Nitroso-PSAP
比色試薬/金属指示薬
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製品コードN010 Nitroso-PSAP
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CAS番号80459-15-0
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化学名2-Nitroso-5-[N-n-propyl-N-(3-sulfopropyl)amino]phenol
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分子式・分子量C12H18N2O5S=302.35
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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100 mg | ¥4,300 | 341-04081 |
1 g | ¥19,800 | 347-04083 |
性質
Nitroso-PSAPは、従来の選択的な鉄の分析試薬よりも高い感度の定量試薬として開発されたものである。
鉄は自然界に広く分布し、日常その濃度を測定する機会は多い。臨床検査でも重要な検査項目となっている。そのために、今日まで鉄イオンの分析試薬としては、表に示したようにo-フェナントロリン系化合物やトリアジン系化合物(PDTS、TPTZ)などの多数の試薬が開発された。
Fe(II)キレートの吸収極大波長は750 nm付近にあり、400 nm付近に吸収帯をもつ試薬ブランクとの重なりもほとんどない。鉄の微量分析に適した試薬である。スルホン酸基を持たないニトロソ誘導体は、そのFe(II)錯体が水に極めて難溶なため、ごく狭い濃度範囲での使用に限られる欠点がある。それに対して、Nitroso-PSAP は水溶性が高く、5 ppbから5 ppmまでの広い範囲を同一条件で測定できる利点がある。したがって、フローインジェクション分析法にも好適な試薬である。
また、至適pH範囲でも、高感度比色試薬として知られているトリアジン系試薬が狭い pH 条件なのに対し、Nitroso-PSAPは弱酸性からアルカリ性側の広いpH領域での測定が可能である。
Nitroso-PSAPはCo, Cu, Niとも錯体を形成し、それぞれ4.0×104(490 nm), 2.8×104(429 nm), 2.6×104(394 nm)のモル吸光係数を示すが、近赤外部に吸収を持つFe(II)錯体の吸収帯とは重ならないので、これらのイオンの妨害を受けない。
技術情報
表 鉄(II)試薬の比色定量条件の比較
pHの影響
Nitroso-PSAP金属錯体の吸収スペクトル、試薬ブランク対照
溶解例
40 mg/100 mL(水)
参考文献
1) K. Toei, S. Motomizu and T. Korenaga, "Nitrosophenol and Nitrosonaphthol Derivatives as Reagents for the Spectrophotometric Determination of Iron and Determination of Micro-amounts in Waters with 2-Nitroso-5-dimethylaminophenol", Analyst, 1975, 100, 629.
2) 斉藤幹彦, 堀口大吉, 喜納兼勇, "新規水溶性ニトロソフェノール誘導体による微量鉄(II)の吸光光度定量", 分析化学, 1981, 30, 635.
3) 酒井忠雄, 大野典子, "2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノールを用いたフローインジェクション法による微量鉄の定量", 分析化学, 1984, 33, 332.
4) 吉田烈, 上野景平, "2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノールを用いるコバルトの吸光光度定量", 分析化学, 1985, 34, 77.
5) 高柳美行, 森島泰雄, 後藤鉦二, 長谷川岩三, 福田常男, 八代有, "フェロキシダーゼ活性を利用したヒト血清セルロプラスミンの測定", 日本臨床化学会年会記録 第25集, 1985, 25, 88.
6) 徳井健志, 奥田潤, "ヒト血清蛋白結合性Fe2+, Fe3+(第3報)-Nitroso-PSAPを用いるFe2+, Fe3+の分析法-", 日本臨床化学会年会記録 第26集, 1986, 158.
7) N. Ohno and T. Sakai, "Spectrophotometric Determination of Iron in Boiler and Well Waters by Flow Injection Analysis Using 2-Nitroso-5-(N-propyl-N-sulphopropylamino)phenol", Analyst, 1987, 112, 1127.
8) I. Yoshida, F. Sagara and K. Ueno, "Studies of the Stabilities of Scandium, Yttrium, and Lanthanoid-ion Complexes of 2-Nitroso-5-(N-propyl-3-sulfopropylamino)phenol", Bull. Chem. Soc. Jpn., 1988, 61, 2639.
9) I. Yoshida, F. Sagara and K. Ueno, "Potentiometric Studies on the Binding Properties of Protons, Some Divalent and Tervalent Metal Ions with 2-Nitroso-5-(N-propyl-3-sulfopropylamino)phenol", Anal. Sci., 1988, 4, 69.
10) T. Makino, K. Nakamura and K. takahara, "A high-performance liquid immunoaffinity chromatography method for determining transferrin-bound iron in serum", Clinica Chimica Acta, 2011, 412, 914.
取扱条件
性状: | 本品は、黄色~黄褐色粉末で水に溶ける。 |
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純度(吸光度): | 97.0% 以上 |
水溶状: | 試験適合 |
吸光度(ブランク): | 0.050 以下(756 nm付近) |
モル吸光係数(鉄錯体): | 44,000 以上(756 nm付近) |
IRスペクトル: | 試験適合 |
保存条件: 冷蔵 |