オンライン開催 細胞死 セミナー (全4回)
同仁化学研究所では細胞死研究のサポートを目的に専門の先生方をお招きし、全4 回にわたるセミナーを開催いたしました。
細胞死は生体の恒常性維持に必要であり、古くから知られているアポトーシスやネクローシスだけでなく、近年多くの種類の非アポトーシス細胞死が発見され、がんや免疫、老化、発生などの様々な研究分野で注目を集めています。
講演内容
第1回 細胞死について発生・成長・老化・再生における細胞死機構の調節など「細胞死」研究を主軸にご研究をされている東京大学大学院 三浦 正幸 教授より細胞死について解説頂きます。細胞死に関し知識を深めたい方、これから細胞死に関連したご研究をはじめる方へも分かりやすくご説明いただきました。 |
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講師:日本Cell Death学会 理事 東京大学大学院 薬学系研究科遺伝学教室 三浦 正幸 教授 |
第2回 ネクロプトーシスについてネクロプトーシスはアポトーシスを阻害したときに見られるネクローシス様細胞死として解析が始まった非アポトーシス細胞死の一つです。RIPK1/3、MLKLというタンパク質がシグナル伝達や細胞死実行に関わっており、マウスモデルからウィルス感染や病態時の組織損傷に関与することが示されています。本セミナーでは東邦大学 中野裕康先生にネクロプトーシスについて基礎からご講演をいただきました。 |
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講師:東邦大学 医学部医学科 生化学講座 中野 裕康 教授 |
第3回 パイロトーシスについてパイロトーシスはサルモネラの細胞内感染によって誘導されるカスパーゼ1依存性のネクローシス様細胞死として報告されています※1。ウィルス、細菌関連分野だけでなく、がん細胞にパイロトーシスを誘導したほうがアポトーシスより強く抗腫瘍免疫を活性化するとの報告もあり、注目されている分野の一つです。本セミナーでは金沢大学 須田貴司先生にパイロトーシスについて基礎からご講演をいただきました。 |
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講講師:金沢大学 がん進展制御研究所 免疫炎症制御研究分野 須田 貴司 教授 |
第4回 フェロトーシスについてフェロトーシスは新たな非アポトーシス型細胞死様式であり、二価鉄依存性の脂質過酸化を伴う細胞死として報告されています※2。がん細胞はフェロトーシス耐性を有している事から、がん細胞にフェロトーシスを誘導させるがん治療の研究が活発に行われています。本セミナーでは北里大学 今井浩孝先生にフェロトーシスについてご講演をいただきました。 |
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講師:北里大学薬学部・大学院 薬学研究科 衛生化学教室 今井 浩孝 教授 |
※1.ワシントン大学の Cooksonらによって報告(2001年)された細胞死様式
※2.コロンビア大学の Stockwell らによって報告(2012年)された新たな非アポトーシス型細胞死様式