Glutamate Assay Kit-WST
グルタミン酸測定キット
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製品コードG269 Glutamate Assay Kit-WST
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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100 tests | ¥57,200 | 345-09621 |
100 tests | ・Dye Mixture ・Glutamate Standard ・Enzyme ・Assay Buffer ・Reconstitution Buffer ・lysis Buffer ・Filtration Tube |
×1 300 ×l×1 ×1 7.5 ml×1 750 ×l×1 25 ml×1 ×24 |
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性質
グルタミン酸は、タンパク質やグルタチオンの生合成に利用されているだけでなく、神経伝達物質としても重要な働きをしており、グルタミン酸が過剰に存在することは、アルツハイマー病などの神経変性疾患の原因となると考えられています。また近年では、シスチンを取り込み、グルタミン酸を放出するシスチン/グルタミン酸トランスポーター(xCT)を阻害すると、鉄依存性細胞死であるフェロトーシスが誘導されるといったことが報告されており、xCTを標的としたがん研究も行われています。
Glutamate Assay Kit-WSTは、代謝産物であるグルタミン酸を定量するキットです。細胞培養液中あるいは細胞内のグルタミン酸は、WSTの還元反応により定量することができ、グルタミン酸の定量下限値は5 μmol/lです。また、96穴マイクロプレートに対応しているため、多検体測定が可能です。
マニュアル
技術情報
グルタミン酸の測定原理
本キットは、グルタミン酸量に応じ発色したWSTホルマザンを吸光度測定することで、細胞培養液や細胞内のグルタミン酸を検出することができます。またキットにはグルタミン酸標準液が含まれており、標準曲線を作成しサンプル中のグルタミン酸濃度を定量することができます。
測定操作
培養上清または組織・細胞の破砕液をプレートに添加し、試薬を加えてインキュベートするだけの簡単操作です。
検量線の作成例
本キットのGlutamate Standardを用い作成した検量線からサンプル中のグルタミン酸濃度を求めることができます。グルタミン酸濃度が0.5 mmol/l以上の場合は、サンプルを希釈することで評価いただけます。
グルタミン及びグルタミン酸の測定例
A549 細胞を6 穴プレートに播種し、培養時間に伴う細胞培養上清中のグルタミン濃度をGlutamine Assay Kit-WST を用いて測定し、
グルタミン酸濃度の変化をGlutamate Assay Kit-WST を用いて測定しました。
その結果、培地中のグルタミン濃度は時間と共に減少し、グルタミン酸濃度は時間と共に増加する結果が得られました。
フェロトーシス研究におけるグルタミン酸とグルタチオンの測定例
エラスチン処理により、シスチン/ グルタミン酸トランスポーター(xCT) を阻害すると、鉄依存性の細胞死であるフェロトーシスが誘導されることが知られています。エラスチン処理したA549 細胞において、グルタミン酸放出量および細胞内グルタチオン量を確認したところ、エラスチン処理した細胞はグルタミン酸放出量が減少し、シスチンの取り込みが阻害されたことにより、グルタチオン量が減少する結果が得られました。
技術や使用製品に関する補足
フェロトーシス研究において、脂質過酸化を蛍光イメージングで検出する試薬「Liperfluo」を使用した論文報告が増えています。
実験例: による細胞内代謝の変化
シスチン / グルタミン酸トランスポーター (xCT) を阻害することが知られている を A549細胞へ添加後、グルタミン酸放出量の変化と、細胞内のATP、α-ケトグルタル酸(α-KG)、 グルタチオン (GSH)、ROSの変化を確認しました。
その結果、SSZ 添加により細胞内のATP、グルタチオン(GSH)ならびにグルタミン酸放出量は減少し、細胞内のα-ケトグルタル酸とROSは増加しました。
<使用製品>
・細胞内ATP :ATP Assay Kit-Luminescence (製品コード:A550)
・細胞内α-KG:α-Ketoglutarate Assay Kit-Fluorometric (製品コード:K261)
・細胞内GSH:GSSG/GSH Quantification Kit (製品コード:G257)
・細胞内ROS:ROS Assay Kit -Highly Sensitive DCFH-DA- (製品コード:R252)
<実験条件>
細胞:A549細胞 (1 x 106 cells) 暴露時間:48時間
(スケールバー:50 µm) |
参考文献) Shogo Okazaki et al., "Glutaminolysis-related genes determine sensitivity to xCT-targeted therapy in head and neck squamous cell carcinoma". Cancer Sci., 2019, doi:10.1111/cas.14182.
参考文献
文献No. | 対象サンプル | 引用(リンク) |
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1 | 食品 (出汁、味噌汁、醤油、トマトジュース) |
K. Danchana, H. Iwasaki, K. Ochiai, H. Namba, T. Kaneta, "Determination of glutamate using paper-based microfluidic devices with colorimetric detection for food samples", Microchem. J., 2022, doi:10.1016/j.microc.2022.107513. |
2 | 細胞培養上清 (骨髄由来抑制細胞) |
Z. Xie, T. Kawasaki, H. Zhou, D. Okuzaki, N. Okada and M. Tachbana, "Targeting GGT1 Eliminates the Tumor-Promoting Effect and Enhanced Immunosuppressive Function of Myeloid-Derived Suppressor Cells Caused by G-CSF", Front. Pharmacol., 2022, doi:10.3389/fphar.2022.873792. |
よくある質問
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Q
1キットあたり測定可能なサンプル数を教えて下さい。
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A
検量線およびサンプルの測定をそれぞれn=3で行った場合、96ウェルプレートで24サンプルを測定できます。
(検量線の測定濃度を下表の通り、8点で作成した場合)
Glutamate standard solutionとサンプルのレイアウト例(n=3)
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Q
Working solutionは保存できますか?
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A
Working solutionは保存できません。用時調製して下さい。また、光に不安定であるため、調製後は遮光して下さい。
※Working solutionは調製後、遮光下であれば室温で4時間安定です。 光に暴露させた場合、溶液の色が褐色味を帯びてきます。
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Q
D-Glutamateの定量はできますか。
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A
本製品はL-Glutamate定量用のため、D-Glutamateの定量はできません。
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Q
還元物質を含むサンプルは測定できますか。
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A
サンプル中に還元性を持つ物質が含まれていると、色素WSTが誤発色して正確なグルタミン酸濃度の定量ができません。
培地に、還元性を持つ薬剤等を添加して実験を行う場合、バックグラウンドコントロールとして細胞を含まない培地+薬剤のみの試薬ブランクを一緒に測定して下さい。
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Q
測定試料は保存できますか。
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A
細胞培養上清サンプルの場合、冷凍(-20℃)で1ヶ月保存可能であることを確認しております。
細胞ライセートサンプルの場合、冷凍(-20℃)で1ヶ月保存可能であることを確認しております。ただし、保存を行う前に、キット付属のFiltration Tubeにて除タンパク処理を行って下さい。
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Q
サンプルのウェルが発色しません。
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A
本キットで定量可能なグルタミン酸濃度は5 µmol/l以上です。グルタミン酸濃度が5 µmol/l以下の測定試料は本キットでは定量できません。
また、測定試料を希釈している場合、希釈後の測定試料に含まれているグルタミン酸量が5 µmol/lよりも少ない可能性があります。
希釈倍率を下げ、測定試料の濃度を定量可能範囲以上にして下さい。
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Q
450 nm以外の吸収フィルターで測定できますか。
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A
450 nm以外では、490 nmのフィルターで使用可能です。
ただし、吸光度値は450 nmで測定した場合と比較し低くなります。(下図参照)
取扱条件
保存条件: 冷蔵 , 取扱条件: 吸湿注意 |