グッド緩衝剤(Good's Buffer)
生体成分の分離・精製や組織培養を行なうにあたって、溶液内の pH をー定に保つ必要がある。適当な弱酸とその共役塩基の混合溶液が pH 緩衝液として利用される。陸生生物の生体成分の pH は普通 6.5~7.5 で、海生生物とくに海藻類は pH 8 程度であるから、生化学用途としては pH 6~8 の範囲を緩衝できるものでなければならない。Good らは生化学緩衝剤としての望ましい条件を考慮して、Zwitter ion 構造をもつ各種のアミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸誘導体を合成し、その有用性を明らかにした。これらは次に示すような特長をもっている。
Good's Bufferの特長
1) 水に良く溶け、濃厚な緩衝液が作成できる。
2) 生体膜を透過しにくい。
3) 酸解離平衡が濃度、温度、イオン組成の影響を受けにくい。
4) 金属イオンとの錯形成能が小さい。
5) 化学的に安定で、再結晶による高純度精製が可能。
6) 可視、紫外部に吸収を持たないために、目的成分の検出が容易である。
Good's Buffer緩衝液の調製法
(1) ADA、PIPES、POPSO の場合
(A) 0.1 mol/l モノナトリウム塩溶液調製(1000 ml)
ADA、PIPES、POPSO の遊離酸は難溶のためモノ ナトリウム塩溶液を調製して使用する。
ADA 19.016 g(PIPES 30.237 g、POPSO 39.846 g) と NaOH( 水酸化ナトリウム )4 g を脱イオン水 300 ~ 400 ml に完全に溶解した後、脱イオン水で全容を 1000 ml とする。…A 液とする。
(B) 0.1 mol/l NaOH 溶液調製 (1000 ml)
NaOH 4 g を脱イオン水 200~300 ml に溶解した後、 脱イオン水で全容を 1000 ml とする。…B 液とする。
(C) 緩衝液の調製
A 液 25 ml に B 液 0 ml、5 ml、10 ml、15 ml、20 ml を加えた時の pH(20℃ ) が表(1) のとおりである。 A 液に希望の pH になるように B 液を加える。

(2) Bis-Tris の場合
(A) 0.1 mol/l Bis-Tris 溶液調製 (250 ml)
Bis-Tris 5.231 g を脱イオン水で溶解し、全容を 250 ml とする。…A 液とする。
(B) 0.1 mol/l HCl 溶液調製 (250 ml)
塩酸 2.25 ml(0.9115 g HCl) を脱イオン水で溶解後、全容を 250 ml とする。…B 液とする。
(C) 緩衝液の調製
A 液 25 ml に B 液 0 ml、5 ml、10 ml、15 ml を加え た各溶液の 20℃における各々の pH が表(2)のとおり である。A 液に希望の pH になるように B 液を加える。

(3) (1)、(2)以外のもの
(A) 0.1 mol/l 遊離酸溶液調製 (1000 ml)
ACES 18.22 g *を脱イオン水 300 ~ 400 ml に完全 に溶解した後、脱イオン水で全容 1000 ml とする。… A 液とする。
*他の化合物については次のとおりである。
BES 21.325 g、Bicine 16.317 g、CAPS 22.131 g、 CHES 20.729 g、DIPSO 24.328 g、
EPPS 25.233 g、HEPES 23.831 g、HEPPSO28.635 g、MES 21.325 g、MOPS 20.927 g、
MOPSO 22.527 g、TAPS 24.328 g、TAPSO 25.928 g、TES 22.925 g、Tricine 17.917 g
(B) 0.1 mol/l NaOH 溶液調製 (1000 ml)
(1) (B) と同様に調製する。…B 液とする。
(C) 緩衝液の調製
A 液 25 ml に B 液 0 ml、5 ml、10 ml、15 ml、20 ml を加えた時の pH(20℃ ) は表(3)のとおりである。 A 液に希望の pH になるように B 液を加える。

※希望のpHに調整する際はpHメーターを用いて下さい
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お役立ちコンテンツ
Good's Bufferの利用最適pH 一覧表
グッド緩衝剤の性質を一覧表にしたポスターです。印刷してご利用下さい。
(画像のクリックでPDFが開きます)
グッド緩衝液の調製法(上記)と参考文献
このページで紹介した調製法とその参考文献のPDFファイルです。