九州大学と小社は、九州大学での優れた研究成果を迅速に実用 化することを目的に組織対応型(包括的)連携契約を締結致しまし た。今後、本紙面上で随時それらの成果をご紹介していく予定で す。今回、Topics on Chemistryにてご紹介致しました「チキソトロピー性を示す導電性低分子ゲル」はインク等で重要なチキソ トロピー性と電子回路への応用が期待される導電性とを合わせ 持ったユニークな材料です。本材料とともに下記の技術に関して も実用化を検討しています。これらにご興味がありましたら小社 までお問い合わせ下さい。
No.002 過酸化脂質計測用蛍光試薬
ジフェニルホスフィンのリン原子に対して極めて優れた蛍光特 性を有するペリレン類を連結した過酸化脂質計測用蛍光試薬を開 発した。例としてジフェニルホスフィンにperylene 3,4,9,10-tetracarboxyl bisimide誘導体を連結した過酸化脂質計測用蛍光試薬を合成し、脂溶性過酸化物である m-chloroperoxybenzoicacid(MCPBA)を添加したところ、ホスフィンオキシド体の形成に伴 い蛍光が大きく増強した。本化合物の蛍光波長は十分に長く( λ ex = 524 nm, λ em = 535 nm in methanol)、DPPPのような短波長励起が必要な従来の過酸化脂質計測用蛍光試薬で問題となる生 体試料由来の自家蛍光の影響や生細胞へのダメージを大きく軽減 できる。また本化合物の反応体(ホスフィンオキシド体)の蛍光 量子収率は極めて高くなっている(〜1 in methanol)。このように本試薬は、過酸化脂質計測用蛍光試薬として非常に優れた特徴 を有している。
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