15 比色試薬/金属指示薬

Cu-PAN

比色試薬/金属指示薬

  • 製品コード
    C016  Cu-PAN
  • 化学名
    Composite preparation of Cu-EDTA and PAN(Ratio 11.1:1)
容 量 本体価格 富士フイルム
和光純薬
1 g ¥2,800 348-00831
10 g ¥10,200 344-00833

性質

Cu-PANは、Cu-EDTA(Na2CuEDTA)とPANを最も鋭敏な変色を起こす割合(PAN:Cu-EDTA=1:11.1)に、正確にバランスよく混合した粉末で、キレート滴定法における代表的な指示薬の一つある。
 金属イオン(M2+)を含む水溶液に極少量のCu-EDTAとPANを添加すると次の置換反応が起こる。
   M2+ + Cu-EDTA + PAN → M-EDTA + Cu-PAN
この反応において、Cu-PANは安定性が非常に高いため、M-EDTAの安定性がCu-EDTAのそれより低くても置換反応は容易に進む。Cu-PAN(赤紫色)⇔ PAN(黄色)の色変化は他の金属と比べて非常に鋭敏で、pH 3~10の広い範囲にわたって起こる。指示薬による鋭敏な色調変化を起こしにくい金属イオンでも、本品を用いることでEDTAによる直接滴定が可能となる。
 Cu-PAN は湿度によって多少異なった色調を呈するが、その化学組成は一定に保たれている。使用する場合、指示薬溶液を調整して用いるが、溶媒にはジオキサンやイソプロピルアルコール20~50%、またはエチルアルコールやメチルアルコール50~70%を含む水溶液を用いる。

技術情報

応用可能な金属

キレート滴定金属指示薬として:
 <酸性> Al, Cd, Co, Fe3+, Ga, Hg, In, Ni, V, Zn, 希土類
 <アルカリ性> Ca, Cu, Mg, Mn2+

指示薬溶液調整法

本品1 gを30%ジオキサンまたは70%メタノール100 mLに溶解すると、Cu-PAN指示薬溶液が得られる。溶媒によって、PAN(赤)または Cu-EDTA(青)がとけのこることがあるが、もし色のついた沈殿が残ったら、PANの場合(赤褐色沈殿)は有機溶媒を、Cu-EDTAの場合(青緑色沈殿)は水を追加する。この溶液は安定で長く保存することができる。使用にあたっては試料50~100 mLに本指示薬溶液4~5滴を加える。溶液を調整する際、加熱して溶解すると終点の変色が黒味を帯びる。また長く保存した場合アルコール等が蒸発してPANが析出することがある。そのまま上澄みを使用しても差支えないが、少量のアルコールを等添加すれば透明な溶液となる。

注意事項

CNはCu-PANのCuと反応するのでマスキング剤として使用できない。また、過剰のアスコルビン酸はCu2+→Cuへの還元を起こすため、正常な色変化が得られない場合がある。

溶解例

500 mg/50 mL(50%ジオキサン)

参考文献

参考文献を表示する

1) H. Flaschka and H. Abdine, "EDTA Titrations Using Copper-PAN Complex as Indicator", Chem. Anal.1956, 45, 58

よくある質問

Q

Alを滴定で測りたいのですが、どのような方法がありますか?

A

(XO指示薬を使用した逆滴定も別にご紹介してますので、よろしければそちらもご覧下さい)
ここでは、Cu-PAN指示薬を用いた直接滴定を紹介します。

<試薬>
・0.1~0.01 M EDTA標準液
・Cu-PAN指示薬溶液
・緩衝液 10%酢酸アンモニウム水溶液,氷酢酸

<操作>
・試料溶液中のAlの濃度は100 mL中 2~20 mg程度にする。
 試料溶液約100 mLをとり、強酸性の場合はアンモニア水にて約pH 1になるまで中和し、酢酸アンモニウム
 および氷酢酸を滴下してpH 3~4に調製する。
 Cu-PAN指示薬約0.5 mLを滴下すると溶液は赤紫色を呈するので、ほとんど沸騰するまで過熱しながら
 EDTA標準液でゆっくり滴定する。終点近くなるとEDTA標準液を1滴滴下するごとに黄変するが、加熱・攪拌
 を続けていると間もなく橙黄色となる。
 EDTA標準液1滴を加え、1分間加熱しても橙黄色に変えられない点を終点とする。
 Al3+の量が10 mg以下の場合は、0.01 M EDTA標準液、10 mg以上の場合は0.1 M EDTA標準液をもちいるのが便利である。

 0.01 M EDTA 1 mL = 0.2698 mg Al
  0.1 M EDTA 1 mL = 2.698 mg Al

<備考>
・Fe3+が共存するとその合量が測定される。
・酸性試料溶液にいきなりアンモニア水を加えてpH 3~4に調製すると、理論値より低い測定値が得られる。
 これは中和する際、局部的にアルカリが過剰になり、Alの多核錯体が生成するからである。
 したがって、pH調製の際はまず酸性溶液に10%の酢酸アンモニウム溶液を滴下してpH 4(プロムフェノールブルー)
 となし、引き続いて氷酢酸5 mLを加え、最後にpH試験紙をもちいてpH 3~4に調製する。

・多量のアルカリ土類金属および30 mg以下のMnが共存しても差し支えない。Fe3+,Ni2+,Bi3+その他の
 二価金属が共存すると合量が測定される。またこんせきの重金属イオンが存在しても測定値には影響しない。
 多量のSO42-が共存する場合には変色が妨害される。

・Al3+とEDTAとのキレート生成反応速度は温度およびpHによって影響をうけ、温度の高いほど、またpHの低いほど
 反応速度が大きくなる。他方、Al-EDTAの条件安定度定数およびCu-PAN指示薬の変色機構から考えてpHが
 あまり低すぎることは望ましくなく、pH 3~4が最適である。

・Cu-PANをもちいるこの滴定法は直接滴定できる点、および他の直接滴定法に比べ変色が鋭敏な点で、
 実用的なAl滴定法ということができる。

*「キレート滴定」上野景平著(南江堂出版)より

Q

Coの滴定方法を教えてください。

A

ここでは、Cu-PANを指示薬とする直接滴定に関し記載します。

滴定の際の液性は酸性になりますので、中性~弱アルカリ性で行われたい方は「MX」の項目をご覧下さい。

【試薬】0.01 mol/L EDTA標準液
    Cu-PAN指示薬溶液
    緩衝液 50%酢酸および酢酸ナトリウム飽和水溶液
    アスコルビン酸(結晶)

【操作】①試料溶液のCo2+の濃度は100 mL中10 mg以下にする。
    ②試料溶液に酢酸または酢酸ナトリウム溶液を加えてpH 3~4に調製し、
     Cu-PAN指示薬溶液数滴を加えると赤紫色を呈する。
    ③アスコルビン酸少量を加え沸騰するまで加熱しながら滴定する。
     終点の変色は 赤紫→黄色 約30秒加熱しても赤みのあらわれない点を終点とする。

      0.01 mol/L EDTA 1mL = 0.5893 mg Co

【備考】
  ・滴定の途中でCo(II)-EDTAが空気酸化されてCo(III)-EDTAになると溶液が赤紫色となり
   指示薬の変色が認めにくくなる。そのためアスコルビン酸を加えてCo-(III)-EDTAの生成を防ぐ。
   また、Co(II)-EDTAも赤色を呈するので、試料中のCo2+濃度は上記操作に述べた限度を超えないようにする。
  ・溶液を加熱する代わりに、等容量のメタノールを添加してもよい。
  ・Co-PANも赤紫色を呈するので、Cu-EDTAの代わりにPANを指示薬としてCo2+を直接滴定することもできるが、
   変色の鋭敏度はCu-PAN指示薬の場合よりも劣る。また同じ原理で、Cu標準液で逆滴定してもよい。
  ・Th4+,Bi3+,Fe3+,Al3+,Cu2+,Ni2+,Hg2+,Pb2+などは一緒に滴定され、Zn2+,Cd2+などは一部滴定にかかってくる。
   アルカリ土類金属イオンおよびMn2+は滴定にかからず、また指示薬の色も妨害しない。
  ・XO指示薬をもちいれば、ヘキサミンを緩衝液としてpH 5~6で滴定することもできる。
   終点の変色は赤紫→黄。これらの指示薬をもちいるとき常温で滴定することもできるが、
   加熱したほうが変色は鋭敏である。
   またCu2+が共存する時はチオ尿素,チオ硫酸ナトリウムでマスクしたり、あるいはアスコルビン酸でCu+に
   還元したのちNH4SCNまたはKIを加えて沈殿マスクすることもできる。
   ただし、こんせきのNi2+,Fe3+,Al3+が共存してもこれらの指示薬はブロッキングをおこす。

*「キレート滴定」上野景平著(南江堂出版)より

Q

Niを滴定で測りたいのですが、どのようにすればよいでしょうか?

A

(MXを使用した直接滴定も紹介しております。『MX』の項を参照ください)
ここでは、Cu-PAN指示薬による直接滴定を紹介いたします。

<試薬>
・0.01 M EDTA標準液
・Cu-PAN指示薬溶液
・緩衝液 50%酢酸,酢酸ナトリウム飽和水溶液

<操作>
・試料溶液中のNi2+の濃度は100 mL中 15 mg以下にする。
①試料溶液はあらかじめ中和し、酢酸ナトリウム溶液4~5滴を加えたのち50%酢酸を滴下してpH 3~4に調製する。
 (あるいはpH 3~4にした酢酸-酢酸ナトリウム混合液を添加する)
②つぎにCu-PAN指示薬溶液約0.5 mLを添加したのち、溶液を沸騰するまで加熱し、EDTA標準液でゆっくり滴定する。
③終点の変色は 赤紫→黄
 EDTA標準液1滴を加え加熱して30秒間黄色を保つ点を終点とする。

 0.01M EDTA 1 mL = 0.5871 mg Ni

<備考>
・Cu-PANのかわりにPANをもちいても50~70℃で滴定することができるが、終点における鋭敏度は
 Cu-PANより劣るので、終点近くでは特にゆっくり滴定しなければならない。
・Cu-PANを指示薬とすればNi2+はpH 3~10の範囲で直接滴定することができるが、pHが低いほど
 妨害イオンの影響は少なくなる。pH 3で滴定する場合には大量のアルカリ土類金属、少量のZn2+,Cd2+,Mn2+などが
 共存しても影響しない。安定度定数の高いBi3+,Th4+,Al3+,Fe3+,Hg2+,Co2+,Cu2+などは定量的あるいは
 半定量的に滴定にかかってくるので、適当な方法でマスクまたは除去しなければならない。
・XO指示薬はNi2+によってブロッキングをおこすので直接滴定には使用できない。

Q

Cu-PAN指示薬をもちいたVの滴定方法を教えてください。

A

下記方法を参考にして下さい。
<試薬>
・0.01 M EDTA標準液
・Cu-PAN指示薬溶液
・緩衝剤 50%酢酸および酢酸ナトリウム飽和水溶液
・アスコルビン酸(結晶)

<操作>
①5~20 mg以下のVを含む試料溶液50 mLに酢酸または酢酸ナトリウム溶液を加えてpH 4~4.3に調製する。
②これにアスコルビン酸0.5 gを加えると溶液は青色になるので、加熱沸騰させる。
 アスコルビン酸の添加量が十分な場合は、いったん青色になった溶液は加熱と共に色があせて
 次第に淡青緑色になる。もし加熱してこの変色が認められない場合はさらにアスコルビン酸を
 追加してバナジウムを十分還元する。
③最後にCu-PAN指示薬0.1 mLを加え加熱しつつEDTA標準液で滴定する。
 終点の変色は 赤橙→黄緑
 
 0.01 M EDTA 1 mL = 0.5094 mg V

<備考>
・アルカリ土類金属をのぞく2~4価金属イオンは一緒に滴定される。PO34-,AsO43-,WO43-などは
 妨害しない。Moはこの滴定条件で還元されると濃青色となるため指示薬の呈色を妨害する。
 Feその他の重金属は酸化物として除去し、ろ液についてVを滴定するのが実際的である。
 また、イオン交換分離法も応用されている。

・この方法はタングステン合金中のVの定量に応用されている。
 この際、Wは大量の酒石酸でマスクできる。

・同様な滴定条件でXO指示薬をもちい、Th標準液で逆滴定することもできる。
・同じくXO指示薬をもちい、pH 5~5.5でPbまたはZn標準液で逆滴定することもできる。


*「キレート滴定」上野景平著(南江堂出版)より

Q

Cu-PAN指示薬の調製方法を教えてください。

A

Cu-PAN 1 g を50%ジオキサン水溶液 100 mLに溶解して指示薬溶液としてください。
*20~50%のジオキサン、イソプロピルアルコール、50~70%のメチルアルコール、エチルアルコールなどの水溶液で同様に調製いただいても結構です。

取扱条件

規格
性状: 本品は、灰赤褐色~黄褐色粉末で、ジオキサン水溶液 (50%) に溶ける。
ジオキサン水溶状溶状: 試験適合
吸光度: 0.500 以上(470 nm付近)
鋭敏度: 試験適合
取扱条件
1.安衛法

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