TPPS
比色試薬/金属指示薬
-
製品コードT003 TPPS
-
CAS番号35218-75-8(無水物として)
-
化学名5,10,15,20-Tetraphenyl-21H,23H-porphinetetrasulfonic acid, disulfuric acid, tetrahydrate
-
分子式・分子量C44H34N4O20S6・4H2O=1203.21
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
---|---|---|
100 mg | ¥6,500 | 345-03901 |
1 g | ¥42,700 | 341-03903 |
性質
ポルフィリン類はモル吸光係数が数十万のソーレー帯と呼ばれる吸収を示すのが特徴で、TPPSは代表的な化合物の一つである。ポルフィリンに4つのスルホン酸基を付加し、水によく溶ける。酸解離定数はpKa1=4.86,pKa2=4.96で、非常に近い値で、二つのプロトンが同時に解離する。
P-H42+ ⇔ P-H2 + 2H+ P:ポルフィリン
P-H2の状態にあるpH6.5では赤紫色(ソーレー帯吸収極大λmax=413 nm, ε=5.1×105), P-H42+の状態となるpH4では緑色(Soret 帯吸収極大λmax=434 nm, ε=5.0×105)となる。
TPPSは酸性のP-H42+の状態では金属イオンとは反応しないが、中性では錯体を形成する。
P-H2 + Me2+ → Me-P + 2H+
銅錯体は吸収極大λmax=413 nm(ε=5.1×105)を示すが、錯体形成後にpH4以下の酸性としても変化しない。これを利用して、Cu2+と特異的に強く発色するので、すぐれた比色試薬となる。ただし、Znが共存すると妨害するので、その場合にはTMPyPが適している。
アルカリ性では、Cd, Pb などと発色してそれらの金属の定量試薬となる。
なお、TPPSの構造で、合成方法が同じでも文献によっては3つのスルホン酸基が付加したTPPS3と4つのスルホン酸基が付加したTPPS4の二種類が報告されている。本品では4つのスルホン酸基が付加した構造としている。
技術情報
TPPSを用いる主な金属の比色定量条件
溶解例
49 mg/100 mL(水)
参考文献
参考文献
1) A. D. Adler, F. R. Longo, J. D. Finarelli, J. Goldmacher, J. Assour and L. Korsakoff, "A Simplified Synthesis for Meso-tetraphenylporphin", Notes, 1967, 32, 476.
2) J. Itoh, T. Yotsuyanagi and K. Aomura, "Spectrophotometric Determinaton of Copper with α, β, γ, δ-Tetraphenylporphine Trisulfonate", Anal. Chim. Acta, 1975, 74, 53.
3) 伊藤純一, 山平真, 四ッ柳隆夫, 青村和夫, "テトラフェニルポルフィン・トリスルホン酸(TPPS)を用いる微量鉛(II)の吸光光度定量", 分析化学, 1976, 25, 781.
4) 五十嵐淑郎, 四ッ柳隆夫, 青村和夫, "ポルフィリン-パラジウム(II)錯体の生成反応に対する L-アスコルビン酸の促進効果とその微量パラジウムの吸光光度定量への応用", 分析化学, 1978, 27, 66.
5) 五十嵐淑郎, 伊藤純一, 四ッ柳隆夫, 青村和夫, "テトラフェニルポルフィン・トリスルホン酸を用いる微量カドミウム(II)の吸光光度定量", 日本化学会誌, 1978, 2, 212.
6) 伊藤純一, 小林淳一郎, 四ッ柳隆夫, 青村和夫, "α, β, γ, δ-テトラキス(1-メチルピリジニウム-4-イル)ポルフィンによる亜鉛(II)の吸光光度定量 -鉛錯体形成反応による遊離ポルフィンのSoret 帯シフトの応用", 日本化学会誌, 1979, 5, 602.
取扱条件
性状: | 本品は、濃緑色~濃緑青色粉末で、水に溶ける。 |
---|---|
水溶状: | 試験適合 |
モル吸光係数(pH6.5): | 510,000 以上(413 nm 付近) |
モル吸光係数(pH3.0): | 472,000 以上(434 nm 付近) |
水分: | 3.0~8.5% |
IRスペクトル: | 試験適合 |