02 酸化ストレス関連試薬

DNA Damage Detection Kit - γH2AX - Green

DNA Damage Detection Kit - γH2AX - Green

DNAダメージ検出抗体

  • 製品コード
    G265  DNA Damage Detection Kit - γH2AX - Green
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
1 set ¥40,300 343-09421
キット内容
1 set ・Anti γH2AX antibody
・Secondary antibody - Green
・Blocking Solution
×1
×1
22 ml×1

性 質

本製品は、DNA ダメージの指標であるγH2AX を二次抗体法で簡便に検出するキットです。初めての方も使い易いよう、検出に必要な試薬をセットにしており、γH2AX を指標とした論文報告や実験例をご紹介します。

技術情報

DNAダメージの検出原理

DNA ダメージにより二重鎖切断が生じると、ヒストンタンパク質の一種であるH2AX が速やか、かつ広範囲にわたってリン酸化されます。リン酸化H2AX(γH2AX) は、DNA ダメージの鋭敏なマーカーであることから、化学物質や活性酸素、紫外線や放射線などの遺伝毒性及び発がん性評価への応用が期待されています。また、γH2AX の検出は近年では細胞老化を評価する指標としても知られています。
本製品はモノクローナル抗体研究所製の抗γH2AX 抗体を使用しています。

キットの特徴

<必要な試薬がセットに>
オールインワンなので、すぐに評価できます。


*多重染色や組織染色の際は、よくある問合せ「多重染色時の注意点」「組織染色時の注意点」を予めご確認ください。

 

<簡便な操作>
細胞の固定化と膜透過処理後、キットに同梱している試薬の添加と洗浄操作だけで染色できます。

<3色のラインナップ>
細胞の固定化と膜透過処理後、キットに同梱している試薬の添加と洗浄操作だけで染色できます。


Green
λex : 494 nm、λem : 518 nm


Red
λex : 550 nm、λem : 566 nm


Deep Red
λex : 646 nm、λem : 668 nm

細胞老化の検出例

細胞老化を評価する際は、複数の老化マーカーを指標に解析する必要があります。

<老化細胞の検出報告例>
概要 指標 論文
オートファジー欠損した衛生細胞で細胞老化が認められ、逆にオートファジー誘導剤の添加で細胞老化は抑えられた。 γH2AX、SA-β-gal、p16、p21  Laura Garcia-Prat, et. al., Nature, 2016, 529, 37.
二型糖尿病モデルにて、老化マーカーの活性亢進とDNA損傷レベルの増加を確認した。 γH2AX、SA-β-gal、p21 Milad S. Bitar, et. al., Am J Physiol Endocrinol Metab, 2013, 305(8), E951.
特定のタンパク質(BRE)を欠損させたマウス線維芽細胞においては、特に細胞老化の亢進が見られた。 γH2AX、SA-β–gal W. Shi, M. K. Tang, Y. Yao, C. Tang, Y. L. Chui and K. K. Lee Sci Rep. , 2016, 6, 23506.
クロマチン構造変異複合体の一つであるSMARCD1の減少を促すパルミチン酸を処理したHepG2細胞において、各老化マーカーの活性が亢進した。 γH2AXγH2AXSA-β-gal、p16、p21 I. Chisato, et. al., NPJ Aging Mech Dis., 2017, 3, 11.
DNA修復に関わるErcc1遺伝子欠損マウスにおいては、自発なDNA損傷だけでROSレベルの上昇と老化誘導が確認された。 γH2AX、SA-β-gal、p16 R. R. Andria, et. Al., Redox Biology2018, 17, 259.

<他マーカーと組合せた細胞の評価例>

 

DNA Damage Detection Kit
- γH2AX - Deep Red

Cellular Senescence Detection Kit - SPiDER-βGal

Merge

<染色条件>
継代数の異なるWI-38 細胞を固定化後、Cellular Senescence Detection Kit - SPiDER-βGal にて染色。
0.1 % Triton-X/PBS を用い膜透過処理後、本キットにてγH2AX を染色。

<検出条件>
H2AX(Deep Red):Ex. 590-650 nm / Em. 663-738 nm
SA-β-gal :Ex. 533-557 nm / Em. 570-640 nm
DAPI :Ex. 340-380 nm / Em. 435-485 nm

実験例:老化誘導によるA549細胞の代謝シフト

細胞老化が誘導されると、SA-β-galの発現亢進や不可逆的な細胞増殖停止といった現象が見られる他、DNAダメージが蓄積した老化細胞では、ミトコンドリア機能の低下によりエネルギー産生を解糖系にシフトします。そこで、A549細胞をDoxorubicinで処理し老化誘導した際のSA-β-gal発現亢進およびエネルギー産生経路(NAD量、ミトコンドリア膜電位、ATP量、Lactate放出量)のシフトを確認しました。
その結果、DNA損傷が認められましたが、SA-β-gal(Senescence Assosiated -β- Galactosidase)産生量が増加し、細胞内 NAD+ 量が低下したことからミトコンドリア膜電位が低下し、エネルギー生産経路が酸化的リン酸化から解糖系へシフトしたことが確認されました。

<使用製品>
DNAの損傷:DNA Damage Detection Kit - γH2AX (製品コード:G265)
SA-β-gal発現量:Cellular Senescence Detection Kit - SPiDER-βGal (製品コード:SG03)
NAD+量:NAD/NADH Assay Kit-WST (製品コード:N509)
ミトコンドリア膜電位:JC-1 MitoMP Detection Kit (製品コード:MT09)
代謝シフト(ATP量, Lactate放出量):Glycolysis/OXPHOS Assay Kit (製品コード:G270)

参考文献

参考文献を表示する

文献No. 対象サンプル 装置 引用(リンク)
1 細胞
(B16 Cell)
フローサイトメーター J. Takahashi, S. Nagasawa, M. J. Ikemoto, C. Sato, M. Sto and H. Iwahashi, "Verification of 5-Aminolevurinic Radiodynamic Therapy Using a Murine Melanoma Brain Metastasis Model", Int. J. Mol. Sci. ., 2019, 20, (5155), .
2 細胞
(ヒト小気道上皮細胞)
蛍光顕微鏡 M. Komura, T. Sata, H. Yoshikawa, N. A. Nitta, Y. Suzuki, K KOike, Y. Kodama, K. Seyama and K. Takahashi, "Propylene glycol, a component of electronic cigarette liquid, damages epithelial cells in human small airways", 2022Respir. Res., doi:10.1186/s12931-022-02142-2.

よくある質問

Q

Anti γH2AX antibody staining solution及びSecondary antibody staining solutionは保存できますか?

A

保存はできません。その日のうちにご使用ください。

Q

抗体をキット付属のBlocking Solution以外の溶液で希釈してもいいですか?

A

キット付属のBlocking Solutionでの希釈をお勧めします。
他の溶液で希釈をするとバックグラウンドが上昇する可能性があります。

Q

多重染色時の注意点はありますか?

A

本キットではマウス由来の一次抗体を使用しているため、他抗原を同時染色する場合にはマウス由来以外の一次抗体を選択ください。

Q

組織染色時の注意点はありますか?

A

組織染色の際、マウス組織は使用できませんのでご注意ください。
マウス組織を染色すると、抗マウス抗体(蛍光標識二次抗体)がマウス組織中のIgGへ非特異吸着を起こし、バックグラウンドが上昇します。

 

<キットに含まれる抗体情報>              

  由来 交差性
一次抗体 マウス ヒト、マウス
蛍光標識二次抗体 ヤギ マウスIgG

取扱条件

取扱条件
保存条件: 冷蔵 , 取扱条件: 吸湿注意
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