ミトコンドリアComplex I 活性測定キット
MitoComplex-I Activity Assay Kit
- 分画したミトコンドリアに試薬を添加するだけで測定可能
- 凍結保存したミトコンドリアでも測定可能
ミトコンドリアは、生命活動に必要なATP(アデノシン三リン酸)を合成する役割を担っています。ATPの合成過程で行われる呼吸反応の一部である電子伝達系は、ATP合成に必要なプロトン駆動力を生み出し、細胞内ATP産生に関与する重要な反応機構です。電子伝達系は5つの酵素複合体(Complex I ~ V)から構成されており、中でもComplex I(NADH: ユビキノン酸化還元酵素)は電子伝達系の出発点に位置します。NADHからユビキノンへの電子伝達を介して、プロトンをミトコンドリアのマトリックスから膜間腔へ輸送します。
本キットは、NADH酸化反応を指標にComplex I活性を比色測定でき、分画したミトコンドリアを用いた定量解析が可能です。また96ウェルプレートを用いて多検体を同時に処理できるため、Complex I の薬剤影響評価にも適用できます。
<原理>
Complex I の働きにより、電子はNADHからUbiquinoneに渡され、その際にNADHはNAD+へと酸化されます。NADHは340 nm付近に極大吸収を持っているため、340nmの吸光度の減少を測定することでComplex I の活性として測定することが可能です。
<実験例1:IntactMito Fractionation Kit for Tissueにて分画したミトコンドリアのComplex I 活性測定>
小社製品のIntactMito Fractionation Kit for Tissueを用いて、マウスの脳から分画したミトコンドリアのComplex I の活性を本キットを用いて測定しました。 Complex I 阻害剤であるRotenoneを添加するとComplex I 活性の低下が確認されました。
・使用サンプル:マウス脳由来の分画したミトコンドリア
・使用薬剤:10 μmol/l Rotenone
<実験例2:各複合体阻害剤添加時の活性測定>
ミトコンドリア電子伝達系複合体 I、II、III、V の各阻害剤を添加したときのComplex I 活性の変化を本キットを用いて測定しました。Complex I 阻害剤を添加した条件のみ、Complex I 活性の低下が確認されました。
・使用サンプル:ウシ心臓由来の分画したミトコンドリア
・使用薬剤:
Complex I inhibitor (0.5 μmol/l Rotenone)
Complex II inhibitor (0.5 μmol/l TTFA)
Complex III inhibitor (0.5 μmol/l Antimycin)
Complex V inhibitor (0.5 μmol/l Oligomycin)