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はじめに

Fluo 4 はFluo 3 のクロロ基 (Cl) がフルオロ基 (F ) に置換した構造を持つカルシウム蛍光プローブです。フルオロ基に替わったことで、励起スペクトルの極大波長はFluo 3 よりも10 nm 程度短波長にシフトしており、アルゴンレーザーの波長により近くなり、488 nm 励起での蛍光強度はFluo 3 の二倍程度になります。Fluo 4 のカルシウムイオンの解離定数 (Kd Ca) は360 nmol/l で、数 μmol/l までのカルシウムイオン濃度変化を蛍光変化として迅速かつ高感度に測定できるので、細胞内の遊離カルシウムイオン変動のモニターに使用されます。Fluo 4 は生理的条件では分子内のカルボキシル基がマイナスチャージを持つため、細胞膜を透過できませんが、アセトキシメチルエステル化(AM化)した中性分子のFluo 4-AM は細胞膜を透過できます。細胞膜を透過したFluo 4-AM は、細胞内のエステラーゼにより加水分解を受けFluo 4 となり、分子周辺のカルシウムイオン濃度により蛍光強度が変化します。
 

Fluo 4-AM C51H50F2N2O23=1096.94 Fig. 1 Fluo 4 および Fluo 3 蛍光スペクトル (Ex. 490 nm)
1 μmol/l Fluo 4 (or Fluo 3), 20 mmol/l HEPES, 0.1 mmol/l CaCl2

内容

  • Fluo 4-AM 50 μg x 8
  • 添付品 Dimethylsulfoxide(DMSO) 1 ml x 1

溶液調製法

Fluo 4-AM 50 μg に適量のDMSO を加え、均一に溶解するとご希望の濃度の溶液に調製できます。
目的濃度に調製するためのDMSO 使用量については、下記の式で算出してください。

* 45 μl のDMSO を加えた場合、約1 mmol/l の溶液になります。

濃度A (mmol/l) のFluo 4-AM 溶液を調製したい場合のDMSO の使用量B (μl )
 B = 45.6/A

使用例

下記の試薬濃度やインキュベーション時間は、必要に応じて最適化する必要があります。

  1. 1〜5 mmol/l Fluo 4-AM 溶液となるようにDMSO を加え溶解する1)
  2. 調製したFluo 4-AM/DMSO 溶液を細胞に使用される中性バッファーを用いて1000 倍程度に希釈する2)
    (Fluo 4-AM バッファー溶液)
  3. Fluo 4 を導入したい細胞(細胞数: 106 cells/ml 程度)に対して、終濃度が1〜5 μmol/l になるように、希釈したFluo 4-AM バッファー溶液を加える3)
  4. 細胞を10〜60 分間インキュベートする。
  5. 細胞を培地で洗浄する。

注意事項

  1. 残ったFluo 4-AM/DMSO 溶液は-20℃で保存してください。保存した溶液の使用に際しては、調製時と比べて着色あるいは蛍光が強く見られる場合は使用しないでください。Fluo 4 の導入効果が低くなります。
  2. バッファーで希釈した溶液は保存できません。用時調製してください。また、Fluo 4-AM の細胞への取り込みが悪い場合は、Pluronic® F-127 などのデタージェントを使うと、導入効率が高くなる場合があります。
    (Pluronic® F-127 の濃度は0.04 % 程度でご使用ください。)
  3. Fluo 4-AM の希釈バッファー溶液を加える際の細胞培地は、血清を含まない培地あるいは、バッファーを用いてください。血清を含む培地では、AM 基が血清由来のエステラーゼにより加水分解を受け、導入効率が大幅に低下することがあります。
  • 本製品には、ガラス製容器を使用しております。保護手袋を着用するなど、お取扱に際してはご注意ください。

 

F312: Fluo 4-AM special packaging
Revised Dec., 13, 2023