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はじめに

Ab-10 Rapid HiLyte FluorTM 647 Labeling Kitは、10 μgの抗体にHiLyte FluorTM 647を30分以内に標識するためのキットです。HiLyte FluorTM 色素は、米国 AnaSpec 社が開発した蛍光色素です。キット付属のReactive HiLyte FluorTM 647は、活性エステル基を導入しているため、抗体と混合するだけで安定な共有結合を形成します。本キットには標識に必要なすべての試薬が含まれています。

                     図1 標識手順

注意

Reactive HiLyte Fluor™ 647はアルミラミジップに3本入っています。アルミラミジップを一旦開封した後は、未使用のReactive HiLyte Fluor™ 647はアルミラミジップに入れたままチャックをしっかりと閉め、-20°Cで保存してください。
Reactive HiLyte Fluor™ 647以外は0~5°Cで保存してください。

キット内容

Reactive HiLyte FluorTM 647 ×3
Reaction Buffer 100 μl ×1
Stop Solution 100 μl ×1

保存条件

0~5°Cで保存してください。
ご購入後、未開封で1年間安定です。

必要なもの(キット以外)

  • 20 μlマイクロピペッター
  • マイクロチューブ(サンプル調製用)
  • インキュベーター(37°C)
  • PBS(Phosphate buffered saline)

使用上のご注意

  • 0.5~1 mg/mlの抗体溶液を使用してください。抗体濃度が1 mg/mlを超える場合はPBSで希釈してください。
  • 試料溶液に不溶性の低分子物質が含まれる場合は、遠心して上清のみを標識反応に用いてください。
  • 本キットには溶液の入ったマイクロチューブのコンポーネントが含まれています。チューブ内壁やキャップに溶液が付着していることがありますので、開封前に溶液を遠心等でチューブの底に落としてからご使用ください。
  • 抗体溶液に含まれる添加剤は、その濃度が高い場合に標識反応を阻害したり、実験における非特異的吸着の原因となる可能性があります。標識反応の妨害または非特異吸着が著しい場合には、標識操作の前に添加剤を除去することを推奨します。表1には標識に影響を及ぼさない添加剤の例を、表2には小社で検討した標識に影響を及ぼす可能性のある添加剤の例を示しました。
表1 標識に影響を及ぼさない添加剤の例
Additives  
Buffering agents(PBS, HEPES)
Sodium chloride
Chelating agents (EDTA)
Sodium azide
Primary amines and thiols ×

 

表2 標識に影響を及ぼす可能性のある添加剤の例(数値は影響を及ぼさない最大濃度)
  Glucose Glycerol BSA Gelatin Tris
Anti-Mitochondria antibody  <10%  <10% <2% <0.1% < 50mmol/l
Anti-Actin antibody < 5% <25% × <0.1% <25mmol/l
Anti-HNF4α antibody < 2% < 10% < 0.05% < 0.1% < 50mmol/l
  • 抗体の種類、生物種、メーカーにより添加剤の影響は異なります。

プロトコール

  1. 抗体量が10 μgに相当する量の0.5 ~ 1 mg/mlに調製した抗体溶液をマイクロチューブに入れる。
  2. 操作1の抗体溶液にReaction Bufferを加え、ピペッティングにより混合する。
    • Reaction Bufferの添加量: 抗体溶液の1/10量(表3)
  3. 操作2の溶液をReactive HiLyte FluorTM 647 に加え、ピペッティングにより混合する。
  4. 37°Cで10分間反応する。
  5. 操作 4.の溶液にStop Solutionを加え、ピペッティングにより混合する。
    • Stop Solutionの添加量: 抗体溶液の1/10量(表3)
  6. 室温で10分間反応する。
  7. 操作6の標識抗体を実験に用いる。または、冷蔵で保存する。
    • 標識抗体は、4°Cで2週間は安定です。
表3 Reaction BufferとStop Solutionの添加量
抗体濃度(mg/ml) 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
Reaction Buffer添加量(μl) 2.00 1.67 1.43 1.25 1.11 1.00
Stop Solution添加量(μl) 2.00 1.67 1.43 1.25 1.11 1.00

実験例

ミトコンドリアの免疫染色

  1. μ-スライド 8ウェル(ibidi社製)にHeLa細胞を播種し、37℃、5%炭酸ガスインキュベーター内で一晩培養した。
  2. 培地を取り除き、PBSで3回洗浄後、4% パラホルムアルデヒド/ PBS 溶液を添加した。
  3. 室温で15分間静置した。
  4. 上清を取り除き、PBSで3回洗浄後、1% Triton-X / PBS 溶液を添加した。
  5. 室温で30分間静置した。
  6. 上清を取り除き、 PBSで3回洗浄後、PBS で調製したブロッキング溶液を添加した。
  7. 室温で1時間静置した。
  8. HiLyte FluorTM 647標識-抗ミトコンドリア抗体をブロッキング溶液で200倍希釈した。
    • 抗ミトコンドリア抗体(商品コード: ab3298)はabcam社から購入した。
  9. 上清を取り除き、操作8の溶液を添加した。
  10. 冷蔵で一晩静置した。
  11. 上清を取り除き、PBS-Tで3回洗浄した後、PBS-Tを添加した。
  12. 染色細胞を蛍光顕微鏡で観察した。

図2 HiLyte FluorTM 647標識抗ミトコンドリア抗体を用いたHeLa細胞ミトコンドリア免疫染色

LK36: Ab-10 Rapid HiLyte Fluor™ 647 Labeling Kit
Revised Mar., 29, 2024