はじめに
-Bacstain- series は細菌用の蛍光染色試薬群です。異なる 3 つの手法(下図)から菌の生存率を求める事ができます。 DAPI は DNA の AT 配列に特異的な minor grove binder です。菌染色において汎用され、膜損傷の有・無に関わらず、細 胞内へ透過し核酸を染色します。 -Bacstain- DAPI solution は溶液タイプのため、試薬調製の手間無く使用できます。
キット内容
DAPI 水溶液 | 25 μl × 4 , 濃度:1 mg/ml |
保存条件
0-5℃ にて保存して下さい。
キット以外に必要な物
- 蛍光顕微鏡 (UV exitation filter, blue emission filter)または Flow cytometer (UV exitation, blue emission filter)
- マイクロピペット (20 μl, 1,000 μl)
使用上の注意
本キットには溶液の入ったマイクロチューブのコンポーネントが含まれています。チューブ内壁やキャップに溶液が 付着している事がありますので、開封前に振り落としてからご使用ください。
染色手順
- 冷蔵された DAPI 溶液を室温に戻すため、室温にて 30 分間静置する。この際、遮光を行なうこと。a)
- 菌を PBS(-) もしくは生理食塩水に懸濁し、細胞密度を調整する。1×106 cells/ml (flow cytometry) 108 -109 cells/ml (microscopy)
- 細胞懸濁液 1 ml に対し、DAPI 溶液 1 μl を加えよく混合する。
- 室温にて 5 分間インキュベートする。その後、必要であればホルマリン固定 (1-4%) を行なう。
- フローサイトメーターまたは蛍光顕微鏡で観察する。
a) DAPI は変異原性が疑われるため、操作及び廃棄には注意が必要である。
- DAPI 染色したB.cereus
- 左:蛍光像 、右:明視野像
アッセイ数
本マニュアルに準じた場合、約 100 検体分の測定が可能です。
二重染色例
DAPIを-Bacstain- CTC Rapid Staining Kitまたは-Bacstain- CFDA solutionと組み合わせる事で二重染色(呼吸活性/全菌、 エステラーゼ活性 / 全菌)が可能です。
- -Bacstain - CTC Rapid Staining Kit で染色後、DAPI で全菌染色した。(L.casei )
- -Bacstain- CFDA solution で染色後、DAPI で全菌染色した。(B.cereus)
関連製品
-Bacstain- CTC Rapid Staining Kit (for Flow cytometry)
-Bacstain- CTC Rapid Staining Kit (for Microscopy)
CTC は菌の呼吸活性により還元を受け、蛍光性 formazan を生成します。生菌に選択的な蛍光色素として、多く用いられ ています。
-Bacstain- CTC Rapid Staining Kit はエンハンサーの効果により、従来の CTC 染色をより迅速・高感度にできるキットです。
- 写真(右) : Enhancing reagent なし
写真(左) : Enhancing reagent あり
励起フィルター : B 励起
Enhancing reagent の添加によりCTC 染色能が大きく向上します。
-Bacstain- CFDA solution
CFDAはステラーゼ活性により蛍光を発する色素として、菌染色で広く用いられています。
-Bacstain- CFDA solution は CFDA を DMSO 溶液としていますので、調製の手間無くご使用頂けます。
CFDA はそれ自体では蛍光を持ちませんが、細胞内に存在するエステラーゼにより蛍光性のカルボキシフルオレセインと なります。
-Bacstain- AO solution
AO は核酸染色試薬として頻用されます。膜損傷の有・無 に関わらず細胞内に透過し、核酸を染色します。
-Bacstain- PI solution
PI は損傷した膜をもつ細胞にのみ透過し、核酸を染色します。
-
DAPI/PI によるS. epidermidis の二重染色
赤い蛍光を発しているのが膜損傷菌です。
Products | Code | Maximum Ex/Em(nm) | Number of assays |
CTC Rapid Staining Kit (for Flow cytometry) | BS01 | 430, 480/630 | 100 |
CTC Rapid Staining Kit (for Microscopy) | BS02 | 430, 480/630 | 100 |
CFDA solution | BS03 | 493/515 | 100 |
DAPI solution | BS04 | 360/460 | 100 |
AO solution | BS05 | 420-460/630-650(ssDNA) | 100 |
500/520(dsDNA) | |||
PI solution | BS07 | 530/620 | 100 |
これらは福岡県工業技術センター生物食品研究所との共同開発製品です。
よくある質問/参考文献
BS04: -Bacstain- DAPI solution
Revised Aug., 28, 2023