CyDTA
キレート試薬
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製品コードC018 CyDTA
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CAS番号125572-95-4
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化学名trans-1,2-Diaminocyclohexane-N,N,N',N'-tetraacetic acid, monohydrate
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分子式・分子量C14H22N2O8・H2O=364.35
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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5 g | ¥5,500 | 343-00881 |
25 g | ¥15,500 | 341-00882 |
性質
2つのアミノ基は、トランス配置で1分子の結晶水を含む。異性体として1,3-、 1,4-型も存在するが金属と安定なキレートを作らない。白色結晶粉末の遊離酸で、EDTA のそれよりも水に溶けやすい。EDTAより反応速度が遅く、滴定に際しては、加熱するか、ゆっくり行う必要がある。特に Al,Cr,Ni,Zrとは反応速度が遅く、0℃においては、CrとCyDTAは数日以上も反応しない。また、EDTAよりキレート安定度定数が大きいので、強力なキレート剤として用いられている。
技術情報
溶解例
4 g/25 mL(1 mol/L-NaOH)→100 mL(水)
応用例
(1)リン酸共存下のCa, Mgの滴定
リン酸が共存するとEDTAではCa, Mgは逆滴定しないと滴定できないが、CyDTAではうまくいき、モル比で4倍量程度まで妨害しない。
(2)Cu, Ni共存下のCu滴定
Cu, NiのうちNi-CyDTAの安定度はNi(CN)42-より大きい。すなわち,Cu+NiをpH10、BT指示薬と、Mg標準液で逆滴定後、30% H2O2約2 mL、KCN約0.5 gを加えるとCuのみCu(CN)42-を生じ、CyDTAを遊離するので、Mg標準液で滴定を続ける。
(3)Al, Cr中の各成分の滴定
Alは常温でCyDTAと反応するが、Crは反応しない。すなわち、Al, Cr混合液に常温でCyDTAをAlに対して過剰に加え、XOを指示薬としてPb標準液で逆滴定する。滴定の終わった溶液にCrに対してCyDTAを過剰に加え、加熱し、逆滴を続けるとCrが滴定できる。クロム酸が共存してもこの方法を実施できるが、逆滴金属としてはZnを用いる必要があり、Ti,ZrがあるときはTOPOで抽出しておく。
(4)その他
そのほか、CyDTAを用いれば、Fe, Ca, Mgの同一溶液連続滴定が出来るし、Alが含まれるときは、トリエタノールアミン、Mn2+を上手に利用する。また、ケイ酸塩中のAlをCyDTA、アニジシンブルーを用いて蛍光滴定したり、クロム液中のCr3+をCyDTAを用い540 nmで比色定量したり、CyDTA共存下XOを用いて石油中微量のVの比色定量、Hg-CyDTAを用いる0.6~30 μg/ mLのI2の比色定量、リン酸、ヒ酸共存下の硫酸痕の逆滴定などがある。
取扱条件
性状: | 本品は、白色粉末でアルカリによく溶け、水にも僅かに溶ける。 |
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純度(滴定): | 99.0% 以上 |
アルカリ溶状: | 試験適合 |
強熱残分(硫酸塩): | 0.20% 以下 |
重金属(Pbとして): | 0.001% 以下 |
鉄(Fe): | 0.001% 以下 |