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はじめに

-Bacstain- series は細菌用の蛍光染色試薬群です。下図に示す異なる3 つの手法により菌の生存率を求める事が可能です。
CTC は菌の呼吸活性により還元を受け、蛍光性formazan を生成します。生菌に選択的な蛍光色素として、多く用いられています。
-Bacstain- CTC Rapid Staining Kit はエンハンサーの効果により、従来のCTC染色をより迅速・高感度にできるキットです。

キット内容

CTC (5-cyano-2,3-ditolyl tetrazolium chloride)   10 mg x 3
Enhancing reagent B  500 μl (aqueous solution) x 1

保存条件

0-5ºC にて保存して下さい。

キット以外に必要な物

  • インキュベーター
  • マイクロピペット(20 μl, 1,000 μl)
  • Fluorescence microscope (blue excitation filter, red emission filter)

染色手順

  1. CTC の入ったチューブ1 本対し、滅菌水750 μl を加え良く混合しCTC を溶解する。この時CTC の濃度は 50 mmol/l となる。a)
  2. 菌をPBS(-) もしくは生理食塩水に懸濁し、細胞密度を調整する。108-109 cells/ml (microscopy). b)
  3. 細胞懸濁液1 ml に対し、下表に示された量の試薬を加え、ボルテックスミキサーで混合する。
      CTC solution Enhancing reagent B
    Microscopy 20 μl 5 μl
  4. 37 ºC にて30 分間インキュベートする。c)
  5. 蛍光顕微鏡で観察する。

a) 溶解後のCTC 溶液は-20℃で2 週間保存可能です。
b) 染色時に培地成分が残っていると、CTC の非特異的な還元反応が起こりますので、染色前はPBS(-) や生理食塩水で洗浄後、置換して下さい。
c) CTC による染色効率が良くない場合は、CTC 溶液を追加するかインキュベーション時間を長くして下さい。CTC 溶液を追加される場合は細胞懸濁液1 ml に対し、最大添加量を100 μl / サンプル までとして下さい。

 

写真(右) : Enhancing reagent なし
写真(左) : Enhancing reagent あり
励起フィルター : B 励起

Enhancing reagent の添加によりCTC 染色能が大きく向上します。

 

Enhancer (+)
Enhancer (-)

上段: Enhancing reagent あり
下段: Enhancing reagent なし
X 軸: CTC formazan の蛍光強度

従来のCTC 染色( 下段) では検出されないCandida albicans の活性が、本キット( 上段) では確認できます。
 

CTC 染色したCandida albicans のフローサイトメトリー解析

 

二重染色

CTC に対するカウンター染色試薬として-Bacstain - DAPI solution を用いる事ができます。DAPI は膜損傷の有無に関わらず、細胞内透過し核酸を染色します。DAPI で存在する全ての菌を、その内呼吸活性を有する菌をCTCで染色できます。DAPI 染色時にはホルマリン固定(1-4%)を特に必要としませんが、固定を行う場合はCTC 染色後に行って下さい。
DAPI 染色時はCTC で染色した細胞懸濁液 1 ml に対し、1 μl の -Bacstain - DAPI solution を加え、室温で5 分間インキュベートした後、蛍光観察して下さい。

アッセイ数

本マニュアルに準じた場合、約100 検体分の測定が可能です。

参考文献

  1. A. Hiraishi and N.Yoshida, "An Improved Redox Dye-Staining Method Using 5-Cyano-2, 3-Ditoryl Tetrazolium Chloride for Detection of Metabolically Active Bacteria in Activated Sludge", Microbes Environ. , 2004, 19 (1), 61.
  2. A. Kitaguchi, N. Yamaguchi and M. Nasu, "Enumeration of Respiring Pseudomonas spp. in Milk within 6 Hours by Fluorescence In Situ Hybridization Following Formazan Reduction", Appl. Environ. Microbiol ., 2005, 71 (5), 2748.

関連製品

-Bacstain - CFDA solution

CFDA はエステラーゼ活性をにより蛍光を発する色素として、菌染色で広く用いられています。
-Bacstain - CFDA solution はCFDA をDMSO 溶液としていますので、調製の手間無くご使用頂けます。
CFDA はそれ自体では蛍光を持ちませんが、細胞内に存在するエステラーゼにより蛍光性のカルボキシフルオレセインとなります。

CFDA/EB によるS.epidermidis の二重染色
X 軸 : CFDA の蛍光強度
Y 軸 : EB の蛍光強度

-Bacstain - DAPI solution, AO solution

DAPI 及び AO は核酸染色試薬として頻用されます。膜損傷の有・無 に関わらず細胞内に透過し、核酸を染色します。

-Bacstain - PI solution

PI は損傷した膜をもつ細胞にのみ透過し、核酸を染色します。

DAPI/PI によるS. epidermidis の二重染色
赤い蛍光を発しているのが膜損傷菌です。

 

Products Code Maximum Ex/Em(nm) Number of assays
CTC Rapid Staining Kit (for Flow cytometry) BS01 430, 480/630 100
CTC Rapid Staining Kit (for Microscopy) BS02 430, 480/630 100
CFDA solution BS03 493/515 100
DAPI solution BS04 360/460 100
AO solution BS05 420-460/630-650(ssDNA) 100
500/520(dsDNA)
PI solution BS07 530/620 100

これらは福岡県工業技術センター生物食品研究所との共同開発製品です。

BS02: -Bacstain- CTC Rapid Staining Kit (for Microscopy)
Revised Sep., 22, 2023