α-Ketoglutarate Assay Kit-Fluorometric

α-Ketoglutarate Assay Kit-Fluorometric

α-ケトグルタル酸測定キット

  • これまでの課題だったデータのバラツキと再現性を改善
  • ミトコンドリア活性の指標に
  • 代謝の変化を捉える充実のラインナップ
  • 製品コード
    K261  α-Ketoglutarate Assay Kit-Fluorometric
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
100 tests ¥73,300 343-09801
キット内容
100 tests ・Fluorescent Dye
・α-KG Standard
・Enzyme Mix
・Coenzyme
・Assay Buffer
・lysis Solution
・Control Buffer
・ALT Solution
・Reaction Buffer
×1
300 ×l×1
×1
×1
6.5 ml×1
2 ml×1
25 ml×1
35 ×l×1
5 ml×1

性質

 α-ケトグルタル酸は、TCAサイクルの中間代謝物として重要な基質であり、グルコース代謝物のTCA回路への取り込み亢進の指標や、グルタミンを基質にα-ケトグルタル酸を供給する経路である「グルタミノリシス」亢進の指標として測定されます。また、α-ケトグルタル酸は、神経伝達物質であるグルタミン酸やγ-アミノ酪酸(GABA)の生成において重要な役割を果たすだけでなく、活性酸素種の消去にも大きく寄与していることから、近年、注目されている代謝の指標です。

30秒解説:グルコース取り込み検出キット

再生すると音声が流れます

本解説動画では、グルコース取り込み検出の目的から、従来測定法との比較・実験例を交え本製品の特徴を解説します。

技術情報

α-ケトグルタル酸の測定原理

α-Ketoglutarate Assay Kit-Fluorometric は、α-ケトグルタル酸を定量するキットです。
サンプル中の α-Ketoglutarate ならびに Pyruvate との酵素反応により生成した Resorufin(Ex:530 - 560 nm、Em:580 - 600 nm)の蛍光を測定することで、細胞内のα-ケトグルタル酸を定量できます。また、本キットは96穴マイクロプレートに対応しているため、多検体測定が可能です。

測定操作

測定に用いる培養細胞の前処理からプレートリーダー測定まで、試薬を添加するだけの簡単な操作で α-Ketoglutarate(α-KG) 濃度の測定が可能です。
本キットは、既存品ご利用者の多くが不満とされていたデータの再現性を高め、初めて α-KG濃度を測定される方も安心してご利用いただけます。

データの再現性を高める2つのポイント

1)サンプルの前処理
 

既存品の前処理工程では、微量なサンプルのpH調整やフィルター処理などの煩雑な操作を必要としており、手技的なブレがデータのバラツキを招く一因となっていました。
本キットは試薬を添加するだけの簡単な操作で、前処理工程に起因するバラツキを改善しています。

 

2)α-Ketoglutarateの測定
 

α-KG濃度のプレートアッセイでは多くの場合、本キットと同様に上記①、②の反応を進行させ、生じた色素の量を測定する原理が用いられています。
既存品では2段階の反応を同時に進めることが、データのバラツキを招く一因となっていました。
本キットでは2段階の反応を完結させるプロトコルにすることで、発色反応に起因するバラツキを改善しています。

検量線の作成例

本キットの α-Ketoglutarate Standard を用い作成した検量線からサンプル中の α-ケトグルタル酸濃度を求めることができます。
グルタミン濃度が 20 μmol/l 以上の場合は、サンプルを希釈することで評価いただけます。

実験例:Doxorubicin(DOX)による細胞内代謝の変化

細胞周期のG2/M 期に作用して細胞増殖を停止させ、細胞老化を誘導することが知られているDoxorubicin(DOX) をA549 細胞へ添加後、本製品で細胞内の α-Ketoglutarate濃度を測定したところ、コントロール細胞と比較してDOX 処理細胞では細胞内の α-Ketoglutarate濃度が増加しました。
また、Cellular Senescence Detection Kit - SPiDER-βGal(製品コード:SG03)で細胞老化、Cell Cycle Assay Solution Blue (製品コード:C549)/ Deep Red(製品コード:C548)で細胞周期の変化と、JC-1 MitoMP Detection Kit (製品コード:MT09)でミトコンドリア膜電位が変化することを確認しました。

実験例:Sulfasalazine (SSZ) による細胞内代謝の変化

シスチン / グルタミン酸トランスポーター (xCT) を阻害することが知られている Sulfasalazine (SSZ) を A549細胞へ添加後、細胞内のα-ケトグルタル酸、 ATP、グルタチオン (GSH)、ROSの変化と、グルタミン酸放出量の変化を確認しました。
その結果、SSZ 添加により細胞内のATP、グルタチオン(GSH)ならびにグルタミン酸放出量は減少し、細胞内のα-ケトグルタル酸とROSは増加しました。

<使用製品>
・細胞内ATP :ATP Assay Kit-Luminescence (製品コード:A550)
・細胞内GSH:GSSG/GSH Quantification Kit (製品コード:G257)
・細胞内ROS:ROS Assay Kit -Highly Sensitive DCFH-DA- (製品コード:R252)
・グルタミン酸放出量:Glutamate Assay Kit-WST (製品コード:G269)

<実験条件>
 細胞:A549細胞 (1 x 106 cells)  暴露時間:48時間


(スケールバー:50 µm)

 

参考文献) Shogo Okazaki et al., "Glutaminolysis-related genes determine sensitivity to xCT-targeted therapy in head and neck squamous cell carcinoma". Cancer Sci.2019, doi:10.1111/cas.14182.

実験例:NASH誘導マウスの肝臓組織における代謝の変化

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病変により組織中のATP、α-ケトグルタル酸(α-KG)、NAD量が減少することが知られています。4週齢から高脂肪食処理(NASH誘導)した1型糖尿病モデルマウス(STAMモデル)の肝臓組織を用い、組織内のATP、α-KG、NAD量を測定しました。
その結果、NASH誘導後10週齢のマウス組織ではATP、α-KG、NAD量が減少していることが確認されました。

※実験操作の詳細については「よくある質問:組織を用いた実験例はありますか?」をご参照ください。

<使用製品>

・組織内ATP  :ATP Assay Kit-Luminescence (製品コード:A550)
・組織内α-KG:α-Ketoglutarate Assay Kit-Fluorometric (製品コード:K261)
・組織内NAD :NAD/NADH Assay Kit-WST (製品コード:N509)

<実験参考文献>

 ATP   Francesco Bellanti, et al."Synergistic interaction of fatty acids and oxysterols impairs mitochondrial function and limits liver adaptation during nafld progression", Redox Biology, 2018, 15, 86-96.
α-KG Jianjian Zhao, et al., "The mechanism and role of intracellular α-ketoglutarate reduction in hepatic stellate cell activation"Bioscience Reports, 2020, 40, (3).
Ali Canbay, et al., "L‑Ornithine L‑Aspartate (LOLA) as a Novel Approach for Therapy of Non‑alcoholic Fatty Liver Disease", Drugs, 2019, 79, 39-44.
NAD Jinhan He, et al., "Activation of the Aryl Hydrocarbon Receptor Sensitizes Mice to Nonalcoholic Steatohepatitis by Deactivating Mitochondrial Sirtuin Deacetylase Sirt3", Mol. and Cell. Biol., 2013, 33, (10), 2047-55.

よくある質問

Q

1キットあたり測定可能なサンプル数を教えて下さい。

A

検量線の作成およびサンプルの測定をそれぞれn=3で行った場合、12サンプルの測定が可能です。
96ウェルプレートのレイアウト例については、取扱説明書をご参照ください。

Q

ブラックプレート以外のプレート(クリアプレートやホワイトプレート)での測定はできますか。

A

ホワイトプレートやクリアプレートを用いた場合、正確な検量線が作成できませんので、ブラックプレートをご使用下さい。

Q

サンプルが発色しない場合、原因として何が考えられますか?

A

本キットで定量可能な α-Ketoglutarate 濃度は 0.2 µmol/l 以上です。α-Ketoglutarate 濃度が 0.2 µmol/l 以下の測定試料は本キットでは定量できません。
また、測定試料を希釈している場合、希釈後の測定試料に含まれている α-Ketoglutarate 濃度が 0.2 µmol/l よりも低い可能性があります。
希釈倍率を下げ、測定試料の濃度を定量可能範囲内にして下さい。

Q

Working solutionは保存できますか?

A

Working solutionは保存できませんので、用時調製して下さい。
また、光に不安定であるため、調製後は遮光して下さい。
※Working solutionは調製後、遮光下であれば室温で2時間程度は安定です。

Q

測定試料は保存できますか。

A

取扱説明書の操作中、「-細胞内α-ケトグルタル酸定量用サンプルの調製-」の操作(5)の溶液は、冷凍(-20℃)で10日間の保存が可能です。
なお、冷凍保存後に沈殿を生じることがございます。その場合は遠心後の上澄みを測定試料としてください。
※Lysis Solution 20 µlを加え、ピペッティングにより混合、8000×gで10分間遠心後の上清

Q

組織を用いた実験例はありますか?

A

マウス肝臓組織を用いてα-KG量を測定した事例がございます。

実験操作の詳細は下記をご参照ください。

アルカリ抽出法による肝臓サンプルからの代謝指標の抽出

1. マウス肝臓100 mgあたり500 µlの冷えた0.5 mol/l KOH水溶液を入れる。
*使用する組織は必ず灌流操作等で十分に脱血してください。血液の残存は測定に影響を与えます。
2. ダウンス型ホモジナイザーで組織を破砕する。
3. サンプルを回収し、サンプルチューブに移す。破砕に使用した容器をを500 µlの冷えた0.5 mol/l KOH水溶液で共洗いし、チューブ内のサンプルと合わせる。(全量 1 ml)
4. 冷えた超純水 1 mlをサンプルチューブに加え、よく混合し氷上で5分間静置する。(全量 2 ml)
*溶液の粘性が高いと、次操作の遠心後の分離が困難になる場合があります。その際は、シリンジに25 g程度の細い針を付け、サンプル溶液をシリンジでスムーズに出し入れができるまで(20-30回)混合してください。
5. 12,000 x g , 4℃で5分間遠心し、上清を900 µlずつ二つのサンプルチューブに回収する。
α-KG測定用サンプルの調整
6. 上記5. で調整した900 µlのサンプルに200 µl の1 mol/l KH2PO4水溶液を入れ中和し、よく混合後氷上で5分間静置する。
7. 12,000 x g , 4℃で5分間遠心し、上清1 mlをサンプルチューブに回収し測定用サンプルとする。

<測定時の注意点>
※組織抽出サンプルは保存できません。その日のうちに測定してください。
※ご使用のチップによっては組織抽出サンプルがチップ内に液残りすることがございます。データがバラつく原因となりますので、サンプルの吸い上げ吐出しはゆっくり行い、可能な限りチップ内に液が残らないようにして下さい。
※スタンダード、サンプルの希釈には希釈用溶液として0.5 mol/l KOH水溶液と1 mol/l KH2PO4水溶液を9:5の比率で混合したものを使用してください。

<測定例>
NASH誘導マウス肝臓組織におけるα-KG量の変化

取扱条件

取扱条件
保存条件: 冷蔵 , 取扱条件: 吸湿注意
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