Dithiobis(C2-NTA)

キレート標識試薬
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製品コードD550 Dithiobis(C2-NTA)
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CAS番号1097730-65-8
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化学名3,3'-Dithiobis[N-(5-amino-5-carboxypentyl)propionamide-N',N'-diacetic acid] dihydrochloride
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分子式・分子量C26H44Cl2N4O14S2=771.68
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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10 mg | ¥27,300 | 344-08611 |
50 mg | ¥106,900 | 340-08613 |
性質
近年、“His-tag”技術により、複雑な高次構造を持つタンパク質を、その活性を損なわずに固体表面に化学的に結合させることが可能になっている。その基本原理は、NTA誘導体を官能基(通常、活性エステル、チオール、エポキシなどの反応性基)で修飾した固体表面と反応させ固定化した後、Ni(II)を加えて錯形成させる。その時、Ni(II)の配位座は完全には満たされず、空いた部分には水が配位する。この状態で6個のヒスチジンを末端に発現させた融合タンパク質を加えると、ヒスチジン部分がNi(II)に配位するため、特異的かつ一定方向に固体表面に結合される(この結合は強固だが、フリーのヒスチジンやイミダゾール、EDTA等のキレート剤によって可逆的に解離する)。この“His-tag”技術は、人工タンパク質の精製や表面プラズモン共鳴(SPR)等に使用されている。
Dithiobis(C2-NTA)は両端にNTA基を持つジスルフィドである。アルキルジスルフィド化合物は、アルカンチオールと同様に、金表面と反応してAu-S結合すると共に、アルキル鎖同士の相互作用によって高い配向性を持つ単分子膜を形成することが報告されている。Dithiobis(C2-NTA)も、他のアルキルジスルフィドと同様にSAMsを形成することをサイクリックボルタンメトリー(CV)で確認している。
このDithiobis(C2-NTA)は、金表面上にSAMsを形成させた後、"His-tag"技術を用いることで、特定の配向を維持したままタンパク質を結合できる可能性がある。各種センサー等への応用が期待される。
特 長
1) NTA末端を持つ自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers : SAMs)を作製することができる。
2) “His-tag”技術により、特定の配向を維持したままタンパク質を結合できる。
技術情報
注意事項
・本製品を粉末の状態で取り出し使用する場合、性状の性質上、静電気等の要因で容器内に付着し、取り出しにくい場合があります。
・容器内に付着し、取り出せなかった粉末に関しては、使用する溶媒を容器に入れ、溶かし出して使用してください。
溶解例
10 mg/ml(水)
参考文献
1)M. Murata, C. Gouda, K. Yano, S. Kuroki, T. Suzutani and Y. Katayama, "Piezo electric sensor for endocrine-disrupting chemicals using receptor-co-factor interaction",Anal. Sci., 2003, 19, 1355.
取扱条件
性状: | 白色~微黄色粉末又は結晶 |
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純度(滴定,無水物換算): | 95.0% 以上 |
水溶状: | 試験適合 |
水分: | 10.0% 以下 |
NMRスペクトル: | 試験適合 |
取扱条件: 窒素置換,吸湿注意 |