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SPDP [code: S291]
 CAS No. 68181-17-9
 Molecular weight: 312.37
 Sacer length 4.1 Å
Sulfo-AC5-SPDP [code: S359]
 CAS No. 169751-10-4
 molecular weight: 527.57
 spacer length 12.6 Å

はじめに

クロスリンカー (架橋剤) は 2 つの官能基を有する試薬であり、イムノアッセイやタンパク質修飾等で広く用いられている。SPDP は Hetero-bifunctional reagent の 1 つであり、アミノ基に反応する N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基およびチオール基との交換機能を持つピリジルジスルフィド基を有している。そのため、SPDP を用いて抗体や酵素等のタンパク質のアミノ基にピリジルジスルフィド基を導入し、下図のようにタンパク質などと架橋することが可能である。Sulfo-AC5-SPDP はスルホン酸基を有する活性エステル基が導入されているため、試薬を溶解するための DMF や DMSO など有機溶媒を用いることなく標識反応を行うことが可能である。

保存条件

SPDP は 0 ~ 5℃にて保存してください。Sulfo-AC5-SPDP は吸湿を避けて -20℃にて保存してください。

  • SPDP、Sulfo-AC5-SPDP を溶解した溶液は保存できません。用時調製でご使用ください。

必要な物

  • マイクロピペット (10 μl、200 μl)
  • マイクロチューブ
  • 精製用ゲルなど
  • 有機溶媒 (dimethylsulfoxide など)
  • 緩衝液 (PBS など)
  • インキュベーター

使用例

タンパク質やポリマーを用いた SPDP のプロトコルを紹介します。

  • 対象物により反応条件は異なります。実施例を参考に反応条件を設定してください。

SPDP を用いたタンパク質の修飾及びそのタンパク質を用いたタンパク質の架橋
反応 A: 還元することで、チオール基に変換される。
反応 B: チオール基に変換後、マレイミド化したタンパク質やポリマーと架橋可能である。
反応 C: チオール基を有するタンパク質やポリマーとジスルフィド結合で架橋可能である。

 

【リゾチーム架橋体の作製】(反応 A 及び反応 B)

① SPDP 修飾タンパク質及び HMCS 修飾タンパク質の調製

  1. 鶏卵由来リゾチーム (HEL、100 mg、7 µmol) を PBS (10 ml) に溶解し、 dimethylsulfoxide (50 μl) に溶解した SPDP (2.2 mg、7 µmol) と混合して、1 時間室温で反応する (SPDP-HEL)。
  2. マウスリゾチーム (ML、80 mg) を PBS (10 ml) に溶解し、 dimethylsulfoxide (50 μl) に溶解した HMCS (2.8 mg、 8.3 µmol) と混合して、1 時間室温で反応する (HMCS-ML)
  3. 上記 1、2 で調製された SPDP-HEL 及び HMCS-ML をカチオン交換樹脂により、精製する。

 

② A の方法:SPDP 修飾部位のチオール化

  1. SPDP-HEL の SPDP 部分をフリーのチオール基に変換するために、10 mmol/l EDTA を含む PBS (500 μl) に SPDP-HEL (2 mg、140 nmol) を溶解し、10 倍モル量の dithiothreitol (DTT、1.4 μmol) を加えて 30 分間室温で還元反応を行う。
  2. ゲルろ過カラムを用いて、DTT を除去し、還元された SPDP-HEL を精製する。

 

③ B の方法:タンパク質架橋体の作製

  1. 還元された SPDP-HEL に HMCS-ML (2 mg) を加え、室温で終夜反応する。
  2. HEL-ML の結合体をカチオン交換樹脂により精製する。

 

【オレイル化ポリマーの合成】(反応 C)

①ジスルフィド基を有するポリマーの調製

  1. ポリエチレンイミン (20 mg、0.8 µmol) を ethanol (1 ml) に溶解する。
  2. SPDP 溶液 (62 μl、320 µmol/l) を撹拌中のポリマー溶液に加え、4 時間室温で撹拌する。

 

②オレイル化ポリマーの作製

  1. 上記溶液にチオール基を有する脂質溶液を滴下し、滴下終了後 4 時間撹拌する。
  2. 反応液を窒素下で乾燥させ、最終物を得る。

参考文献

【小社の SPDP を用い、複合体を作製した使用例】

詳細な実験条件につきましては該当する参考文献をご覧ください。

反応 生成物 SPDP 反応対象物 架橋対象物 文献番号
A チオール基を有するポリマー アミンを有するポリマー - 1), 2)
B タンパク質 - タンパク質 鶏卵由来リゾチーム マウスリゾチーム 3)
C 脂質を架橋したポリマー アミンを有するポリマー チオール基を有する脂質 4)
  1. M. Oba et al., Pharmaceutics, 2008, 5(6), 1080.
  2. Y. Vachutinsky et al., J. Control. Release, 2011, 149(1), 51.
  3. Y. Tsujihata et al., J. Immunol., 2000, 165(7), 3606.
  4. S. Yang et al., Int. J. Pharm., 2015, 484(1-2) 30, 44.

FAQ

Q:有機溶媒を使わずに反応は可能ですか?

A:水溶性の Sulfo-AC5-SPDP をご使用ください。

 

Q:SPDP の使用条件を教えてください。

A:活性エステルとターゲットのアミノ基との反応は、弱アルカリ条件 (pH 7 ~ 9) で行ってください。
   その後の還元や他のチオールとの置換反応は中性条件で行ってください。

 

Q:SPDP の溶解可能な有機溶媒は何がありますか?

A: Acetonitrile、dimethylsulfoxide、N-methylpyrrolidone、ethanol に溶解できます。

関連製品

○クロスリンカー試薬

製品名 製品コード 容量

距離(Å)

EMCS E018 50 mg  9.4
100 mg 
GMBS G005 50 mg  6.9
100 mg 
DSP D629 1 g 8.5
SPDP S291 100 mg  4.1

○水溶性クロスリンカー試薬(有機溶媒使用不可の実験系向け)

製品名 製品コード 容量 距離(Å)
Sulfo-EMCS S024 50 mg 9.4
Sulfo-GMBS S025 50 mg 6.9
Sulfo-HMCS S026 50 mg 13.0
Sulfo-KMUS S250 50 mg 16.7
Sulfo-SMCC S330 50 mg 8.0
BS3 B574 50 mg 8.9
DTSSP D630 50 mg 8.5
Sulfo-AC5-SPDP S359 50 mg 12.6

S291_S359: SPDP/Sulfo-AC5-SPDP
Revised Apr., 05, 2024