Lysosomal Acidic pH Detection Kit-Green/Deep Red

リソソームpH検出キット (Green/Deep Red)
- リソソームpHと量の変化を同一サンプルで測定することで正確なpH変化を検出できる
- リソソーム酸性化阻害剤同梱のオールインワンキット
- 蛍光顕微鏡・FCMで検出できる
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製品コードL268 Lysosomal Acidic pH Detection Kit-Green/Deep Red
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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1 set | ¥40,700 | 345-10111 |
<使用回数の目安> 1 kit あたり、35 mm dish 10 枚、μ-Slide 8 well 10 枚、96-well Plate 2 枚
1 set | LysoPrime Deep Red pHLys Green Bafilomycin A1 |
x 1 x 1 x 1 |
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性質
リソソームは細胞内小器官の一つで、不要な物質を分解することで生体内恒常性の維持に寄与する酸性小胞です。リソソームの機能不全は神経変性疾患等の発症・進展に深く関与していることから、リソソームを詳細に解析することは病態の解明や治療薬の開発において注目を集めています。さらに、最近の研究では、神経変性疾患アルツハイマー病のモデルマウスでリソソーム内部の酸性度が低下することでオートファゴソーム内部の老廃物の分解ができなくなり、毒性のアミロイドβが蓄積されることがわかってきており*、リソソームのpH を確認する必要性が高まっています。
リソソームの生細胞解析では低分子蛍光色素を用いたライブイメージングが汎用されてきましたが、色素の特異性やpH変化に対する蛍光輝度の正確性が課題として挙げられてきました。本製品はこれらの課題を克服した2種類の色素が同梱されており、これらを組み合わせる事で より正確なリソソームの生細胞解析を可能とします。
*Nature Neuroscience, 2022, 25, 688–701.
マニュアル
技術情報
「pH と量」 2 つの変化で見えること
既存試薬では、単一色素の蛍光輝度の変化で議論するため、リソソームの量が変動したのか、機能(pH)が変動したのかを判別することが困難でした。本キットは、リソソームへの特異性が高くpH に依存的な蛍光の変動を示すpHLys GreenとpH抵抗性のLysoPrime Deep Red[Code:L264]が含まれています。その2種類の色素を使用し、同一サンプルの リソソームpH と 量 を測定することでリソソーム機能の詳細な解析が可能になります。
何故、正確なリソソーム機能を解析できるのか
pHLys Greenと既存製品の比較
既存のリソソームpH検出試薬は色素の局在性、pH感受性、滞留性に課題があり、 pHLys Greenはこれらの課題を解決した色素です。改善された色素滞留性と局在性により正常なリソソームを検出することができ、さらにpH感受性が向上したことで僅かなpH変化を検出することが可能です。
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1.鋭敏なpH検出感度
低濃度のリソソーム酸性化阻害剤Bafilomycin A1を処理した細胞のpH応答性の比較
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-
2.リソソームへの特異性が高い
リソソームマーカータンパクLAMP1-GFP発現細胞を用いたリソソームへの特異性の比較
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3リソソームへの滞留性が高い
細胞内滞留性の比較
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キットの特長と既存試薬との比較
測定に必要な試薬を1つのキットに同梱しております。また、色素の蛍光特性から、赤色の蛍光特性を持つ色素との共染色が可能です。
同仁化学のリソソーム検出色素シリーズは、既存の染色色素に比べ選択的にリソソームへ集積し24 時間以上染め続けます。これらの色素を
組み合わせて使用することで、リソソームの量とpH をより正確に確認することができます。
【本製品】 |
T社 | T社 | ||||
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色素/波長 |
pHLys Green Ex=488 nm |
Ex=633 nm |
Ex=561 nm |
Ex=488 nm |
リソソーム pHセンサー |
リソソーム |
用途 |
pH |
量 |
pH |
量 |
pH |
量 |
リソソーム pH依存性 |
〇 |
× |
〇 |
× |
△ | △ |
リソソーム 特異性 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
リソソーム 滞留性 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
利用装置 |
蛍光顕微鏡・FCM |
蛍光顕微鏡・プレートリーダー |
蛍光顕微鏡 |
蛍光顕微鏡 |
実験例 :Bafilomycin A1 を用いたリソソームpH 変化のイメージング・FCM 解析
HeLa 細胞を用いて、リソソーム酸性化阻害剤Bafilomycin A1(Baf. A1)で処理した際のリソソームの量とpH 変化を検出しました。LysoPrime Deep Red の蛍光は、 Baf. A1 添加にかかわらず殆ど変化しませんが、pHLys Green はBaf. A1 添加に伴うリソソーム中性化により蛍光の低下が確認されました。またフローサイトメーターでも検出が可能でした。このことから、Baf. A1 添加によりリソソーム機能は低下するもののリソソームの量には影響がないことが判りました。
![]() <検出条件> pHLys Green(緑): Ex=488 nm, Em=490-550 nm LysoPrime Deep Red(紫): Ex=633 nm, Em=640-700 nm |
![]() <検出条件> pHLys Green (FITC Filter):Ex=488 nm, Em=515-545 nm LysoPrime Deep Red (APC Filter):Ex=640 nm, Em=650-670 nm |
[FCM用プロトコル]
HeLa細胞 5x104 cells/mlを準備し、6wellプレートに2ml (1x105 cells/well) 添加し一晩培養
↓
洗浄2回(HBSS)
↓
LysoPrime DeepRed(HBSS)working solution 2ml添加 ※Stock solu.を800倍希釈
37℃30分
↓
洗浄2回(HBSS)
↓
pHLys Green(HBSS)working solution 2ml添加 ※Stock solu.を1000倍希釈
37℃30分
↓
洗浄2回(HBSS)
↓
Trypsin
↓
FCM
実験例:細胞内鉄の変化とリソソームpH変化の測定
神経変性疾患では、リソソーム機能と鉄との関係が注目されており、リソソームが中性化することで貯蔵鉄 (Transferrin or Ferritin)が分解されず、細胞内の鉄が減少することが報告されています*。
リソソーム酸性化阻害剤(Bafilomycin A1(Baf. A1))もしくは鉄キレート剤 (Deferipron (DFP))を添加したSH-SY5Y細胞を用いて、同一サンプル内のリソソームpH変化と細胞内鉄の変化を検出しました。(リソソームpH:本キット、細胞内鉄:FerroOrange[Code:F374])
その結果、Baf. A1の添加によりFerroOrangeの蛍光が低下したことから細胞内鉄の減少が確認されました。また、LysoPrime Deep Redの蛍光は殆ど変わらず、リソソームの中性化によりpHLys Greenの蛍光が低下しました。
以上より、細胞内鉄の変化とリソソームの機能に関連性があることが示唆されました。
*Mol Cell., 2020, 77(3), 645-655.
SHSY-5Y 細胞を用いて、リソソーム酸性化阻害剤 Bafilomycin A1 (baf.A1) もしくは鉄キレート剤 Deferipron (DFP)で処理した細胞のリソソームの量とpH変化、そして細胞内鉄の変化を検出しました。
リソソーム染色試薬・キット一覧
同仁化学ではリソソーム染色試薬、pH検出試薬・キットをランナップしております。ご自身の実験系に合わせてお選びください。
検出対象:リソソーム (蛍光色) |
製品名(品コード) | 対応装置 | 蛍光特性 | 容量・使用回数の目安 | ||||
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蛍光顕微鏡 | FCM | プレート リーダー |
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pH | 量 |
Lysosomal Acidic pH Detection Kit-Green/Deep Red (L268) |
〇 | 〇 | × |
(緑) pHLys Green (紫) LysoPrime Deep Red |
1 set |
35 mm dish 10 枚 |
pH | 量 | 〇 | × | 〇 |
(赤) pHLys Red (緑) LysoPrime Green |
1 set |
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pH | 〇 | × | 〇 | (赤) pHLys Red :Ex. 561/Em. 560-650 |
1 tube 3 tubes |
1 tube あたり、 |
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量 |
LysoPrime Deep Red - High Specificity and pH Resistance (L264) |
〇 | 〇 | 〇 | (紫) LysoPrime Deep Red :Ex. 633/Em. 640-700 |
1 tube 3 tubes |
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量 | 〇 | 〇 | 〇 | (緑) LysoPrime Green :Ex. 488/Em. 500-600 |
10μl x 1 10μl x 3 |
10 μl あたり、 |
よくある質問
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Q
リソソームpHに影響を与える薬剤刺激を考えています。注意点を教えてください。
-
A
LysoPrime Deep Redの染色は、必ず薬剤刺激前に行ってください。キット同梱のBafilomycin A1 (リソソーム酸性化阻害剤) を用いた刺激方法は、pHLys Green working solutionにBafilomycin A1を添加し染色と刺激を同時に行うか、pHLys Green working solutionで染色後にBafilomycin A1で刺激を行ってください。
-
Q
血清含有培地で染色できますか。
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A
LysoPrime Deep Redは血清の影響を受けるため染色できません。必ずHBSSや無血清培地等の血清を含まない溶液でworking solutionを作成してください。pHLys Greenは染色可能です。培地以外でしたらHBSSやPBSをご使用いただけます。
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Q
染色条件を検討する場合、LysoPrime Deep RedおよびpHLys Greenはどれくらいの濃度で使用すればよいですか?
-
A
染色条件を最適化される場合は以下をご参考ください。
・LysoPrime Deep Red
<蛍光強度が弱い場合>
500~1,000倍希釈の間でご検討ください。<非特異吸着がみられる場合>
1,000~5,000倍希釈の間でご検討ください。・pHLys Green
<蛍光強度が弱い場合>
250~1,000倍希釈の間でご検討ください。<非特異吸着がみられる場合>
1,000~2,000倍希釈の間でご検討ください。
取扱条件
保存条件: 冷凍,遮光 , 取扱条件: 窒素置換,吸湿注意 |