DTNB

分析用試薬: SH 基の検出
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製品コードD029 DTNB
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CAS番号69-78-3
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化学名5,5'-Dithiobis(2-nitrobenzoic acid)
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分子式・分子量C14H8N2O8S2=396.35
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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1 g | ¥8,700 | 346-08551 |
性質
DTNBはチオール基を比色定量する試薬で、イールマン試薬と呼ばれる。DTNBはSH基が存在するとSH基の量に相当する量のS-S結合が切れて、安定な5-Mercapto-2-nitrobenzoic acidを生成する。この生成したチオールの吸光度(λmax=412 nm、ε=1.55×104)からSH基を定量する。しかもこのチオールの吸収極大波長は、DTNBの吸収(λmax=325 nm)とほとんど重ならないので、未反応のDTNBが残っても測定に支障とはならない。
なお、亜硫酸イオン(SO3-)も同様の反応を起こすので、共存する場合には妨害イオンとなるが、共存しない条件ではSO3-の比色試薬としても使用できる。
DTNBの至適pHは7以上の弱アルカリ性であるが、弱酸性でのチオール基の測定には、類似化合物である2-PDS、4-PDSが使用できる。
技術情報
応用可能な物質
生体試料中の微量SH基の検出、比色定量
溶解例
1 g/100 mL(エチルアルコール)、198.2 mg/100 mL(50 mmol/Lリン酸buffer、 pH7.2)
参考文献
参考文献
1) 向山光昭, "酸化還元系によるペプチドの新しい合成反応", 有機合成化学, 1971, 29, 848.
2) 今村寿明, "イールマン試薬およびその類似試薬による生体内SHおよびSO32-, S2-, CN- の定量法", ドータイト生化学ニュース, 1972, 3, 2.
3) D. R. Jenke and D. S. Brown, "Determination of Cysteine in Pharmaceuticals via Liquid Chromatography with Postcolumn Derivatization", Anal. Chem., 1987, 59, 1509.
よくある質問
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Q
DTNBを用いたSH基の定量方法を教えてください。
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A
下記に一例を示します。
・G.L.Ellman, Arch. Biochem. Biophys., 82, 70 (1959).より。【試薬】
・DTNB溶液:DTNB 39.6 mg をリン酸緩衝液(pH7.0)10 mLに溶解する。
(グッド緩衝液やトリス緩衝液でも良い)【操作方法】
1.SH基を含む未知試料溶液3.0 mL にリン酸緩衝液(pH8.0)2.0 mLと蒸留水5.0 mLを加える。
2.(1)の液から3 mLを採取し、DTNB溶液 0.02 mLを加える。
3.一定時間後(1時間など)、412 nmで測定する。*注意事項*
・SH基に対して必ずしも選択的ではない。SO32-,S2-と同様の反応を示し、CN-などは妨害する。
・有機溶媒(アセトンなど)が共存すると吸光度が著しく変化する。
・pH7以下では正しい値を得ることが出来ないので注意する。
取扱条件
性状: | 淡黄色結晶性粉末 |
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エチルアルコール溶状: | 試験適合 0.195 以下(420 nm) |
りん酸緩衝液溶状: | 試験適合 |
モル吸光係数: | 12,000 以上(305 nm付近) |
融点: | 237~247℃(分解) |
乾燥減量(105℃): | 1.0% 以下 |
強熱残分(硫酸塩): | 0.10% 以下 |
IRスペクトル: | 試験適合 |