精子染色キット
Sperm Staining Kit
- 精子を簡便かつ迅速に染色することが可能
- 蛍光二重染色によるFRET を利用した精子特異的な観察
- 高い視認性
生殖細胞である精子は、その形成過程で核タンパク質がヒストンからプロタミンに置換されます。プロタミンはジスルフィド結合によって高次構造を形成します。これにより、体細胞核と異なり、精子核ではクロマチン構造が高度に凝集しています。
<原理>
本キットは、プロタミンに多く含まれるジスルフィド結合を還元し、チオール反応性蛍光色素(Thiol-specific Dye Blue)を還元したチオール基に結合させ、同時にDNA染色蛍光色素AO(Acridine Orange)により二重染色することができるキットです。UV光(Blue)でThiol-specific Dye Blueを励起させることで生じた蛍光エネルギーが、その近傍のDNAと結合したAOに蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を起こし、精子頭部が強い緑色蛍光を発します。

<共焦点顕微鏡を用いた精液と口腔細胞の染色実験>
精液、口腔内細胞を付着させた綿棒からスライドガラスに塗布したサンプルを準備しました。その後、サンプルを固定化し(4% paraformaldehyde PBS, 5min)、本キットを用いて、ジスルフィド結合の還元処理(RA Solution, 5min)、続いて蛍光色素による染色(Stainings olution, 5min)を行いました。
蛍光顕微鏡(LSM800, Zeiss)により405nmで蛍光プローブを励起させ、一定の検出感度及びレーザー強度で蛍光画像を取得した結果、精液のみ緑色蛍光(Blue/Green)で精子を観察することができました。


【検出条件】
Blue 検出波長 : Ex = 405nm, Em = 450–510nm, Gain: 0.15%, 550V
Blue/Green 検出波長 : Ex = 405nm, Em = 520–530nm, Gain: 0.15%, 550V
Green 検出波長 : Ex = 488nm, Em = 520–530nm, Gain: 0.10%, 550V
※本製品は、岐阜県警察本部 刑事部 科学捜査研究所 酒井優治 先生のご指導の下、製品化しました。