Commercial 新製品

細胞内グアニン四重鎖(G4)検出キット ※本製品は発売延期となりました

G-Quadruplex Staining Kit

<特長>
  • dsDNAとG4DNA/RNAを染色可能な色素
  • dsDNAとG4DNA/RNAを生細胞で染色可能な色素

 G-quadruplex(G4)はDNAやRNAの高次構造の一種でグアニンに富む核酸配列で形成され、4つのグアニンが四量体を作った面(G-カルテット)が2面以上重なった構造体です。ヒト細胞の約2,300種類のmRNA中にはG4が約3,800カ所形成されることが予測されており、mRNA中に存在するG4の役割はこれまで未解明でした。近年の研究1), 2)でG4は、ゲノムの安定性や遺伝子発現の調節に重要な役割を果たすことが分かってきており、G4を簡便に検出できる方法が求められてきました。これまでG4 DNAの蛍光プローブが数例報告1), 2)されています。しかし、それらのプローブを用いてG4を検出するためには蛍光寿命イメージングを行い、G4とDNAを区別する必要があり、装置的な制約があります。そのため、現在は抗体を用いた蛍光免疫染色が主流となっていますが、細胞内を免疫染色するには細胞の固定化が必要となり、生細胞での観察が不可能です。それらの課題を克服するため生細胞・固定細胞のdsDNAとG4 DNA/RNAを一般的な蛍光顕微鏡で観察可能な蛍光プローブを開発しました。

1) L.-Y. Liu et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2020, 59(24), 9719-9726.
2) P. A. Summers et al., Nat. Commun. 2021, 12, 162.

<励起波長によるdsDNAおよびG4 DNAの選択性>

 本プローブは、470 nmで励起した場合にはdsDNA(λem 600 nm)の蛍光強度が強く、570 nm で励起した場合にはG4 DNA(λem 700 nm)の蛍光強度が強くなりました。これらの結果から、励起波長と蛍光検出波長を適切に選択することで、dsDNA とG4 DNAを識別できることが示されました。

<実験例:HeLa細胞の生細胞と固定細胞の染色>

 HeLa細胞を用いて生細胞と固定細胞のイメージング解析を行いました。その結果、いずれにおいてもdsDNAとG4 DNA/RNAを染色することができました。

<実験例:ピリドスタチン(PDS)処理したA549細胞染色のタイムラプス>

 生細胞におけるG4形成のダイナミクスを可視化した。HeLa細胞をPDS(0または20 μM)で処理し、蛍光顕微鏡画像を30分ごとに取得した。PDSの添加により、時間が経過するにつれて、細胞の核からの700 nmの蛍光が増加した。これらの結果は、細胞内のPDS誘導G4形成が本プローブによって明確に可視化されたことを示した。本プローブは、G4を生細胞にて観察することが可能です。

※ PDSピリドスタチンは、高度選択的なG4相互作用分子です。ピリドスタチンは、G4構造を安定化し、DNA損傷と細胞周期停止を引き起こします。

※ 本製品は、和歌山大学システム工学部 坂本隆准教授らにより開発されたものです。


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