05 細胞染色用色素
10 酸化還元系発色試薬

DAB

DAB

ペルオキシダーゼ用発色基質・セレンの検出試薬

  • 製品コード
    D006  DAB
  • CAS番号
    7411-49-6
  • 化学名
    3,3'-Diaminobenzidine, tetrahydrochloride
  • 分子式・分子量
    C12H18Cl4N4=360.11
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
100 mg ¥7,000 343-00901
1 g ¥21,600 349-00903
5 g ¥79,400 347-00904

性質

光に鋭敏で、直接日光にさらせば灰色を経て茶褐~黒褐色になり、着色したものは精製できない。従って、遮光密栓の上、乾燥した冷暗所に保存する。着色した工業品が試薬として安価に市販されていることもあるが、Seの定量には利用できない。水にはよく溶けるが、有機溶媒には溶けない。Seと特異的に反応して濃黄のピアセレノールを生成し、トルエンなどの有機溶媒に抽出できるので、Seのすぐれた吸光光度定量試薬となり、精製硫酸(JIS K 1306)、工場排水(JIS K 0102)などに広く利用される。また、H2O2、ペルオキシダーゼの存在で鋭敏に反応するので、酸化酵素系の検出試薬としても応用されている。

技術情報

応用可能な物質

検出試薬として  : ペルオキシダーゼ
比色試薬として  : Se, V, ジアセチル
蛍光比色試薬として: Se

比色条件

Se比色(pH6~7、トルエン中420 nm ε=2.0×104、0~50 μg)、Se蛍光比色(シクロヘキサン中、520 nm、0.001~0.1 ppm)。多くの金属の妨害は EDTA でマスキングできる。SO42-の存在は DAB と不溶性の硫酸塩を生じて妨害する。多量の塩化アンモニウムの添加でその妨害を抑えることができる。

応用例

(1) Seの比色定量:50 μg以下のSeを含む試料に2.5 mol/l ギ酸 2mlを加えて、水で50 mlに希釈し、pH2~3とする(1~2 mol/l 酸性液中でも使用可能)。この溶液に0.5% DAB水溶液 2 mlを加え 30~50分放置する。次にアンモニア水でpHを6~7に調製して分液ロートに移し、トルエンを正確に10 ml加え、30秒間激しく振とうする。数分間静置し上層の透明なトルエン層をとり、420 nmにおける吸光度を測定する。対照液としては試料の代わりに蒸留水を用いて同様の操作を行ったものを用いる。
(2)ジアセチルの比色定量:DABはSeの比色試薬として用いられる以前からジアセチルの比色試薬として利用されていたが、チーズ中のジアセチルの定量試薬として優れている。試料は特殊な蒸留装置を用いて蒸留後、DABを加え発色させ366 nmで比色する。pH6.7で蒸留すれば 100%抽出される。25 gのバター中に1.9 μg、国産チーズ中4.2 ppm程度存在する。
(3)生化学的応用:DABはペルオキシダーゼの細胞組織染色で褐色の色素を生成し、OsO4による固定も極めて容易に行われる。試料を2~3 mmの厚さに切り出し、ホルマリン処理後、DAB-Tris染色液(DAB 30 g、ショ糖4.3 gをpH8.4 Tris-HCl緩衝液50 mlにとかし、1 mol/l-HCl約1 mlを加えてpH7.2に調整したものを空気中に放置後ろ過し、その9 mlをpH7.2 Tris-HCl緩衝液1 mlと混合する)で染色し、所定の固定処理後、電顕観測する。また、DAB酸化物はゼラチンがあると沈着が妨害されるので、この方法でペルオキシターゼを比色(465 nm)することもできる。

溶解例

1 g/50 mL(水)、150 mg/5 mL(50 mmol/L トリス緩衝液、pH7.6)

参考文献

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1) A. B. Novikoff, P. M. Novikoff, C. Davis and N. Quintana, "Studies on Microperoxisomes V. Are Microperoxisomes Ubiquitous in Mammalian Cells", J. Histochem. Cytochem.197321, 737. 
2) V. Herzog and H. D. Fahimi, "A New Sensitive Colorimetric Assay for Peroxidaase Using 3, 3'-Diaminobenzidine as Hydrogen Donor", Anal. Biochem.197355, 554. 
3) H. Yamada, S. Mori, S. Ueda, M. Kawata and Y. Sano, "Improvement of Technique of Immunohistochemical Demonstraction of Bioactive Substances in the Central Nervous System", Acta Histochem. Cytochem.198720, 629.
4) K. L. Cheng, "Determination of Traces of Selenium 3,3'-Diaminobenzidine as Selenium(IV) Organic Reagent", Anal. Chem.195628, 1738.

取扱条件

規格
性状: 本品は、白色~桃灰色粉末で水によく溶け、有機溶媒には溶けない。
純度(滴定,乾燥物換算): 97.0% 以上
水溶状: 試験適合
トリス緩衝液溶状: 試験適合 0.040 以下(500 nm) 0.080 以下(400 nm)
吸光度(セレン錯体): 0.500 以上(420 nm付近)
乾燥減量: 5.0% 以下
強熱残分(硫酸塩): 0.05% 以下
IRスペクトル: 試験適合
取扱条件
保存条件: 冷蔵,遮光
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