05 細胞染色用色素

BSB solution

BSB solution

アミロイド染色用色素

  • 製品コード
    B525  BSB solution
  • CAS番号
    291766-06-8(BSB)
  • 化学名
    1-Bromo-2,5-bis(3-carboxy-4-hydroxystyryl)benzene, DMSO solution
  • 分子式・分子量
    C24H17BrO6=481.29
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小売価格
富士フイルム
和光純薬
100 μL ¥- 販売を終了いたしました

性質

1. アミロイドβペプチド(Aβ)に対して高い親和性 (Ki = 0.4 μmol/L)1) をもつ。
2. 従来の色素に比べ検出感度が高く、抗体による染色と同等の感度を有する。
3. 溶液タイプのため染色が簡単である。
4. 生細胞の染色も可能である。
5. 脂溶性物質で、脳-血液関門(blood -brain barrier)を透過する。

アミロイドーシスはアミロイドが臓器や組織細胞の外に沈着してこれらの臓器や組織の働きを阻害する病気である。アミロイドーシスには、全身の様々な部分にアミロイド沈着が起こる「全身性アミロイドーシス」と一部の臓器のみに沈着が起こる「限局性アミロイドーシス」がある。全身性アミロイドーシスには熊本地方で患者の多い家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)と呼ばれる遺伝性のものがあり、肝臓でアミロイドを作り出し、それが全身の臓器などに沈着して障害を起こす。発症後10年で死に至る難病であるが、現在はドミノ肝移植などの治療により命を落とす危険性は少なくなっている2)。他にも高齢で非遺伝的に発症する老人性アミロイドーシスや、透析患者の治療で使用する透析膜では除けないタンパク質が変化したアミロイドが引き起こす透析アミロイドーシス、リウマチで発現するタンパク質が切れて出来るアミロイドによる二次性アミロイドーシスなどがある。限局性アミロイドーシスには、アミロイドが脳に蓄積する老人斑(SP)があり、アルツハイマー病の特徴の1つである3)。また、現在も問題となっている狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)や新型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)も限局性アミロイドーシスの一種である。
BSBはアルツハイマー病の研究において最初に用いられ、Skovronskyらはアミロイド前駆体タンパク質(APP)を発現するトランスジェニックマウスTg2576にBSBを静注し、18時間後の脳組織のSPに色素が集積していることを確認したと報告している1)
同様にアミロイドが沈着するその他のアミロイドーシスでもBSBを用いた研究が進められており、FAP、透析アミロイドーシスや二次性アミロイドーシスなどの組織染色を行なった結果、アミロイドが沈着した部分を感度よく染色していることが確認された。また、BSEやνCJDを発症した組織でも同様の結果が得られている。
BSBは、従来の色素に比べ、親和性・検出感度共に高い蛍光色素である。Skovronskyらの結果からin vivo の系での使用も可能であると考えられている。従来の色素では組織染色などin vitroでしか検出できないものも多く、in vivoの系で沈着アミロイドを検出した報告はない。BSBは安定性や毒性などの研究は必要であるが、FAPやBSEを含めたアミロイドーシスの診断・治療などの研究へのさらなる応用が期待されている。

技術情報

使用法

使用法
サンプルの固定法:エタノール固定もしくはホルマリン固定

操作方法
*本製品は1%DMSO溶液である(1 mg BSB in 100 μL DMSO)。
本製品1本から、0.01 %濃度の染色液が10 ml、0.0001 %の染色液が1,000  mL調製できる。

1) BSB染色液の調製
製品に50 % エタノールを加えて希釈し、0.01~0.0001%の濃度にする。

2) 染色
・切片をBSB染色液に30 分間浸す。
・切片を飽和炭酸リチウム水溶液に浸した後、50 %エタノールにて軽く洗う。

3) 観察
UV光(V励起)にて観察する。
蛍光特性:λex=432 nm, λem=532 nm

注意事項:購入後は必要に応じて小分けして冷蔵保存すること。

【病理切片染色例】
アルツハイマー病

画像はアルツハイマー病患者の脳。(A)はAβに対する抗体による染色で褐色に染まった部分がアミロイドである。(B)はthioflavin Sにより、(C)はBSBにより蛍光染色したもので、白く光っている部分がアミロイドである。BSBによる染色の方が薄い老人斑や神経原線維変化の様子を明確に観察することができる。(BSB濃度:0.01%)
(画像提供:東京大学大学院薬学系研究科臨床薬学 古和久朋先生)


画像は各種アミロイドーシス患者の組織。上段はCongo Redにより染色したもので赤褐色に染まった部分がアミロイドである。下段はBSBで染色したもので、白く光っている部分がアミロイドである。
(画像提供:熊本大学医学部臨床検査医学 安東由喜雄先生)

参考文献

参考文献を表示する

1) D. M. Skovronsky, B. Zhang, M.-P. Kung, H. F. Kung, J. Q. Trojanowski and V. M.-Y. Lee, "In vivo Detection of amyloid Plaques in a Mouse Model of Alzheimer's Disease", Proc. Natl. Acad. Soc. USA, 2000, 97, 7609.
2) 安東 由喜雄, 臨床病理, 2000, 48, 425.
3) 佐々本 一美, Dojin News, 2001, 97, 11.
4) K. Ishikawa, K. Doh-ura, Y. Kuso, N. Nishida, I. Murakami-Kudo, Y. Ando, T. Sawada and T. Iwaki, "Amyloid Imaging Probes are Useful for Detection of Prion Plaques and Treatment of Transmissible Spongiform Encephalopathies", J. Gen. Viol., 2004, 85, 1785.
    
    

よくある質問

Q

BSBを蛍光観察する際の励起波長および蛍光波長を教えてください。

A

 波長は以下の通りです。

励起波長:432 nm, 蛍光波長:532 nm

Q

アミロイド染色用色素BSB [(1-Bromo-2,5-bis(3-carboxy-4-hydroxystyryl)benzene)] を用いたアミロイド染色のプロトコールを教えてください。

A

一般的な使用方法での条件は下記のようなものです

Sections were immersed in 0.01 % BSB in 50 % EtOH for 30 min.
Sections were quickly differentiated in saturated Li2CO3 and rinsed in 50 % EtOH before examination by fluorescent microscopy.
波長:UV光


飽和炭酸リチウムに浸すのはBSB solutionを洗うだけなので長く浸す必要はありません。30秒~2分程度で結構です。

論文での報告もあります。
・D. M. Skovronsky, B. Zhang, M.-P. Kung, H. F. Kung, J. Q. Trojanowski, V. M.-Y. Lee, Proc. Natl. Acad. Soc. USA, 97, 7609 (2000).

実際の染色例をご覧になりたい場合も、上記の論文をご参照下さい

取扱条件

規格
性状: 本品は、黄色~黄褐色液体である。
吸光度: 1.000~1.500 (370 nm)付近
取扱条件
保存条件: 冷蔵,遮光
危険・有害
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