08 ラベル化剤

Fluorescein Labeling Kit - NH2

Fluorescein Labeling Kit - NH<sub>2</sub>

抗体・タンパク質標識キット

  • 初めて蛍光標識をする
  • 簡単な操作で実験したい
  • 抗原認識部位を妨害しない低分子で標識したい
  • 製品コード
    LK01  Fluorescein Labeling Kit - NH2
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
3 samples ¥26,000 347-90911
サンプル量 50-200 µg
所要時間 2時間
標識部位 -NH2
検出方法 顕微鏡・FCM
蛍光特性 [Ex:500, Em:525]

・分子量50,000以上のタンパク質が標識できる。

・Filtration Tubeを用いた分離操作により高い回収率で標識体が得られる。

・付属の保存溶液でフルオレセイン標識体の保存ができる。

キット内容
3 samples ・NH2-Reactive Fluorescein
・WS Buffer
・Reaction Buffer
・Filtration Tube
3 tubes
4 ml x1
500 μl x1
3 tubes

性質

Fluorescein Labeling Kit-NH2は、アミノ基を有するタンパク質、特に抗体へフルオレセインを標識するためのキットである。キット付属のNH2-Reactive Fluorescein は、その分子内に活性エステル基を有しているため、アミノ基を有する分子と混合するだけで安定な共有結合を形成する。イムノグロブリンG(IgG)にフルオレセインを標識する場合、標識反応を阻害するような低分子化合物(トリスなど)や未反応のNH2-Reactive Fluorescein は付属のFiltration Tubeを用いて、容易に除去されるため、透析やゲルろ過などの処理を行う必要がなく、高純度の標識体を高い回収率で得ることができる。フルオレセイン標識IgGの場合、蛍光波長はλexem=500/525 nmである。
本キットには、標識に必要なすべての試薬と作製したフルオレセイン標識体を保存するための溶液が含まれている。

開発元 Dojindo Molecular Technologies, Inc.

マニュアル

Fluorescein Labeling Kit - NH2の使い方

技術情報

特長

1) 約2時間でフルオレセイン標識体が調製できる。
2) 分子量50,000以上のタンパク質が標識できる。
3) 50~200 μgのタンパク質を標識可能である。
4) Filtration Tubeを用いた分離操作により高い回収率で標識体が得られる。
5) 付属の保存溶液でフルオレセイン標識体の保存ができる。

注意事項

市販の抗体などでゼラチンやアルブミン等を安定化剤として含む場合、それらの成分を除いてからご使用ください。試料中の共存物質の影響については「よくある質問:サンプル溶液中の共存物は反応に影響しますか?」に詳細を記載しておりますのでご参照ください。

NH2-Reactive Fluoresceinは、アルミラミジップに3本入っています。アルミラミジップを一旦開封した後は、未使用のNH2-Reactive Fluoresceinは、アルミラミジップに入れたまま、チャックをしっかりと閉め、-20℃で保存してください。NH2-Reactive Fluorescein以外は、0~5℃で保存してください。

冷蔵保存中もしくは室温に戻した際に、フィルトレーションチューブに水滴様の液粒が見られることがあります。これはメンブランの乾燥防止剤が液粒化したもので、製品の性能に問題はございません。

 

キット以外に必要なもの

・10 μl, 200 μl マイクロピペッター
・インキュベーター(37℃)
・マイクロチューブ(標識体保存用)
・遠心機(マイクロチューブ用)
・DMSO

反応原理

 

操作方法

実験例

Fluorescein標識抗ラットI-A抗原抗体を用いて染色したラット下顎骨凍結切片の免疫組織染色像


画像提供:東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 歯髄生物学分野 楊光艶先生、川島信之先生


Fluorescien標識抗NDRG1抗体を用いて染色したラット褐色細胞腫PC-12の免疫細胞染色像


NGFによる刺激前


NGFによる刺激後

画像提供:昭和大学共同施設 遺伝子組換え実験室 武富芳隆先生


マウス肺の蛍光染色像

a) マクロファージに発現するレセプターの抗体に対するFluorescein Labeling Kit - NH2で標識した標識抗体で染色
b) マクロファージのマーカーで染色
c) 核染色
d) 多重染色画像

画像提供:熊本大学医学部細胞病理学講座 寺崎泰弘先生

参考文献

参考文献を表示する

1) M. Hiyoshi, S. Suzu, Y. Yoshidomi, R. Hassan, H. Harada, N. Sakashita, H. Akari, K. Motoyoshi and S. Okada, "Interaction between Hck and HIV-1 Nef Negatively Regulates Cell Surface Expression of M-CSF Receptor", Blood, 2008, 111(1), 243.
2) W. Aung, A. Tsuji, H. Sudo, A. Sugyo, T. Furukawa, Y. Ukai, Y. Kurosawa and T. Saga, "Immunotargeting of Integrin α6β4 for Single-Photon Emission Computed Tomography and Near-Infrared Fluorescence Imaging in a Pancreatic Cancer Model", Molecular Imaging, 2016, 15, 1.
3) A. Shinya, K. Yamamoto, M. Kurata, S. Abe-Suzuki, R. Horii, F. Akiyama and M. Kitagawa, "Targeting MCM2 function as a novel strategy for the treatment of highly malignant breast tumors", Oncotarget., 2015, 6, (33), 34892.
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5) P.G. Sreekumar, R. Kannan, M. Kitamura, C. Spee, E. Barron, S.J. Ryan and D.R. Hinton, "αB crystallin is apically secreted within exosomes by polarized human retinal pigment epithelium and provides neuroprotection to adjacent cells", PLoS ONE., 2010, 5, (10), e12578.
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7) R. Asano, I. Shimomura, S. Konno, A. Ito, Y. Masakari, R. Orimo, S. Taki, K. Arai, H. Ogata, M. Okada, S. Furumoto, M. Onitsuka, T. Omasa, H. Hayashi, Y. Katayose, M. Unno, T. Kudo, M. Umetsu and I. Kumagai, "Rearranging the domain order of a diabody-based IgG-like bispecific antibody enhances its antitumor activity and improves its degradation resistance and pharmacokinetics", MAbs., 2014, 6, (5), 1243.
8) R. Asano, K. Ikoma, I. Shimomura, S. Taki, T. Nakanishi, M. Umetsu and I. Kumagai, "Cytotoxic enhancement of a bispecific diabody by format conversion to tandem single-chain variable fragment (taFv): the case of the hEx3 diabody", J. Biol. Chem.., 2011, 286, (3), 1812.
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16) M. Yashiro, M. Ohya, T. Mima, Y. Nakashima, K. Kawakami, T. Sonou, K. Tatsuta, Y. Yamano, S. Negi and T. Shigematsu, "Excessive ADAM17 activation occurs in uremic patients and may contribute to their immunocompromised status.", Immun Inflamm Dis., 2020, 10.1002/iid3.298.
17) H Fujishiro, H Yamamoto, N Otera, N Oka, M Jinno and S. Himeno, "In vitro Evaluation of The Effects of Cadmium on Endocytic Uptakes of Proteins into Cultured Proximal Tubule Epithelial Cells.", Toxics, 2020, 8,10.3390/toxics8020024
18) Y. Liu, Y. Liu, X. Zheng, L. Zhao and X. Zhang, "Recapitulating and Deciphering Tumor Microenvironment by Using 3D Printed Plastic Brick–Like Microfluidic Cell Patterning", Adv Healthc Mater, 20209, (6), 1901713.

よくある質問

Q

Labeling Kitで1次抗体を直接標識する利点を教えてください。

A

はじめて抗体標識をされる方を対象としたプロトコルを作成しております。
カスタマーサポートの視点から直接標識法の利点や実施例等を記載しておりますので、ご参照下さい。

下記リンクよりダウンロード可能です。
「はじめての抗体標識プロトコル ~カスタマーサポートの視点から~」

Q

サンプル溶液中の共存物は反応に影響しますか?

A

共存物の種類により影響することがあります。
溶液中にどのような物質が含まれるかを確認の上、状況に応じてラベル化に用いるサンプルの精製を行い、標識反応にご使用ください。

<高分子:分子量1万以上>
影響する可能性があります。
BSAやゼラチンなどアミノ基をもつ化合物が含まれると、抗体への標識効率が低下します。また、高分子のためFiltration Tubeでも除くことができません。また、アミノ基を持たない化合物でも、高分子の不純物が多いとフィルターの目詰まりの原因になり、標識・精製操作に支障がでる可能性もあります。反応に使用する前に別途精製を行ってください。
*本製品に限らず他のLabeling kit に関しても同様の注意が必要です。

Q

低分子のタンパク質(分子量50,000以下)に標識する場合の方法を教えて下さい。

A

キット付属のフィルトレーションチューブは分画分子量30Kの限外濾過フィルターのため、余裕をもって50,000以上のタンパク質のご使用を推奨しております。

分子量50,000以下のタンパク質を標識される場合は、下記のような分画分子量の小さい限外濾過フィルターに変更して頂くことで、低分子のタンパク質でもラベル化可能でございます。

------------------------------------------
PALL社 ナノセップ  3K 製品No.OD003C33
PALL社 ナノセップ 10K 製品No.OD010C33 
------------------------------------------

キット同梱のフィルターを用いた場合に比べ遠心に時間を要することがございますので遠心時間はご検討下さい。

Q

標識後、フィルトレーションチューブを遠心してもメンブレン上に液が残る。

A

(1)メンブレンを目視で確認した際、メンブレンカップの淵にうっすら液が残る程度であれば、次の操作に進んで下さい。
 メンブレン上に液が残っていたり、メンブレンカップを傾けて回転させたとき、液が垂れてくるようであれば、さらに遠心を8,000g で15分~30分程度行って下さい。

(2)1)の遠心操作後もメンブレン上に液が残る場合は、標識体が凝集していないか確認してください。
 抗体やタンパク質自身の性質によりますが、低分子標識剤を標識することで抗体やタンパク質の疎水性が増し、凝集する場合がございます。
 標識体に凝集が見られる場合は、一度別のマイクロチューブに移し、遠心し上澄みをご使用ください。(抗体・タンパク質の回収量は低下いたします。)

上記でも解決しない場合は、小社カスタマーサポートまでお問い合わせください。

※フィルターの目詰まりが疑われる場合は、メンブレンフィルターを新しいものに交換すると解決する場合がございます。 
代替品: PALL社製 ナノセップ 30K (メーカーコード:OD030C33)

Q

このキットではどのようなものが標識できますか?

A

分子量が「50,000以上」で反応性のアミノ基(NH2)を有している化合物(抗体、蛋白質など)であれば標識できます。
量は「50~200μg」が対象となります。

*キットに添付しているFiltration Tubeのサイズが30Kのため、低分子の化合物は精製できません。

Q

モル吸光係数から標識率を算出する時に [0.22]がかけてありますが、この数値は何でしょうか?

A

Fluorescein は280nmと500nmに吸収があり、280nm/500nmの比が[0.22]です。

Fluoresceinの標識率の式は下記の通りです。

60,000は500nmでのFluoresceinのモル吸光係数で、右辺の分子はFluoresceinのモル数になります。

280nmの吸光度は「タンパク質の吸光度+Fluoresceinの吸光度」となっていますので、500nmの吸光度に0.22を掛けたもの引くことにより、タンパク質のみの吸光度が求まります。
この吸光度をモル吸光係数で割ることで、分母はタンパク質のモル数となります。

取扱条件

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保存条件: 冷蔵 , 取扱条件: 吸湿注意
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