Autophagic Flux Assay Kit

Autophagic Flux Assay Kit

オートファジー経路測定キット

  • 試薬の添加だけでオートファジー経路を解析できる
  • リソソーム酸性化阻害剤同梱のオールインワンキット
  • 製品コード
    A562  Autophagic Flux Assay Kit
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
1 set ¥39,000 348-10101

 1キットあたりの使用回数は、染色濃度により異なります。
よくある質問の「1キットあたりの使用回数の目安を教えてください」をご覧ください。

キット内容
1 set DAPRed
DALGreen
Bafilomycin A1
x 1
x 1
x 1

性質

 細胞内の不要なタンパク質や細胞小器官を再利用または代謝するための分解過程であるオートファジーは、パーキンソン病などの神経変性疾患、老化に関りがあることが分かってきており盛んに研究されています。近年では、オートファジーを詳細に解析するため、オートファゴソームが増えた要因がオートファジー誘導によるものなのか、またはオートリソソーム阻害によるものなのかを区別する事が求められてきており、オートファジーによる一連の分解の流れ (Flux) を理解することが重要視されています。

 本キットには、オートファゴソームおよびオートリソソームを検出するDAPRedと、オートリソソームを検出するDALGreen、および、リソソーム酸性阻害剤 Bafilomycin A1 (Baf. A1) が同梱されています。オートファジーの形成からオートリソソームの分解までをモニタリングし、オートファジーの活性を正しく評価できます1)

1) H. Sakurai, et al., "Development of small fluorescent probes for the analysis of autophagy kinetics“, iScience, 2023, 26, 107218.

技術情報

本キットでできること

本キットには、オートファゴソームおよびオートリソソームを検出する DAPRed (DAPRed - Autophagy Detection) と、オートリソソームを検出する DALGreen (DALGreen - Autophagy Detection)、さらにリソソームの酸性化阻害剤 Bafilomycin A1 が同梱されています。試薬の添加だけでオートファゴソーム形成からオートリソソームの形成過程をモニタリングできます2,3)

 

2) X. Chen, et al, "Chaiqi decoction ameliorates vascular endothelial injury in metabolic syndrome by upregulating autophagy, Am J Transl Res​., 2020, 12(9), 4902-4922.
3) C. Oh, et al, "S-Nitrosylation of p62 Inhibits Autophagic Flux to Promote α-Synuclein Secretion and Spread in Parkinson's Disease and Lewy Body Dementia, J Neurosci., 2022, 42(14), 3011-3024.


 

実験例1

共焦点蛍光顕微鏡を用いた Bafilomycin A1 によるオートリソソームの形成阻害の解析

HeLa 細胞にて、リソソーム酸性化阻害剤 Bafilomycin A1 (Baf. A1) で処理した際のDALGreenとDAPRedの変化を検出しました。DALGreen は、Baf. A1 添加に伴うオートリソソームの形成阻害により、飢餓誘導細胞と比較して蛍光の低下が確認されましたが、 DAPRedの蛍光は、 Baf. A1 添加に伴うオートファゴソームの蓄積により、飢餓誘導細胞と比較して蛍光の増加が確認されました。
※Baf. A1 の希釈倍率、処理時間、添加のタイミングにより、イメージング解析に影響を及ぼす恐れがあります。詳細は本製品ウェブページの「よくある質問」をご参照ください。

<検出条件>

CTRL: 通常培養条件、Stv.: 飢餓誘導条件、Baf. A1: オートリソソーム形成阻害条件
DALGreen 検出波長: 488 nm (Ex), 490–550 nm (Em)
DAPRed 検出波長: 561 nm (Ex), 565–700 nm (Em)

 

<実験操作>

1. μ-slide 8 well plate (ibidi社) に HeLa 細胞 (1.0 x 104 cells/well) を播種し、5% CO存在下、37℃ で一晩培養した。
2. 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄後、DALGreen/DAPRed working solution (DALGreen: 1 µM、DAPRed: 0.2 µM) を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で30分インキュベートした。
3. 上澄みを取り除き、細胞を 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄した。
4. 以下の条件でサンプルを準備した。

• 10% FBS含有 MEM 培地を well に200 μl加え、 5% CO存在下、 37℃ で2時間20分インキュベートした。(コントロール条件)
• アミノ酸不含培地 (富士フイルム和光純薬、製品コード: 048-33575) を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で2時間20分インキュベートした。(飢餓誘導条件) 
• アミノ酸不含培地を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で2時間インキュベートした。上澄みを取り除き、Bafilomycin A1 working solution (リソソーム酸性化阻害剤) (2000 倍希釈)を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で20分インキュベートした。(オートリソソーム形成阻害条件)

5. 共焦点蛍光顕微鏡で観察した。

実験例2

共焦点蛍光顕微鏡を用いた 3-MA によるオートファゴソームの形成阻害の解析

HeLa 細胞にて、オートファジー阻害剤 3-MA で処理した際の DALGreen と DAPRed の変化を検出しました。DALGreen、DAPRed ともに、3-MA添加に伴うオートファゴソームの形成阻害により、飢餓誘導細胞と比較して蛍光の低下が確認されました。
※3-MA の処理時間、添加のタイミングにより、オートファジーへの影響が変化する恐れがあります。詳細は本製品ウェブページの「よくある質問」をご参照ください。

<検出条件>

CTRL: 通常培養条件、Stv.: 飢餓誘導条件、3-MA: オートファゴソーム形成阻害条件
DALGreen 検出波長: 488 nm (Ex), 490–550 nm (Em)
DAPRed 検出波長: 561 nm (Ex), 565–700 nm (Em)

 

<実験操作>

1. μ-slide 8 well plate (ibidi社) にHeLa 細胞 (1.0 x 104 cells/well) を播種し、5% CO存在下、37℃ で一晩培養した。
2. 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄後、DALGreen/DAPRed working solution (DALGreen: 1 µM、DAPRed: 0.2 µM) を well に200 μl加え、37℃で30分インキュベートした。
3. 上澄みを取り除き、細胞を 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄した。
4. 以下の条件でサンプルを準備した。

•10% FBS 含有 MEM 培地を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で2時間20分インキュベートした。(コントロール条件)
•アミノ酸不含培地 (富士フイルム和光純薬、製品コード: 048-33575) を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で2時間20分インキュベートした。(飢餓誘導条件) 
•アミノ酸不含培地を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で2時間インキュベートした。上澄みを取り除き、アミノ酸不含培地で調製した 3-MA (オートファジー阻害剤) (10 mmol/l) を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃ で20分インキュベートした。(オートファゴソーム形成阻害条件)

5. 共焦点蛍光顕微鏡で観察した。

実験例3

共焦点蛍光顕微鏡を用いた E64d/Pepstatin A によるリソソーム内分解阻害の解析

HeLa 細胞にて、リソソームプロテアーゼ阻害剤 E64d/Pepstatin A (Pep A) で処理した際の DALGreen と DAPRed の変化を検出しました。E64d/pepstatin A 添加に伴うリソソーム内分解阻害によりオートリソソームが蓄積し、飢餓誘導単独と比較して DALGreen、DAPRed 共に蛍光の増加が確認されました。

 

<検出条件>

CTRL: 通常培養条件、Stv.: 飢餓誘導条件、E64d/pepstatin A:リソソーム内分解阻害阻害条件
DALGreen 検出波長: 488 nm (Ex), 490–550 nm (Em)
DAPRed 検出波長: 561 nm (Ex), 565–700 nm (Em)

 

<実験操作>

1. μ-slide 8 well plate (ibidi社) に HeLa 細胞 (1.0 x 104 cells/well) を播種し、5% CO存在下、37℃で一晩培養した。
2. 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄後、DALGreen/DAPRed working solution (DALGreen: 1 µM、DAPRed: 0.2 µM) を well に 200 μl 加え、37℃ で30分インキュベートした。
3. 上澄みを取り除き、細胞を 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄した。
4. 以下の条件でサンプルを準備した。

• 10% FBS 含有 MEM 培地を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃ で2時間インキュベートした。(コントロール条件)
• アミノ酸不含培地 (富士フイルム和光純薬、製品コード: 048-33575) を well に200 μl加え、 5% CO2存在下、 37℃で2時間インキュベートした。(飢餓誘導条件) 
• アミノ酸不含培地で調製したE64d/Pep A (リソソームプロテアーゼ阻害剤) (それぞれ10 µg/ml) を well に 200 μl 加え、 5% CO2存在下、 37℃で2時間インキュベートした。(リソソーム内分解阻害条件)

5. 共焦点蛍光顕微鏡で観察した。

オートファジー検出試薬の比較表

オートファジー検出用のキット・試薬をラインナップしております。試薬を単品で使用する場合は、蛍光顕微鏡だけでなくフローサイトメーターでも検出できます。またDAPGreenは、プレートリーダーによる検出も可能です。ご研究の目的やご使用の装置に併せてお選びください。

測定対象 製品名(品コード) 蛍光特性 対応装置 容量・使用回数の目安
蛍光顕微鏡 FCM プレート
リーダー
オートファジー経路

【本製品】
Autophagic Flux Assay Kit (A562)

DALGreen:
λex=350-450 nm
λem=500-560 nm
※ 共焦点顕微鏡では
488 nmにて励起可能

×※1 ×

1 set

35 mmdish 5枚
μSlide 8well 5枚
96-well Plate 1枚


[染色濃度1.0μmol/l(DALGreen),
0.2μmol/l(DAPRed)の場合]

DAPRed:
λex=500-560 nm
λem=690-750 nm

オートリソソーム

DALGreen - Autophagy Detection  (D675)

λex=350-450 nm
λem=500-560 nm
※ 共焦点顕微鏡では
488 nmにて励起可能

×

20 nmol

35 mmdish 10枚
μSlide 8well 10枚
96-well Plate 2枚


[染色濃度1.0μmol/lの場合]

オートファゴソーム

DAPRed - Autophagy Detection  (D677)

λex=500-560 nm
λem=690-750 nm
× ×

5 nmol

35 mmdish 25枚
μSlide 8well 25枚
96-well Plate 5枚

[染色濃度0.1μmol/l(DAPRed,DAPGreen),
の場合]

オートファゴソーム

DAPGreen - Autophagy Detection  (D676)

λex=425-475 nm
λem=500-560 nm
※ 共焦点顕微鏡では
488 nmにて励起可能

5 nmol

※1 DALGreenを単体で使用する場合は、FCM解析が可能です。
※ DALGreenとDAPGreenの共染色はできません。
※ 使用回数は染色濃度により異なります。

スペクトルデータ


 

参考文献

参考文献を表示する

文献No. 対象サンプル 引用(リンク)
1) 細胞
(HeLa, MEFs)
H. Sakurai, et al, "Development of small fluorescent probes for the analysis of autophagy kinetics, iScience​, 2023, 26, 107218.
2) 細胞
(HUVECs)
X. Chen, et al, "Chaiqi decoction ameliorates vascular endothelial injury in metabolic syndrome by upregulating autophagy, Am J Transl Res​., 2020, 12(9), 4902-4922.
3) 細胞 
(SH-SY5Y)
C. Oh, et al, "S-Nitrosylation of p62 Inhibits Autophagic Flux to Promote α-Synuclein Secretion and Spread in Parkinson's Disease and Lewy Body Dementia, J Neurosci.2022, 42(14), 3011-3024.

よくある質問

Q

DALGreen/DAPRed Working solutionは、どのくらい安定ですか?

A

DALGreen/DAPRed Working solution の保存はできません。用時調製してください。

Q

オートファジーにはどのような経路があり、 DALGreen、DAPRedはどの状態を検出するのですか?

A

オートファジーには、Atg5 依存的オートファジー (LC3 が変化する) と LC3 の変化を伴わない、Atg5 非依存的オートファジーがあることが知られております*。DALGreen はオートファゴソーム膜に取り込まれ、その後、リソソームと融合し酸性環境下で蛍光が増大します。そのため、DALGreen はオートリソソームの状態を検出します。DAPRed はオートファゴソーム膜に取り込まれ疎水環境下で蛍光を発し、オートファゴソームからオートリソソームの状態を検出します。

*参考資料 : 新たなオートファジー機構の発見 清水重臣
https://www.dojindo.co.jp/letterj/160/review/01.html

Q

1キットあたり使用回数の目安を教えてください。

A

測定可能なサンプル数は以下をご参考ください。
・ 35 mm dish:5枚、μ-Slide 8 well 5 枚、96-well Plate 1 枚
※DALGreen/DAPRed working solution の最終濃度がそれぞれ DALGreen : 1.0 µmol/l、DAPRed : 0.2 µmol/l で使用した場合。

Q

オートリソソームの形成阻害実験で、Baf. A1の処理について注意点はありますか。

A

長時間の Baf. A1 処理により、イメージング解析において DAPRed 蛍光シグナルが拡散し蛍光総量 (area) に変化がないにも関わらず蛍光輝度が下がっているようにみえる場合があります。短時間の処理ではこのような変化は認められないため、プロトコルに従って2時間の飢餓誘導後に短時間 (20 – 40 分) の Baf. A1 処理をしてください。長時間の Baf. A1 処理 (8時間) データを数値解析し、DAPRed の蛍光総量 (area) が変わらないことを確認しております。

 

<検出条件>

CTRL: 通常培養条件、Stv.: 飢餓誘導条件、Baf. A1: オートリソソーム形成阻害条件
DALGreen 検出波長: 488 nm (Ex), 490–550 nm (Em)
DAPRed 検出波長: 561 nm (Ex), 565–700 nm (Em)

 

<実験操作>

1. μ-slide 8 well plate (ibidi社) にHeLa細胞 (1.0 x 104 cells/well) を播種し、5% CO存在下、37℃で一晩培養した。
2. 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄後、DALGreen/DAPRed working solution (DALGreen: 1 µM、DAPRed: 0.2 µM) をwellに200 μl加え、37℃で30分インキュベートした。
3. 上澄みを取り除き、細胞を 10% FBS含有 MEM 培地で2回洗浄した。
4. 以下の条件でサンプルを準備した。

• 10% FBS 含有 MEM 培地を well に 200 μl 加え、 5% CO2存在下、 37℃で8時間インキュベートした。(コントロール条件)
• アミノ酸不含培地 (富士フイルム和光純薬、製品コード: 048-33575) を well に200 μl加え、 5% CO存在下、 37℃で8時間インキュベートした。(飢餓誘導条件) 
• アミノ酸不含培地で希釈した Bafilomycin A1 (Baf. A1: リソソーム酸性化阻害剤) (10,000倍希釈) を well に 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で8時間インキュベートした。(オートリソソーム形成阻害条件)

5. 共焦点蛍光顕微鏡で観察した。 

Q

オートファゴソームの形成阻害の実験で、3-MAの処理について注意点はありますか。

A

長時間の 3-MA 処理により、オートファジーを促進してしまうことが報告されています*。また、3-MA 処理 (計90分) 後に2時間培養した細胞において、コントロール細胞と比較して DAPRed および DALGreen のシグナルが増加し、オートファジーが誘導されたことを確認した実績がございます。短時間の処理ではオートファジーの阻害に働くため、プロトコルに従って2時間の飢餓誘導後に20分程度の短時間で3-MA処理を行ってください。

*D. Klionsky et. al., "Guidelines for the use and interpretation of assays for monitoring autophagy (3rd edition)“, Autophagy, 2016.12(1), 1–222.

 

<検出条件>

CTRL: 通常培養条件、Stv.: 飢餓誘導条件、3-MA: オートファゴソーム阻害条件
DALGreen 検出波長: 488 nm (Ex), 490–550 nm (Em)
DAPRed 検出波長: 561 nm (Ex), 565–700 nm (Em)

 

<実験操作>

1. μ-slide 8 well plate (ibidi社) に HeLa 細胞 (1.0 x 104 cells/well) を播種し、5% CO存在下、37℃で一晩培養した。
2. 上澄みを取り除き、細胞を 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄した。
3. 以下の条件でサンプルを準備した。

• 10% FBS 含有 MEM 培地を well に 200 μl 加え、 5% CO2存在下、 37℃ で1時間インキュベートした。 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄後、DALGreen/DAPRed working solution (DALGreen: 1 µM、DAPRed: 0.2 µM) を well に200 μl加え、37℃で30分インキュベートした。(コントロール条件)
• 10% FBS 含有 MEM 培地で調製した 3-MA (10 mM) を well に 200 μl 加え、 5% CO2 存在下、 37℃で1時間インキュベートした。 10% FBS含有MEM培地で2回洗浄後、10 mM 3-MA を含む DALGreen/DAPRed working solution (DALGreen: 1 µM、DAPRed: 0.2 µM) を well に 200 μl 加え、37℃で30分インキュベートした。(3-MA処理条件)

4. 上澄みを取り除き、細胞を 10% FBS 含有 MEM 培地で2回洗浄した。
5. 10% FBS含有 MEM 培地を wel lに 200 μl 加え、 5% CO存在下、 37℃で2時間インキュベートした。
6. 共焦点蛍光顕微鏡で観察した。

Q

使用実績のあるオートファジー誘導剤と阻害剤を教えてください。

A

下記の誘導剤と阻害剤の使用実績があります。

取扱条件

取扱条件
保存条件: 冷凍,遮光 , 取扱条件: 窒素置換,吸湿注意
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