15 比色試薬/金属指示薬

ALC

ALC

比色試薬/金属指示薬

  • 製品コード
    A006  ALC
  • CAS番号
    3952-78-1
  • 化学名
    3-[N,N-Bis(carboxymethyl)aminomethyl]-1,2-dihydroxyanthraquinone
  • 分子式・分子量
    C19H15NO8=385.32
容 量 メーカー希望
小売価格
富士フイルム
和光純薬
100 mg ¥3,500 342-00091
1 g ¥14,300 348-00093

性質

ALCは、ALC-La錯体が赤色に対し、ALC-La-F錯体が青色となることより、フッ素の比色定量試薬として用いられる。このALCを用いたフッ素定量はJIS規格でも公定法として採用されている。
一般にはAlizarin Complexoneと呼ばれる色素で、融点190℃(分解)で、水にはわずかに溶け(約0.2 g/L)、アルカリ水溶液にはよく溶ける。アルコール、エーテル、その他の非極性有機溶媒には溶けない。酸解離定数はpKa1(COOH)=2.40,pKa2(OH)=5.54,pKa3(NH)=10.07,pKa4(OH)=11.98(μ=0.1)で、水溶液は弱酸性で黄色、pH6~10で赤色、強アルカリ性で赤紫色となる。
ALCはLa(III)、Ce(III)など希土類と錯体を形成し、pH4.5付近で赤色を呈する。この希土類錯体はFの存在で三元錯体を形成して青色となる。この現象はFで特異的に起こるもので、比色定量法に応用されている。三元錯体の構造については、WestらのいうMLFのような単純なものではなく、M2L2F2,(M5L4F2)n,M5L4F4(但し、M=La or Ce, L=ALC)などの報告がなされている。Fに適合性の結合サイトが形成されているらしいが、構造はまだ分かっていない。ただ、吸光度はF濃度に対して比例するので、Fの定量ができる。また、三元錯体はアミンを含むイソアミルアルコール中に抽出されることより、抽出比色での定量もできる。
各種試料中(工場排水、上水、排ガスなど)の微量Fの比色(或いは抽出比色)試薬として主に利用されているが、ALCが稚魚の耳石を染色することより、稚魚の放流追跡調査にも用いられている。

 

技術情報

応用可能なイオン

比色試薬として:F、希土類金属

比色条件

F:水溶液中(620 nm, pH4~5, アセトン添加、0.1~1ppm F
:抽出比色(イソアミルアルコール+ジエチルアニリン中、570 nm, ε=2.35×104, 0~1ppm F

フッ素イオンの測定例

1.試薬溶液調製法
いくつかの方法がある。その一例を示す。
1)ALC溶液:ALC 10 mgを水10 mL懸濁する。1 mol/L NaOH溶液1 mLを加えて溶解し、水で50 mLとする。
2)La溶液:La2O3 17 mgを1 mol/L HNO3溶液20 mLに溶解し、水で200 mLとする。
3)緩衝液:pH5.1緩衝溶液0.2 mol/Lヘキサミン溶液と0.2 mol/Lフタル酸水素カリウム溶液の等量混合液。
なお、使用に際しては上記の3種の溶液を等量混合し用いるが、当社の商品であるAlfusoneは、水に溶かすだけでこの試薬溶液が調整できるように、あらかじめ混合した製剤である。

2. 検量線作成および測定
1) 50 mLメスフラスコにALC溶液、La溶液、緩衝液を各5 mL取り、よく振り混ぜる。試薬ブランクと検量線のプロット数の分だけ調整する。
2) F標準溶液(5 μg/mL)を1~10 mlを上記溶液に加えて振り混ぜ、さらにアセトン20 mLを加えて、水で50 mLにメスアップする(アセトンの添加は吸光度の増感効果がある)。
3) よく混合して一時間以上室温で放置後、試薬ブランクを対象として620 nmの吸光度を測定し、F濃度に対して、吸光度をプロットして検量線とする。
4) サンプル(50 μg/mL以下)溶液を用いて、1~3)と同じ操作で吸光度を測定し、検量線よりF濃度を求める。
  

その他の使用例:稚魚耳石の標識

 マダイの稚魚での最適な標識条件として、ふ化仔魚ALC 80 mg/L(海水)12時間、体長11 mm稚魚ALC 50~100 mg/L 24時間、体長19 mm稚魚ALC 200 mg/L 24時間の条件で浸漬させた報告がある。ALCは耳石以外の組織では早期に排出される。
 

溶解例

100 mg/10 mL(0.1 moL/L-NaOH)→50 mL(水)

参考文献

参考文献を表示する

1) R. Belcher and T. S. West, "A Study of the Cerium-Alizarin Complexan Fluoride Reaction", Talanta, 1961, 8, 853.
2) 橋谷博, 武藤博, "Pyrolysis-アリザリンコンプレクソン光度法による酸化ウラン中のこん跡フッ素の定量", 分析化学, 1965, 14, 1114.
3) 平野四蔵, 藤沼弘, 笠井寿二, "アリザリンコンプレクソンを用いる微量フッ素の抽出光度定量", 分析化学, 1966, 15, 1339.
4) F. Ingman, "Annotation the Acid Stability Constants of Alizarin Fluorine Blue", Talanta, 1973, 20, 135.
5) F. Ingman, "Photometric Determination of Aluminium with Alizarin Fluorine Blue, Talanta, 1973, 20, 999.
6) K. Tsukamoto, "Mass-marking of Ayu Eggs and Larvae by Tetracycline-tagging of Otoliths", Bull. Jpn. Soc. Sci. Fish., 1985, 51, 903.
7) K. Tsukamoto, "Otolith Tagging of Ayu Embryo with Fluorescent Substances", Nippon Suisan Gakkaishi, 1988, 54, 1988.
8) 関泰夫, 塚本勝巳, 石橋正雄, "サケ・マスの発眼卵・仔魚の耳石標識", 新潟県内水面水産試験場調査研究報告, 1988, 14, 13.
9) 桑田博, 塚本勝巳, "アリザリン・コンプレクソンによるマダイ稚仔魚の耳石標識-I 標識液の濃度と標識保有期間", 栽培技研, 1987, 16, 93.
10) 桑田博, 塚本勝巳, "アリザリン・コンプレクソンによるマダイ稚仔魚の耳石標識-II 大量標識", 栽培技研, 1989, 17, 115.
12) Y. Yamashita, S. Nagahora, H. Yamada and D. Kitagawa, "Effects of Release Size on Survival and Growth of Japanese Flounder Paralichthys Olivaceus in Coastal Waters of Iwate Prefecture, Northeastern Japan", Mar. Ecol. Prog. Ser., 1994, 105, 269.
12) 高橋庸一, "アリザリン・コンプレクソンの経口投与によるヒラメ稚魚の耳石染色", Nippon Suisan Gakkaishi, 1994, 60, 611.

よくある質問

Q

ALC(アリザリンコンプレキソン)とAlfusone(アルフッソン)は同じものですか?

A

違います。
ALC(アリザリンコンプレキソン)のランタン錯体にpH調整用の緩衝剤を混合したものがAlfusone(アルフッソン)です。
アルフッソンは水に溶解するだけで簡単にランタン-アリザリンコンプレキソン溶液を調製できます。

アリザリンコンプレキソンはフッ素の分析用試薬として広く使用されております。
JIS K0105やJIS K0102 にも排水や排ガス中のフッ素分析試薬として記載されております。
フッ素の分析を行う際には、アリザリンコンプレキソンとランタンを混合して「ランタン-アリザリンコンプレキソン溶液」を調整しければなりませんが、操作が煩雑であり、調製は容易なものではありません。

JIS K0105では『市販のランタン-アリザリンコンプレキソン混合試薬を用いても良い』、JIS K0102では『市販品を用いてもよい。市販のアルフッソンを用いる場合は..』
など、JIS規格でもアルフッソンをフッ素の定量に使用してよいことが記述されております。

取扱条件

規格
性状: 本品は、橙黄色~黄褐色粉末である。水にはわずかに溶け、アルカリ溶液にはよく溶ける。
アルカリ溶状: 試験適合
吸光度: 0.420 以上(430 nm付近)
強熱残分(硫酸塩): 0.50% 以下
IRスペクトル: 試験適合
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