Biotin-OSu

Biotin-OSu

ビオチン標識試薬

  • 製品コード
    B304  Biotin-OSu
  • CAS番号
    35013-72-0
  • 化学名
    Biotin N-hydroxysuccinimide ester
  • 分子式・分子量
    C14H19N3O5S=341.38
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
10 mg ¥5,500 346-06351

性質

ビオチンはアビジンと強く結合することが知られており、その性質を利用して高感度分析に広く利用されている。ビオチンとアビジンの結合安定度定数は1015で、抗原-抗体反応よりも3~4桁高いため、一旦アビジンと結合したビオチンは生理的条件下では外れない。また、ビオチンはカルボキシル基を持つ低分子であり、容易に化学修飾することができ、タンパク質等の活性をほとんど損なうことなく標識することができる。したがって、抗体を用いた免疫分析のための標識剤として、数多くのビオチン化合物が開発されてきた。タンパク質のアミノ基(NH2基)との結合には、通常、活性エステル基を持つビオチンが用いられ、スルフヒドリル基(SH基)には、マレイミド基を持つビオチンが用いられる。

目的に応じて、アビジンが認識するビオチンヘッドと反応基の間のスペーサーの長さを選択する必要があるが、一般にスペーサーが長い方が、アビジンを結合させた際の抗体への抗原認識活性への影響が少ないと考えられている。ただし、スペーサー部分が非特異的吸着を起こす場合もあり、測定の際のバックグラウンドが高くなることもあるため、測定感度を向上させるには、S/N(シグナル・ノイズ比)を見て、適当な長さのスペーサーを選択する必要がある。

スペーサーには通常、アミノカプロン酸が用いられ、アミド結合でビオチンに一分子のアミノカプロン酸を導入した化合物と二分子導入した化合物がある。カプロン酸スペーサーが長くなると水溶性が乏しくなるため、ビオチン標識試薬をDMSOに溶解し、タンパク質を含むバッファー溶液に添加する方法が一般的である。

タンパク質のアミノ基標識の際に有機溶媒が使用できない場合には、スルホン酸基を持つ活性エステル化合物が利用できる。また、スルフヒドリル基への反応に際しては、同様にDMSOで調整した溶液が用いられるが、スペーサー部分にピペラジン構造を持つため、中性領域では、プロトン化されることにより、水溶性を示す。
還元糖に用いられるビオチンヒドラジド化合物は、水溶性が低くDMSO溶液での調整が必要となる。

ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)では、ビオチン標識した抗体に対して、酵素標識ストレプトアビジンを結合させる方法が一般的である。ストレプトアビジンに比べ、アビジンは安価であるがELISAなどに用いられるケースは極めて少ない。理由は、バックグラウンドが極めて高くなるためで、PIが高いことが原因であると考えられている。カラムによるビオチン結合タンパク質などの分離目的には一般的にアビジンが用いられる。

技術情報

注意事項

・本製品を粉末の状態で取り出し使用する場合、性状の性質上、静電気等の要因で容器内に付着し、取り出しにくい場合があります。
・容器内に付着し、取り出せなかった粉末に関しては、使用する溶媒を容器に入れ、溶かし出して使用してください。

溶解例

10 mg/ml(ジメチルスルホキシド)

参考文献

参考文献を表示する

1) P. Kongtawelert and P. Ghosh, " A New Sandwich-ELISA Method for the Determination of Keratan Sulphate Peptides in Biological Fluids Employing a Monoclonal Antibody and Labelled Avidin Biotin Technique.", Clin. Chem. Acta,, 1990, 195, 17.
2) G. Paganelli, S. Pervez, A. G. Siccardi, G. Rowlinson, G. Deleide, F. Chiolerio, M. Malcovati, G. A. Scassllati and A. A. Epenetos, "Intraperitoneal Radio-localization of Tumors Pre-targeted by Biotinylated Monoclonal Antibodies", Int. J. Cancer, 1990, 45, 1184.
3) C. Wagener, U. Kruger and J. E. Shively, "Selective Precipitation of Biotin-labeled Antigens or Monoclonal Antibodies by Avidin for Determining Epitope Specificities and Affinities in Solution-phase Assays", Methods Enzymol., 1990, 184, 518.
4) D. M. Boorsma, J. Van Bommel and E. M. Vander Raaij-Helmer, "Simultaneous Immunoenzyme Double Labelling Using Two Different Enzymes Linked Directly to Monoclonal Antibodies or with Biotin-avidin", J. Microscopy, 1986, 143, 197.
5) A. Komura, T. Tokuhisa, T. Nakagawa, A. Sasase, M. Ichihashi, S. Ferrone and Y. Mishima, "Specific Killing of Human Melanoma Cells with an Efficient 10B-compound on Monoclonal Antibodies", Pigment Cell Res., 1989, 2, 259.
6) R. Rappuoli, P. Leoncini, P. Tarli and P. Neri, "Competitive Enzyme Immunoassay for Human Chorionic Somatomammotropin Using the Avidin-biotin System", Anal. Biochem., 1981, 118, 168.

よくある質問

Q

アミノ基標識用には、OSuとSulfo-OSu というものがありますが、 これはどのように違うのですか?

A

反応性に関してはほぼ同じです。
Sulfo-OSuタイプは、スルホン酸基がついているため水に対する溶解性が高く、高濃度での反応が出来ます。
DMSOなどの有機溶媒を系に入れたくない場合にも有効です。
その反面、吸湿しやすく、保存している時に加水分解しやすくなります。

Q

試料がPBSに溶解しています。出来ればラベル化反応をPBSで行いたいのですが問題ないでしょうか?

A

反応自体は可能ですので、pHに注意してご使用ください。
ラベル化反応の条件としては、弱アルカリ側(pH8~9)が適していますので、その範囲内にpHを調製したPBSを調製してください。
PBSは中性付近で使用することが多く、アルカリ側での緩衝能が十分でないことも考えられます。
その他の緩衝液(炭酸緩衝液など)に比べると、反応中にpH変動が幾分あるかもしれません。

 また、Tris bufferやGlycine bufferなど一級アミノ基を持つものは、活性エステルと反応しますので、緩衝液として使用できません。

取扱条件

規格
性状: 本品は、白色~微黄色粉末でジメチルスルホキシドに溶ける。
純度(HPLC): 95.0% 以上
ジメチルスルホキシド溶状: 試験適合
取扱条件
保存条件: 冷凍
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