8-Ferrocenyl-1-octanethiol

Self Assembled Monolayer(SAM)研究用試薬
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製品コードF247 8-Ferrocenyl-1-octanethiol
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CAS番号146056-20-4
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化学名8-Ferrocenyl-1-octanethiol
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分子式・分子量C18H26FeS=330.31
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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10 mg | ¥- | 販売を終了いたしました |
100 mg | ¥- | 販売を終了いたしました |
性質
<Ferrocenyl type>
末端官能基としてフェロセニル基を有するものは、末端のフェロセニル基による単純な一電子酸化還元反応を示すことから、金表面上に電気化学的活性なSAMsを構築することができ、電極上に配列させた分子膜修飾電極によるセンサーへの応用等の研究に利用されている。例えば、魚崎らは、金電極表面に11-Ferrocenyl-1-undecanethiol単分子膜を作製し、溶液内化学種の可逆な酸化還元反応による応答をCVを用いて観察し、フェロセニル基が電子移動のメディエーターとして機能することや単分子層の存在による酸化反応の整流作用の発現を報告している1)。S. Rubinらのグループは、金電極表面にフェロセニルアルカンチオールとアミノアルカンチオールとの混合SAMを作製し、アミノ基を介してグルコースオキシダーゼを固定化しセンサデバイスとして報告している2)。
また、フェロセニル基は酸化によりフェロセニウム基となることから、親水性と疎水性を電気化学的に可逆的に変換することが可能である。それに伴いSAMの配向も変化することが知られており、電子デバイスへの応用も研究されている。Lukらは、11-Ferrocenyl-1-undecanethiolのSAMを用いて、液晶分子の配向を電気化学的に制御できることを示している3)。
アルキル鎖長はSAMsの安定性や、基板の導電性に影響を与える。小社ではC6~C11のアルキル鎖長の誘導体を揃えているので、用途に合わせて選択いただきたい。
技術情報
注意事項
・本製品を粉末の状態で取り出し使用する場合、性状の性質上、静電気等の要因で容器内に付着し、取り出しにくい場合があります。
・容器内に付着し、取り出せなかった粉末に関しては、使用する溶媒を容器に入れ、溶かし出して使用してください。
溶解例
10 mmol/l以上(Methyl alchol, Chloroform, Dichloromethane, Tetrahydrofuran, Hexane, Dimethyl sulfoxide, Dimethyl formamide),
1 mmol/l 以上(Ethyl alchol,)
参考文献
1) T. Ohtsuka, Y. Sato and K. Uosaki, "Dynamic Ellipsometry of a Self-Assembled Monolayer of a Ferrocenylalkanethiol during Oxidation-Reduction Cycles", Langmuir, 1994, 10, 3658.
2) S. Rubin, G. Bar, R. W. Cutts, J. T. Chow, J. P. Ferraris and T. A. Zawodzinski Jr., "Electrical Communication Between Glucose Oxidase and Different Ferrocenylalkanethiol Chain Lengths", Mat. Res. Soc. Symp. Proc., 1996, 413, 377.
3) Y. -Y. Luk and N. L. Abbott, "Surface-Driven Switching of Liquid Crystals Using Redox-Active Groups on Electrodes", Science, 2003, 301, 623.
よくある質問
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Q
SAMsとはどのようなものですか?
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A
固体表面に種々の分子が自発的に高密度・高配向な分子膜を
形成することを自己組織化(Self-assemble:SA)といい、
形成された単分子膜を自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers:SAMs)
といいます。
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Q
SAMsを形成するための基板の浸漬条件を教えてください。 (溶媒・溶液安定性・濃度・浸漬時間など)
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A
溶媒や濃度、および浸漬時間に制限はありませんが、
条件により膜の配向や密度に影響を与えます。
目的に応じて調整、検討を行ってください。
下記にこれまで報告されている浸漬条件の一例を示します。(1)溶媒
チオール類が溶解し、それらと化学反応しないものが使用可能です。
エタノールを使用した報告例が比較的多くみられます。
必要に応じて蒸留したものや、溶液中の溶存酸素を除去するために
不活性ガス(窒素ガスまたはアルゴンガス)でバブリングしたものを
使用します。
また、末端NHSエステル型などは、アルコール類やアミン類および
チオール類と反応する恐れがあり、溶媒中の水で分解する恐れも
ありますので、脱水した溶媒を使用するなど、試薬によっては
使用時に注意が必要な場合があります。(2)溶液安定性
溶媒中の溶存酸素によるチオールからジスルフィドへの酸化や
水分による分解が考えられるため、溶液の用時調整をお勧めします。
チオール溶液保存中に生成する副生成物は主にジスルフィドです。(3)濃度
数 μ~数10 μmol/Lで一般的に行われています。(4)浸漬時間
数10分~数時間。
濃度にもよりますが、チオール類の吸着は比較的短時間でもかなり飽和吸着に
近い形で吸着しますが、その後ゆっくりと時間をかけて配向性が高くなると
言われています。