけで、細胞内の核を染色し得られる蛍光強度から、細胞数を簡便に評価することができます。
細胞数ノーマライゼーションキットはこちらから

実験例:脂肪酸トランスポーター阻害剤によるHeLa細胞の細胞内代謝の変化

脂肪酸は膜の合成などに重要であり、細胞の増殖には欠かせません。そこで、HeLa細胞を脂肪酸トランスポーター阻害剤で処理し、脂肪酸取り込みを阻害した際の細胞増殖能および細胞内代謝(グルコース消費量、Lactate放出量、NAD/NADH比率)の変化を確認しました。
その結果、細胞増殖能の低下が認められましたが、グルコース消費量とLactate放出量が増加し、細胞内 NAD+/NADH 比率が低下したことから代謝経路が解糖系へシフトしたことが確認されました。

<使用製品>
脂肪酸取り込み:Fatty Acid Uptake Assay Kit (製品コード:UP07)
細胞増殖:Cell Counting Kit-8 (製品コード:CK04)
グルコース消費量:Glucose Assay Kit-WST (製品コード:G264)
細胞内NAD/NADH比率:NAD/NADH Assay Kit-WST (製品コード:N509)

参考文献

参考文献を表示する

 

文献No. 対象サンプル 引用(リンク)
1) 細胞
(C2C12)

S. Hori, Y. Hiramuki, D. Nishimura, F. Sato and A. S. Fujisawa, PDH-mediated metabolic flow is critical for skeletal muscle stem cell differentiation and myotube formation during regeneration in mice.", FASEB J. ., 2019, 33(7), 8094.

2) 細胞
(A2780, OVC)

Y. Nonomiya, K. Noguchi, K. Katayama and Y. Sugimoto, Novel pharmacological effects of poly (ADP-ribose) polymerase inhibitor rucaparib on the lactate dehydrogenase pathway.", Biochem. Biophys. Res. Commun., 2019, 510(4), 510.

3) 細胞
(HCT116)

K. Ohshima, S. Nojima, S. Tahara, M. Kurashige, K. Kawasaki, Y. Hori, M. Taniguchi, Y. Umakoshi, D. Okuzaki, N. Wada, J. Ikeda, E. Fukusaki and E. Morii, Serine racemase enhances growth of colorectal cancer by producing pyruvate from serine", Nat Metab, 2020, 2(1), 81.

4) 細胞
(血球、リンパ球)

Y. akashima, A. Hayano and B. Yamanaka, Metabolome analysis reveals excessive glycolysis via PI3K/AKT/mTOR and RAS/MAPK signaling in methotrexate-resistant primary CNS lymphoma-derived cells.", Cancer Sci.., 2020, 111(4), 1241-1253.

5) 細胞
(肺癌)

H. Osumi, H. Horiguchi, T. Kadomatsu, K. Tashiro, J. Morinaga, T. Takahashi, K. Ikeda, T. Ito, M. Suzuki, M. Endo and Y. Oike, "Tumor Cell-Derived Angiopoietin-Like Protein 2 Establishes a Preference for Glycolytic Metabolism in Lung Cancer Cells”, Nat Metab, 20202(1), 81

6) 細胞
(P388白血病)

T. Matsuo, Y. Konya, E. Hirayama and Y. Sadzuka, "2-Deoxy-D-glucose enhances the anti-cancer effects of idarubicin on idarubicin-resistant P388 leukemia cells”, Oncol Lett , 202020(1), 962-966

7) 細胞
(マウス:精子)

M. Hashimoto, S. Kimura, C. Kanno, Y. Yanagawa, T. Watanabe, J. Okabe, E. Takahashi, M. Nagano and H. Kitamura, "Macrophage ubiquitin‑specific protease 2 contributes to motility, hyperactivation, capacitation, and in vitro fertilization activity of mouse sperm”, Cellular and Molecular Life Sciences, 2020, doi: 10.1007/s00018-020-03683-9

 

よくある質問

Q

D-Lactateの定量はできますか?

A

本製品はL-Lactate定量用となりますので、D-Lactateの定量はできません。

Q

Working solutionはどのくらい安定ですか

A

Working solutionは保存できないので、用時調製して下さい。
Working Solutionは光に不安定なため、調製後は遮光して下さい。遮光下室温にて4時間安定です。
(Working solutionを光に暴露させると溶液の色が赤色から橙色に変化し、バックグラウンドが上昇します)

Q

還元物質を含むサンプルは測定できますか?

A

サンプル中に還元性を持つ物質が含まれていると、色素WSTが誤発色して正確な乳酸濃度の定量ができません。
培地に、還元性を持つ薬剤等を添加して実験を行う場合、バックグラウンドコントロールとして「細胞を含まない培地」+「薬剤のみ」を同時に評価し、検量線およびサンプルの吸光度から試薬ブランクとして差し引いてください。
 

Q

細胞内の乳酸を定量する場合のプロトコルを教えて下さい。

A

下記のプロトコルを参照ください。

(1) 細胞(1×105 cells*1)をマイクロチューブに回収する。
(2) 300×gで2分間遠心し、上澄みを除去する。
(3) 冷PBSを300 µl加え、ピペッティングにより懸濁後、300×gで2分間遠心し、上澄みを除去する。
(4) 細胞溶解液*2(0.1% Triton-X)を300 µl加え、1分間ボルテックスし細胞溶解液とする。
(5) 8000×gで5分間遠心し、上澄みを回収する。
(6) 操作(5)の溶液を200 μl限外ろ過膜フィルター(分画分子量:10K)に移し、
12,000×gで10分間遠心*3後、濾液を回収し測定サンプルとする。   
※測定用サンプルはn=3で測定する場合、合計60 µl以上は必要です(1ウェルあたり20 µl×3ウェル分)。
※遠心後の濾液が60 µl以上ない場合は、遠心時間を延長して下さい。
※測定試料は、検量線範囲内(0-1 mmol/l)に入るように適宜細胞溶解液で希釈し、測定に用いて下さい。

*1HeLa細胞の場合、0.02 mmol/l以上の乳酸を検出するためには1×105 cells以上の細胞が必要。
*2細胞溶解液にSDSを含むと発色を阻害するため、SDSを含むバッファーは使用を避ける。
*3内在性のLactate dehydrogenase (LDH)はバックグラウンドの原因となるため、除タンパク処理によりLDHを除去する。

 

Q

1キットあたり測定可能なサンプル数を教えて下さい

A

検量線の作成およびサンプルの測定をそれぞれn=3で行った場合、下記表に記載のサンプル数を測定できます。

  50 tests 200 tests

サンプル数
(n=3で評価時)

8 サンプル
(下図参照)

48 サンプル
(検量線を2回測定時)

※検量線作成:8点(0, 0.0157, 0.0313, 0.0625, 0.125, 0.25, 0.5, 1 mmol/l)をn:3で評価。

 

Lactate standard solutionとサンプルのレイアウト例(n=3)

 

Q

450 nm以外の吸収フィルターで測定できますか?

A

490 nmのフィルターでも使用できます。
ただし、吸光度の値は450 nmで測定した場合よりも低くなります。

Q

サンプルを加えたウェルで発色しないのですが、何故ですか?

A

サンプル中の乳酸濃度が検出限界(0.02 mmol/l)より低濃度の可能性があります。
乳酸濃度が0.02 mmol/l 以下の測定試料は本キットでは定量できませんので、LC-MSなど他の方法をご検討下さい。
もし測定試料を希釈している場合は、希釈後の測定試料に含まれる乳酸濃度が0.02 mmol/l より低い可能性があります。
希釈倍率を下げ、測定試料の濃度を定量可能範囲以上に調整してください。

Q

血清を含む培地を使用し、培養上清中の乳酸を測定することはできますか。

A

血清を含む培地を使用し、培養上清中の乳酸を測定することは可能です。

しかしながら、血清を含む場合バックグラウンドが上昇するため、
培地のみを測定しバックグラウンドコントロールとして差し引いてください。
取扱説明書 操作1※に記載

 

【参考データ】

10%FBS含有・不含での吸光度の比較

<結果>

培地に10%FBSを含むことで、吸光度が大きく上昇する。
そのため、培地のみをバックグラウンドコントロールとする必要がある。

 

 

Q

測定試料は保存できますか?

A

保存できます。
細胞培養上清および細胞ライセートにおいて、冷凍(-20℃)で1ヶ月間保存可能であることを確認しております。
ただし、細胞ライセートの場合は除タンパク処理*を行って下さい。
( *よくある質問「細胞内の乳酸を定量する際のプロトコル」操作6)の溶液を保存してください。)

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保存条件: 冷蔵,遮光
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