アセチルコリンエステラーゼ特異的基質
MATP+

　アセチルコリンエステラーゼ（AChE）は、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解して神経伝達系をコントロールする重要な酵素の一つであり、脳や血中（赤血球）等に存在することが知られています。この酵素は有機リン系およびカルバメート系の農薬や殺虫剤などによって活性が低下することから、これらの薬物の暴露指標として用いられています。また、アルツハイマー病ではこの酵素が活性化しているため、アルツハイマー病治療薬のターゲットとしても注目されています。
　現在、AChE 活性測定には、基質であるアセチルチオコリンと検出試薬である DTNB を用いた Ellman 法が一般的に用いられています。しかしながら、アセチルチオコリンは、AChE 選択性が低く、生体内に存在する非特異的コリンエステラーゼ（ブチリルコリンエステラーゼ； BChE）に対しても反応します。そのため、AChE 活性を測定するためには BChE 阻害剤を添加する必要があり、操作が煩雑でした。
　MATP+ は、放射線医学総合研究所によって開発された新規のアセチルコリンエステラーゼ（AChE）基質です（Fig. 1）。

　一般的に用いられているアセチルチオコリンに比べ、非常に高い AChE 選択性を有しています（Fig. 2）。そのため、BChE 阻害剤を添加することなく AChE 活性を選択的かつ簡便に測定することができます。

　本試薬は全血中の AChE 活性測定や Karnovsky/Roots 法を用いた神経組織の AChE 染色に有用であり、AChE 活性が変動する疾患や農薬暴露の確認手段として簡便で正確な測定方法として利用されています。
（本製品は特許出願がなされており、小社は試薬用途として、その実施許諾を得て製造・販売しております）

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