細胞外ATP測定キット

　ATPは細胞のエネルギー源として重要ですが、細胞外に放出されるとダメージ関連分子パターン（damage-associated molecular patterns; DAMPs）の一種として神経伝達や細胞増殖、炎症、免疫反応に関与します。例えば、ヒト肺繊維芽細胞では酸化ストレスによるATP放出が細胞老化を誘導すると報告されています。また、ATPは細胞死の初期に放出されるため、ネクロプトーシスやパイロトーシスの解明にも注目されています。本製品は細胞培養上清中のATPを検出できる96ウェル対応のキットで、多検体の測定が可能です。

＜原理＞

　本製品では、細胞培養上清中のATP をホタル・ルシフェラーゼ発光法を用いて測定します。

＜実験操作＞

① マイクロプレートに細胞を播種する
② 必要に応じて薬剤刺激を行う
③ 細胞培養上清を96ウェル白色プレートに移す*
　* シングルチャンネルピペットを使用する
④ 発光試薬を添加しプレートリーダーで発光量を測定

＜実験例＞

① Staurosporine処理した細胞を用いた評価

　Staurosporineで処理したHeLa細胞およびA549細胞の細胞外ATP放出の時間変化を評価しました。結果、細胞種によって挙動が異なることが確認されました。

② アポトーシス阻害剤を用いた評価

　アポトーシス阻害剤Z-VADで前処理したJurkat細胞と未処理の細胞を、Staurosporineで処理した場合の細胞外ATP放出の時間変化を評価しました。その結果、Z-VAD処理の有無により、細胞外ATP放出の挙動および細胞生存率と細胞外LDH量に変化がみられることが確認できました。

＜キット内容＞