PDTS
比色試薬/金属指示薬
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製品コードP006 PDTS
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CAS番号28048-33-1
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化学名3-(2-Pyridyl)-5,6-bis(4-sulfophenyl)-1,2,4-triazine, disodium salt
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分子式・分子量C20H12N4Na2O6S2=514.44
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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1 g | ¥20,400 | 342-03313 |
性質
PDTSは鉄(II)の比色試薬として主に用いられる。別名Ferrozineとも呼ばれる。PDTSはPDTをスルホン酸化して水溶性としたもので、金属イオンに対する反応はPDTと似ている。
幾分子かの結晶水を含み350℃以上で分解する。pH 3~10でFe2+と鋭敏に反応して赤紫色キレートを形成する。比色定量にはキレートのモル吸光係数が最大となるpH 3.5~4.5で使用される(安定度定数logβ'3 = 15.6)。また、Fe2+のみに選択的でないため、共存するイオンの影響により測定誤差を生じる。Co, CuがFeと同量程度の共存では3%以下であるが、Coは8倍あると5%、Cuは5倍あると15%の誤差となる。CN-は負の誤差を与える。シュウ酸、亜硝酸も妨害するが、CN-、亜硝酸は酸性溶液で煮沸処理をすれば妨害が除かれる。
技術情報
応用可能な金属
比色試薬として:Co2+, Cu+, Fe2+, Os8+, Ru3+
応用例
(1)果汁中のビタミンC(アスコルビン酸)の定量
Fe3+は、PDTSのみならず一般にo-フェナントロリン類似体とは、発色しないかあるいは発色が薄い。しかしながら、適当な還元剤でFe2+に還元すると極めて鋭敏に赤色に着色する。しかも、多くの還元剤中アスコルビン酸は極めて迅速にFe3+をFe2+に定量的に還元することが知られているので、この性質を利用して間接的にアスコルビン酸を定量することができる。Fe2+-PDTS赤色キレートはpH3~10の広い範囲で安定であるが、果汁中のアスコルビン酸の定量にはpH3(酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液)が適している。この方法によって、オレンジ、グレープフルーツ、ツルコケモモなどの中のアスコルビン酸を定量している。
(2)血清及びヘモグロビン鉄への応用
血清鉄、およびヘモグロビン鉄への応用があり、後者の場合妨害となるCu+はNeocuproineを共存させることで除去できる。
(3)その他
植物の葉、酒、水道水、高純度水中のFeの定量や大豆、トマトの根におけるリン酸とFe-PDTSの競合反応、Fe-PDTSとCNとの反応などで応用が報告されている。
表 PDTSを用いる主な金属の比色定量条件
溶解例
257 mg/50 mL(水), 100 mg/5 mL(酢酸緩衝液(pH4.5))
参考文献
1) C. R. Gibbs, "Chracterization and Application of Ferrozine Iron Reagent as a Ferrous Iron Indicator", Anal. Chem., 1976, 48, 1197.
2) J. C. Thompsen and H. A. Mottola, "Kinetics of the Complexation of Iron(II) with Ferrozine", Anal. Chem., 1984, 56, 755.
3) B. Jaselskis and J. Nelapaty, S. J., "Spectrophotometric Determination of Micro Amounts of Ascorbic Acid in Citrus Fruits", Anal. Chem., 1972, 44(2), 379.
取扱条件
性状: | 本品は、淡黄色~淡黄緑色粉末であり水に溶ける。 |
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水溶状: | 試験適合 |
吸光度: | 0.400 以上(283 nm 付近) |
吸光度(鉄錯体): | 0.300 以上(562 nm 付近) |
吸光度(ブランク): | 0.040 以下(570 nm) |
強熱残分(硫酸塩): | 35.0% 以下 |
IRスペクトル: | 試験適合 |