N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀
比色試薬/金属指示薬
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製品コードJS01 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀
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CAS番号1470-61-7
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化学名Silver N,N-diethyldithiocarbamate
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分子式・分子量(C2H5)2NCS2Ag=256.14
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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1 g | ¥3,500 | 340-09073 |
5 g | ¥7,300 | 344-09071 |
性質
N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(AgDDTC)はJIS K 9512適合品であり、AsH3と反応して、生成するコロイド状の銀が赤紫色を呈することより、微量ヒ素の定量試薬として使用される。一般にはジエチルジチオカルバミド酸銀法(AgDDTC法、AgDDC法)と呼ばれる。淡黄色結晶又は結晶性粉末で、ピリジンにやや溶けにくく、クロロホルムに溶けにくく、水、エタノール及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。融点(分解)は、約175℃である。銀塩であるため、感光して黒化しやすいので遮光して保管する必要がある。粉末では冷所に遮光して保存すれば長期間(約2年間)は安定であるが、溶液状態では劣化し易い。
AgDDTCを溶かしたピリジン溶液にAsH3を含むガスを吹き込むと、溶液はAsH3と鋭敏に反応して赤紫色(λmax=520~540 nm)となる。AgDDTCはピリジン溶液でしか発色しなかったが、ブルシンを含むクロロホルムでも同様に発色することが分かり、ピリジンの悪臭を避けるためピリジンの代替として普及している(ただし、ブルシンは毒性が非常に強いため、取扱に十分注意が必要である)。
AgDDTCによるAsの比色定量法の原理は、硫酸酸性中で還元されて試料から発生する AsH3 とN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀との反応にもとづいている。試料中のAsをいかにして完全にAsH3とし、AgDDTC溶液に吸収させるかが重要となる。なお、AgDDTCによる比色定量には必ずAsH3ガスの発生装置とその捕集装置が必要である。共存イオンの影響については、Budesinsky, Howardの報告を参照されたい。
応用可能な金属
比色試薬として:As, Sb
比色条件
As(ピリジン中540 nm, 4~12 ppm)
応用例
AgDDTC法は以下に示す。多くのひ素分析法として採用されている。
<正式採用>
JIS K 0101:1998 ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法
JIS K 0102:2010 ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法
河川水質試験方法(案) 27 標準法3 ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法
底質調査法 5.9.5 ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法
鉱泉分析法指針 7-29(1) ジエチルジチオカルバミド酸銀による比色法
食品衛生法 食品の規格基準(D 各条)清涼飲料水の成分規格 2 bジエチルジチオカルバミン酸銀法
第16改正 日本薬局方 1.11 ヒ素試験法
<参考法>
上水試験方法 2011年版 17 参考2 ジエチルジチオカルバミド酸銀による吸光光度法
技術情報
溶解例
1 g/50 mL(熱ピリジン)250 mg/50 mL(熱クロロホルム)
参考文献
1) 中尾正三、ドータイトニュースレター, 1962, 10(4), 2.
2) 山本大二郎, 上田隆, "ジエチルジチオカルバミン酸銀塩法を用いるヒ素分析における塩基の影響", 分析化学, 1972, 21, 938.
3) A. G. Howard and H. Arbab-Zavar, "Sequential Spectrophotometric Determination of Inorganic Arsenic(III) and Arcenic(V) Species", Analyst, 1980, 105, 33.
4) 川井英雄, "生体試料中の微量元素の定量", ぶんせき, 1990.
5) JIS K 0101,工業用水試験方法, 財団法人日本規格協会, 1998.
6) JIS K 0102,工場排水試験方法, 財団法人日本規格協会, 2010.
7) 第8版食品添加物公定書, 日本食品添加物協会.
8) 河川水質試験方法(案)1997年版 試験方法編, 建設省河川局 監修, 技報堂出版株式会社.
9) 底質調査法, 環境省水環境部, 平成13年3月.
10) 鉱泉分析法指針(改訂), 環境省自然環境局, 平成14年3月.
11) 食品衛生検査指針 理化学編, 厚生労働省 監修, 社団法人食品衛生協会, 2005.
12) 日本薬局方, 第16改正.
13) 上水試験方法 2011年版 III.金属類編, 社団法人日本水道協会.
よくある質問
取扱条件
性状: | N, N-ジエチルジチオカルバミド酸銀は、淡黄色の結晶又は結晶性粉末で、ピリジンにやや溶けにくく、クロロホルムに溶けにくく、水、エタノール及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。融点(分解)は、約175℃である。 |
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純度(滴定): | 98.0% 以上 |
ピリジン溶状: | 試験適合 |
ひ素分析適合性: | 試験適合 |
IRスペクトル: | 試験適合 |
保存条件: 遮光 |