Arsemate
比色試薬/金属指示薬
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製品コードA012 Arsemate
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CAS番号1470-61-7
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化学名Diethyldithiocarbamic acid, silver salt
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分子式・分子量C5H10AgNS2=256.14
容 量 | メーカー希望 小売価格 |
富士フイルム 和光純薬 |
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5 g | ¥6,100 | 346-00131 |
25 g | ¥20,800 | 344-00132 |
性質
ArsemateはAsH3と反応して、生成するコロイド状の銀が赤紫色呈することより、微量ヒ素の定量試薬として使用される。一般にはジエチルジチオカルバミド酸銀法(Ag-DDTC法、Ag-DDC法)と呼ばれる。黄色の粉末で、水および多くの有機溶媒には溶けないが、ピリジンおよびクロロホルムには溶解する。銀塩であるため、感光して黒化しやすいので遮光して保管する必要がある。粉末では冷所に遮光して保存すれば長期間(約2年間)は安定であるが、溶液状態では劣化し易い。
Arsemateを溶かしたピリジン溶液にAsH3を含むガスを吹き込むと、溶液はAsH3と鋭敏に反応して赤紫色(λmax=520~540 nm)となる。Arsemateはピリジン溶液でしか発色しなかったが、ブルシンを含むクロロホルムでも同様に発色することが分かり、ピリジンの悪臭を避けるためピリジンの代替として普及している(ただし、ブルシンは毒性が非常に強いため、取扱に十分注意が必要である)。
なお、Arsemateによる比色定量には必ずAsH3ガスの発生装置とその捕集装置が必要である。共存イオンの影響については、Budesinsky, Howardの報告を参照されたい。
応用可能な金属
比色試薬として:As, Sb
比色条件
As(ピリジン中540 nm, 4~12 ppm)
比色試験溶液調整法
0.5%ピリジン溶液あるいは、0.5%クロロホルム(0.03 mol/lLトリエチルアミン添加)溶液とする。褐色瓶に保存すれば数ヶ月は安定である。
応用例
ArsemateによるAsの比色定量法の原理は、硫酸酸性中で還元されて試料から発生するAsH3とArsemateとの反応にもとづいている。試料中のAsをいかにして完全にAsH3とし、Arsemate溶液に吸収させるかが重要となる。
操 作
1) 0~15 μgのAsを含む試料溶液を三角フラスコにとり、蒸留水を追加して25 mLとし、濃硫酸5 mL、15%ヨウ化カリウム溶液2 mlおよび40%塩化第一スズ塩酸溶液0.5 mLを加える。
2) As5+を完全にAs3+に還元するため、フラスコをよく振とうし15分間放置する。
3) スクラッパーに10% 酢酸鉛溶液(H2S 吸収用)で湿した硝子綿をつめる。
4) 吸収管に0.5%試薬ピリジン溶液3 mLを入れ、つぎにフラスコの溶液に粒状亜鉛(無ヒ素)3 gを加え、直ちにスクラッパーを挿入する。
5) 約1時間後赤紫色の吸収管内溶液を試薬ブランクを対照にして530 nm付近で比色する。
*呈色液は室内で約2時間、暗室内で6時間は安定である。
技術情報
溶解例
1 g/50 mL(熱ピリジン)250 mg/50 mL(熱クロロホルム)
参考文献
1) 中尾正三、ドータイトニュースレター, 1962, 10(4), 2.
2) 山本大二郎, 上田隆, "ジエチルジチオカルバミン酸銀塩法を用いるヒ素分析における塩基の影響", 分析化学, 1972, 21, 938.
3) A. G. Howard and H. Arbab-Zavar, "Sequential Spectrophotometric Determination of Inorganic Arsenic(III) and Arcenic(V) Species", Analyst, 1980, 105, 33.
4) 川井英雄, "生体試料中の微量元素の定量", ぶんせき, 1990, 852.
よくある質問
取扱条件
性状: | 本品は、微黄白色~黄色粉末又は結晶性粉末でピリジン及びクロロホルムに溶ける。 |
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純度(滴定): | 98.0% 以上 |
ピリジン溶状: | 試験適合 |
クロロホルム溶状: | 試験適合 |
ひ素分析適合性: | 試験適合 |
IRスペクトル: | 試験適合 |
保存条件: 遮光 |