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はじめに

Calcium Kit II - Fluo 4 は、細胞内Ca2+ 測定試薬である Fluo 4-AM と、その測定に必要な Buffer 等を組み込んだキットです。細胞種や添加する薬剤などに応じて、Pluronic® F-127 またはCremophor® EL(Fluo 4-AM
の溶解補助剤)、Probenecid(陰イオントランスポーターの阻害剤)の各濃度を任意に設定でき、細胞を培養したマイクロプレートに直接添加できます。
細胞外に存在する Fluo 4 の蛍光を消去する試薬が組み込まれていますので、従来のような細胞の洗浄操作が不要です。短時間で多くのサンプルを処理することができ、High Throughput Screening(HTS)に適してい
ます。ただし、細胞種や添加する薬剤によっては、「レスポンスの高低」 「リガンドとの相互作用」などが生じることがあります。測定系に影響の少ない方法での測定を行いたい場合は、Wash タイプで姉妹品の「Calcium
Kit - Fluo 4」をお薦めいたします。
本キットで調製した Loading Buffer で96 穴プレート10 枚分の測定が可能です。測定にはクリアボトムのプレートと下方励起・下方蛍光測定が可能なプレートリーダーをご使用下さい。


Fluo 4-AM

キット内容

Fluo 4-AM 50 μg x 10
Dimethylsulfoxide 2 ml x 1
Hanks’ HEPES Buffer (10X) 6 ml x 1
250 mmol/l Probenecid 1.3 ml x 1
5% Pluronic® F-127 2.5 ml x 1
5% Cremophor® EL 2.5 ml x 1
Quenching Buffer 55 ml x 1

保存条件

冷凍にて保存してください。ご購入後、1 年以内にご使用ください。

使用上の注意

  • Fluo 4-AM の Dimethylsulfoxide 溶液および Loading Buffer は用時調製してください。
    • Fluo 4-AM を Dimethylsulfoxide に溶かした状態で長期保存すると、Fluo 4-AM が分解する可能性があります。
    • Loading Buffer は、出来るだけ1 回の操作で使い切ることをお薦めします。
  • Quenching Buffer の容器への着色が見られる場合がありますが、ご使用には問題ありませんのでそのままお使いください。
  • Quenching Buffer 中に沈殿が生じる場合がありますが、品質には影響ありません。40°Cの水浴で加温溶解後お使いください。
  • 本製品には、ガラス製容器を使用しております。保護手袋を着用するなど、お取扱に際してはご注意ください。

プロトコール

1. 細胞の培養

マイクロプレートの各ウェルに細胞浮遊液を分注し、炭酸ガスインキュベーター内で一晩培養する。

  • 付着細胞を使用する際は、96 穴プレートでは 15,000 cells/well、384 穴プレートでは 5,000 cells/well 程度の細胞を一晩培養して使用することをお薦めします。
  • 浮遊細胞を使用する際は、96 穴プレートでは 100,000 cells/well、384 穴プレートでは 25,000 cells/well 程度で使用することをお薦めします。
  • 培養に用いる培地の量は、96 穴プレートで 100 μl/well、384 穴プレートで 25 μl/well をお薦めします。

 

2. Loading Buffer の調製 (96 穴マイクロプレート 1 枚分)

  1. 添付の Dimethylsulfoxide から 50 μl を分取し、Fluo 4-AM 1 本(50 μg)に加え、よく溶解する。
  2. Quenching Buffer 5 ml に、Hanks’ HEPES Buffer (10X) 500 μl、測定条件に応じて、任意の量の5% Pluronic® F-127(または5% Cremophor® EL)、250 mmol/l Probenecid を添加し、これに全量が10 ml となるように純水を加え、よく混合する(本キットは予め、測定に最適なpH7.4 付近となるよう構成してありますが、必要に応じて HCl や NaOH 溶液で pH を調整してください)。
  3. Fluo 4-AM の Dimethylsulfoxide 溶液 (50 μl) を添加して、よく混合溶解し、Loading Buffer とする。
  • 推奨濃度を Probenecid: 1.25 mmol/l 、Pluronic® F-127: 0.04 % としてありますが、濃度の変更は可能です。

Loading Buffer 10 ml を調製する場合、Probenecid、Pluronic® F-127 ( またはCremophor® EL) のアッセイ時の最終濃度と、添加量の関係は下記のようになります。

250 mmol/l Probenecid 溶液の添加量と最終濃度
添加量(μl) 40 60 80 100 120
最終濃度(mmol/l) 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50
5% Pluronic® F-127 (5% Cremophor® EL) 溶液の添加量と最終濃度
添加量(μl) 40 80 120 160 200
最終濃度(%) 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

 

3. 細胞への Fura 2-AM のロード

  1. 細胞を培養したままの状態で培地は取り除かない。直接、培地と当量(96 穴プレートで100 μl/well、384 穴プレートで25 μl/well) の Loading Buffer を、それぞれのウェルに加える。
  2. 37°C で1 時間、インキュベートする。
  3. そのまま薬剤添加による蛍光強度変化を、各種蛍光プレートリーダーで測定する。
    ex = 480 ~ 500 nm, λem = 518 nm; 細胞洗浄の必要はありません。) 

CS32: Calcium Kit II - Fluo 4
Revised Jan., 05, 2024