05 細胞染色用色素

Lipi-Blue

Lipi-Blue

脂肪滴染色蛍光色素

  • 製品コード
    LD01  Lipi-Blue
容 量 本体価格
10 nmol ¥18,000

性質

Lipi シリーズは、脂肪親和性の高い低分子蛍光試薬であり、疎水性環境下で蛍光が増強します。また、試薬を添加するだけで生細胞および固定化細胞中の脂肪滴をイメージングすることができます。

マニュアル

はじめての抗体標識プロトコル

死細胞数を測りたい(吸光測定)

Cytotoxicity LDH Assay Kit-WST を用いた細胞毒性試験の例を紹介

お役立ち情報

技術情報

脂肪滴とその機能

脂肪滴は、トリアシルグリセロールやコレステロールエステルなどの中性脂肪が単分層のリン脂質一重膜によって取り囲まれた構造体です。脂肪滴は脂肪細胞のみに存在するわけではなく、すべての細胞に普遍的に存在しています。最近の研究から、脂肪滴はその表面に種々のタンパク質が結合し、体内の脂質代謝制御において重要な役割を担っていることが明らかになってきています1)。近年、脂肪滴とオートファジー2)、細胞老化3) といった細胞内現象との関連性も示唆されており、脂肪滴の形成・成長・融合・分解のメカニズムをより詳細に解明するツールが待ち望まれています。

1) T. Fujimoto et al., “Lipid droplets: a classic organelle with new outfits.” Histochem Cell Biol., 2008, 130(2), 263.
2) R. Singh et al., “Autophagy regulates lipid metabolism.” Nature, 2009, 458(7242), 1131.
3) M. Yokoyama et al., “Inhibition of endothelial p53 improves metabolic abnormalities related to dietary obesity.” Cell Reports, 2014, 7(5), 1691.

脂肪滴の染色例

オレイン酸を添加したHeLa細胞を生細胞の状態で、Lipi シリーズの各色素にて染色しました。


<検出条件>
・Lipi-Blue: Ex. 405 nm / Em. 450-500 nm
・Lipi-Green: Ex. 488 nm / Em. 500-550 nm
・Lipi-Red: Ex. 561 nm / Em. 565-650 nm
・Lipi-Deep Red: Ex. 640 nm / Em. 650–700 nm

<染色条件>
HeLa 細胞の培養液中に200 μmol/l オレイン酸を添加、一晩培養後に細胞をPBS で洗浄しLipi シリーズの各色素(Lipi-Blue/Green/Deep Red:0.1 μmol/l、Lipi-Red: 1 μmol/l) にて15 分間染色し観察。

オレイン酸溶液の調製方法について
よくある問合せの「オレイン酸溶液の調製方法と細胞への導入方法を教えてください。」をご覧ください。

市販試薬との比較

Lipi シリーズでは、既存の脂肪滴染色試薬の課題(選択性、フィルター適応性、滞留性)を大幅に改善しました。また色素ラインナップの充実により、多重染色時の色素選択が容易に行えるようになりました。

  同仁化学製品 市販品(T社)
  Lipi-Blue Lipi-Green Lipi-Red Lipi-
Deep Red
Oil Red O
(比色)
Nile Red 試薬B
生細胞の染色 ×
固定化細胞の染色
脂肪滴への選択性
(低バックグラウンド)
× ×
他色素との共染色*1 *2 n.d. ×*3
生細胞内での滞留性 (24h) × × n.d. × ×

*1.共染色時の推奨フィルターについては、よくある質問「共染色時の推奨フィルターを教えてください。」をご覧ください。
*2.緑色蛍光と共染色する際は、550 nm以下の緑色蛍光フィルターを推奨
*3.GFP蛍光フィルター(500 ~ 540 nm)では漏れ込む

抗体検出法との高い相関性

HepG2 細胞を4% PFA にて固定化後、100 nmol/l Lipi-Blue にて染色。その後、脂肪滴膜上のタンパク質(Adipophilin; ADFP)を認識する抗ADFP 蛍光標識一次抗体により免疫染色しました。
結果、Lipi-Blue は脂肪滴マーカーであるADFP の局在と高い相関を示しました。


<検出条件>
Lipi-Blue: Ex. 405 nm / Em. 450 - 500 nm
抗ADFP 抗体 (Alexa Fluor® 647): Ex. 640 nm / Em. 650 - 700 nm

 

脂肪滴への高い選択性

オレイン酸を添加したHeLa 細胞を生細胞の状態で、100 nmol/l Lipi-Blue および100 nmol/L Nile Red (T社)にて染色しました。
結果、Nile Red では脂肪滴以外の細胞質も染色されました。


<検出条件>
Lipi-Blue: Ex. 405 nm / Em. 450 - 500 nm
Nile Red: Ex. 561 nm / Em. 565 - 650 nm

高い細胞内滞留性

HepG2 細胞を生細胞の状態で、Lipi シリーズの各色素、 T社Nile Redおよび試薬B にて染色。その後、培養培地にて30 分および24 時間培養後の蛍光像を確認しました。

Lipi-Blue およびLipi-Green は、染色後24 時間培養しても蛍光強度の低下はみられるものの脂肪滴内に色素が滞留していることが確認されました。一方、Lipi-Red、Lipi-Deep Red、Nile Red および試薬B は、細胞内の滞留性は低く長時間のライブイメージングには不適であることが確認されました。

定量解析例

HepG2細胞にOleic acidまたはTriacsin C(アシル-CoA合成酵素阻害剤)を添加し、脂肪滴の変化を比較しました。解析には、共焦点定量イメージサイトメーター(横河電機株式会社 CQ1)を使用し、細胞あたりの脂肪滴の数と面積でデータを取得しました。

脂肪滴および核のイメージング
共焦点定量イメージサイトメーターを用いて447/60 nmで脂肪滴の画像を、525/50 nmで核の画像を撮影、解析ソフトウェアCellPathfinderで個々の脂肪滴と核を認識しその数と面積を算出しました。

横河電機CQ1撮影条件
使用プレート :96 well plate、対物レンズ :20倍
励起波長 :405 nm (Lipi-Blue):青、488 nm (SYBR Green): 緑
<解析画像>
黄枠線:核、赤枠線:脂肪滴


脂肪滴の数および面積による解析
核と脂肪滴の検出データから、細胞あたりの脂肪滴の数と面積を下記の通りグラフ化しました。結果、Oleic acid添加により脂肪滴は7-10倍増大し、Triacsin C添加では脂肪滴の形成が阻害されControlの50-60%にまで減少する数値データが得られました。


細胞処理および脂肪滴の染色条件
HepG2細胞(1 x 103 cells)を96ウェルプレートに播種し一晩培養。培養上清を除去後、未処理(FBSを含むDMEM培地のみ)、Oleic acid(200 μmol/l オレイン酸を含むFBS含有DMEM培地)またはTriacsin C(5 μmol/l Triacsin Cを含むFBS含有DMEM培地)を添加し一晩培養。その後、PBS bufferで2回洗浄し、4% PFA にて室温で5分間固定化後、PBS bufferで2回洗浄。最後に0.5 μmol/l Lipi-Blue working solution により室温、遮光下で2時間染色し、共焦点定量イメージサイトメーターで定量解析を行いました。

Lipiシリーズの蛍光特性

検出方法別 脂肪滴製品ラインナップ

  品 名 容量 製品コード

イメージング
脂肪滴染色蛍光試薬

Lipi-Blue 10 nmol LD01
Lipi-Green 10 nmol LD02
Lipi-Red 100 nmol LD03
Lipi-Deep Red 10 nmol LD04

数値化(プレートリーダー、FCM)
脂肪滴測定キット

Lipid Droplet Assay Kit - Blue 1 set LD05
Lipid Droplet Assay Kit - Deep Red 1 set LD06

参考文献

参考文献を表示する

1) Y. Tatenaka, H. Kato, M. Ishiyama, K. Sasamoto, M. Shiga, H. Nishitoh and Y. Ueno, "Monitoring Lipid Droplet Dynamics in Living Cells by Using Fluorescent Probes"Biochemistry., 2019, DOI: 10.1021/acs.biochem.8b01071 .

よくある質問

Q

オレイン酸溶液の調製方法と細胞への導入方法を教えてください。

A

小社では以下の手順でオレイン酸溶液を調製して使用しました。

<オレイン酸ストック溶液>
必要な試薬
 ・BSA (ウシ血清アルブミン)
 ・オレイン酸
 ・0.1 mol/L Tris-HCl (pH 8.0)

調製手順
1) 0.1 mol/L Tris-HCl (pH 8.0)にBSAを添加し溶解する(BSA: 濃度 0.14 g/mL)。
2) 容器(ディスポーザブルの遠沈管など)にオレイン酸を入れた後、1)のBSA溶液を加えて回転振盪器を用いて混合する(オレイン酸濃度: 4 mmol/L)。*1
3) 2)の混合溶液を、ポアサイズが0.22 µmのシリンジフィルター(PTFE製)でろ過する。
4) 冷蔵保存して、都度、使用する。*2
  *1オレイン酸とBSA溶液を混合すると液体中に曇りを生じる場合がありますが、振盪を続けるとオレイン酸 とBSAの複合体が形成され曇りが消失します。
*2実験で用いる培地にオレイン酸ストック溶液を必要量を添加して、細胞へのオレイン酸導入に使用してください。
   
<細胞への導入方法>
1) 細胞を 5% CO2インキュベーター(37℃)内で、24時間培養する。
2) オレイン酸ストック溶液を添加した培地(オレイン酸の終濃度 200 μmol/L)に置換して、更に、24時間培養する。
3) その後、取扱説明書に従って、脂肪滴を蛍光染色して観察する。


 

Q

蛍光が確認できない場合の対処法は?

A

蛍光が検出されない場合、幾つか要因が考えられます。
下記に示した項目を確認し、状況によっては最適化条件をご検討ください。

①励起・蛍光波長が色素の蛍光特性と合致していない。
 製品HPに掲載の色素の蛍光スペクトルとお使いのフィルターを確認し、励起・蛍光波長が
 合致しているかご確認ください。

②染色条件が最適ではない。
 [試薬濃度]
 - working solutionの濃度を下記の範囲で検討する。
   Lipi-Blue, Lipi-Green:0.1-0.5 μmol/L
   Lipi-Red:1-5 μmol/L

  ※上記条件でも蛍光が検出されない場合、更に高濃度で染色する。
   Lipi-Blue, Lipi-Green:1-2 μmol/L
   Lipi-Red:10-20 μmol/L

 [インキュベーション時間]
 - 通常は30分ですが、試薬添加後に1-2時間インキュベートする。

③固定化の条件が適していない。
 細胞によっては染色前後の固定化操作により、染色されない又は感度が弱くなる場合があります。
 その際は、「Q:固定化細胞への染色は可能ですか?」をご参照ください。

④脂肪滴が小さくて確認が困難。
 細胞によっては脂肪滴が小さく、確認が困難な場合があります。
 その際は、高倍率の顕微鏡での確認、又はオレイン酸処理した細胞によるポジティブコントロールを
 評価されることをお勧めします。

Q

固定化細胞への染色は可能ですか?

A

固定化した細胞でも染色は可能です。固定化細胞の染色手順は、下記を参照ください。
※固定化処理にはパラホルムアルデヒド(PFA)をご使用ください。メタノール等のアルコール固定は、脂肪滴の構造に影響を及ぼす可能性があるため、お勧めしません。
※細胞によっては、染色前後の固定化操作により、染色されない又は感度が弱くなる場合があります。その際は、固定化条件を検討頂く必要があります。

○染色後に細胞を固定化した例 <実績細胞 : HepG2細胞>
 ①培地を除去し、PBSで二回洗浄した。
 ②プロトコル記載のWorking solution(in PBS)を細胞に入れ、37℃で15分インキュベートした。
 ③上清を除去し、PBSで二回洗浄した。
 ④4% PFA (in PBS)で5分間室温でインキュベートした。
 ⑤上清を除去し、PBSで洗浄後、観察。

○染色前に細胞を固定化した例 <実績細胞 : HeLa細胞>
 ①培地を除去し、PBSで二回洗浄した。
 ②4% PFA (in PBS)で5分間室温でインキュベートした。
 ③上清を除去し、PBSで二回洗浄した。
 ④プロトコル記載のWorking solution(in PBS)を細胞に入れ、37℃で30分インキュベートした。
 ⑤上清を除去し、PBSで洗浄後、観察。

取扱条件

規格
性状:
純度(HPLC): 85.0% 以上
取扱条件

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