15 比色試薬/金属指示薬

TPTZ

TPTZ

比色試薬/金属指示薬

  • 製品コード
    T028  TPTZ
  • CAS番号
    3682-35-7
  • 化学名
    2,4,6-Tris(2-pyridyl)-1,3,5-triazine
  • 分子式・分子量
    C18H12N6=312.33
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
1 g ¥6,200 345-02823
5 g ¥26,200 343-02824

性質

TPTZは水には溶けにくいが(0.03 g/100 mL)、希酸にはよく溶ける。また、エタノールにはかなり溶けるが、他の有機溶媒にはほとんど溶けない。酸解離定数はpKa=3.1(μ=0.1 mol/L KCl, 25℃)である。
pH 3.4~5.8の範囲でFe2+と1:2の組成の赤紫色キレートを作り、その比色試薬として利用される。しかし、Co, Cu, Niとも発色し、Feに選択的ではないので、多量の共存は妨害となる。血清、ボイラー水などの中のFeのほか、硝子、シリケート、石炭、高純度各種金属、酒、ビタミンEなどの中のFeの定量が報告され、オートアナライザー用としてもすぐれている。

技術情報

応用可能な金属

比色試薬として:Co, Cu, Fe, Ru

比色条件

Fe(II) (pH3.4~5.8、593 nm、ε=2.3×104)

応用例

(1)血清中のFeの定量
血清1 mLをとり、1 mol/L-HCl 0.5 mLを加えてよく混和し、80~95℃の熱湯に約2分間ひたし、20 g/100 mLトリクロロ酢酸 0.5 mLを加える。よくかきまぜた後、遠心分離する。上澄み1 mLをとり、アスコルビン酸0.8 mgを加えてFe3+をFe2+に還元する。p-ニトロフェノールを指示薬としてアンモニア水で中和(黄色)する。直ちに、1 mol/L-HCl溶液を滴下し脱色した後、1 mol/L 酢酸緩衝液(pH3.5~3.9) 1 mL、20 mg/100 mL TPTZ希塩酸溶液 1 mLを加え、水で4.0 mLに希釈し、595 nmで比色する。加藤らは、イオン交換樹脂を用いて、試料を迅速に処理しTPTZを利用する事を検討しており、Zakはオートアナライザーによる自動比色定量を検討している。
すなわち、Cuのバソクプロインキレートの吸収極大は479 nmにあり、Fe2+とTPTZの吸収極大は595 nm、更にZn2+とジンコンとの吸収極大は620 nmにあって、それらの極大波長がお互いに影響をおよぼさないためCu, Fe2+, Zn2+の同時自動比色が可能である。なお、Peterらは、イオン交換分離した後にオートアナライザー法を応用している。

(2)ボイラー水中のFeの定量
試料水80 mLをとり、3 mol/L-HCl 2 mLを加えて80℃の湯浴上で20分間熱処理をする。放冷した後、100 mLメスフラスコに移し、10%塩酸ヒドロキシルアミン溶液1 mLを加えてFe3+をFe2+に還元する。3 mol/L-NH4OH、30%CH3COONaをそれぞれ2 mL程度用いてpHを3.8~5.0に調整し、0.001 mol/L TPTZ希塩酸溶液5 mLを加えて発色させた後全量100 mLとし、100 mmセルを用いて595 nmで比色する。

(3)その他
硝子、シリケート、石灰、高純度金属、酒、ビタミンEなどの中のFe2+の定量、Fe(II)-TPTZ→Fe(III)-TPTZの酸化を利用して、大気汚染中の微量のSO2を定量する方法のほか、Ru3+をpH2.6、510 nmで比色し、1~4 μg/mLを定量した報告などがある。

溶解例

500 mg/100 mL(1%-HCl)

参考文献

参考文献を表示する

1) 松原高賢, "発色剤", 「鉄と血色素, その測定法と臨床」(南江堂), 69.
2) P. F. Collins, H. Diehl and G. F. Smith, "2,4,6-Tripyridyl-S-triazine as a Reagent for Iron Determination of Iron in Limestone, Silicates, and Refractories", Anal. Chem., 1959, 31, 1862. 
3) P. Collins and H. Diehl, "Determination of Iron in the Wine Using 2,4,6-Tripyridyl-S-Triazine", Anal. Chim. Acta, 1960, 22, 125. 
4) 松原高賢, "2,4,6-Tripyridyl-S-triazineをもちいる血清鉄定量法", 医学と生物学, 1961, 60, 103. 
5) 加藤俊雄, 馬場巽, 岡徹哉, 白方隆晴, 坂手倫子, 川西敏夫, 飴野成子, 瀬島昭, 坪内純江, "血清鉄測の半微量化について", 臨床検査, 1967, 11, 94. 
6) 新井信正, 南澤宏明, 奥谷忠雄, "2,4,6-トリ-2-ピリジル-1,3,5-トリアジンを用いる微量ニッケルの溶媒抽出/原子吸光分析", 分析化学, 1989, 38, 252.

取扱条件

規格
性状: 本品は、白色~淡黄色結晶性粉末で水には殆ど溶けないが、エタノールや希酸にはよく溶ける。
希塩酸溶状: 試験適合
吸光度(鉄錯体): 0.150 以上(595 nm 付近)
吸光度(鉄ブランク): 0.005 以下(595 nm)
融点: 246~253℃
乾燥減量(105℃): 1.0% 以下
強熱残分(硫酸塩): 0.10% 以下
IRスペクトル: 試験適合
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