二価性試薬 (NTA Type)
Isothiocyanobenzyl-NTA
N-[5-(4-Isothiocyanatobenzyl)amido-1-carboxypentyl]
iminodiacetic acid
Isothiocyanobenzyl-NTA(ITC-Bz-NTA)* は、生理的条件下においてアミン化合物、アミノ基を有する生体分子や固体表面など様々な物質にキレート部位を導入できます。NTAは重金属と安定な錯体を形成するため、NTAと結合した化合物や生体分子、固体表面などに金属イオンを導入することが可能です。これら金属キレート化合物は、金属イオンと相互作用する特定の物質の検出や分離に用いることができます。
まず、Isothiocyanobenzyl-NTAを1級アミノ基を有する物質と反応させ、次いでNi(II)を加え錯形成させます。しかしこの段階では、Ni(II)の配位座はIsothiocyanobenzyl-NTAによって完全には満たされず、空いた部分には水が配位しています。このIsothiocyanobenzyl-NTAのNi(II)錯体に6個のヒスチジンを発現させたタンパク質(His-tagged protein)を加えると、ヒスチジン部分がNi(II)に配位するため、特異的かつ一定方向に固定化することができます(この結合は強固ですが、フリーのヒスチジンやイミダゾールによって可逆的に解離します)。
これまでの化合物に比べ、容易な導入が可能となったことから、“His-Tag”技術へのますますの応用が期待されます。
* NTA: Nitrilotriacetic acid
▲ページのトップへ |