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試作品
アセチルコリンエステラーゼ特異的基質 MATP+


MATP+

<特長>
  • アセチルコリンエステラーゼに対する高い選択性
  • ブチリルコリンエステラーゼ阻害剤添加は不要
  • DTNBを用いたEllman法によりアセチルコリンエステラーゼ活性を簡便に測定可能

 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解して神経伝達系をコントロールする重要な酵素の一つであり、脳や血中等に存在することが知られています。この酵素は有機リン系およびカルバメート系の農薬や殺虫剤などによって活性が低下することから、これら薬物の暴露指標として用いられています。また、アルツハイマー病では神経障害によってアセチルコリン量が減少するため、AChE阻害剤がアルツハイマー病治療薬として注目されています1)

 現在、AChE活性測定には、基質であるアセチルチオコリンと検出試薬であるDTNBを用いたEllman法が一般的に用いられています2,3)。しかしながら、アセチルチオコリンは、AChE選択性が低く、生体内に存在する非特異的コリンエステラーゼ(ブチリルコリンエステラーゼ;BChE)に対しても反応します。そのため、AChE活性を測定するためにはBChE阻害剤を添加する必要があり、操作が煩雑でした4-6)

 MATP+は、独立行政法人 放射線医学総合研究所(NIRS)によって開発された新規のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)基質です7)

〈測定原理〉

 この基質は、一般的に用いられているアセチルチオコリンに比べ、非常に高いAChE選択性を有しています(Fig.1,2)。そのため、BChE阻害剤を添加することなくAChE活性を選択的かつ簡便に測定することができます。

Fig. 1 MATP+ のAChE 選択性(DTNB 発色)Fig.2 AChE 選択性の比較

 次項に全血および血漿をサンプルとして用いた場合のAChE活性を測定した例を示します。 一般的な基質であるアセチルチオコリンを用いた場合には、全血中だけではなく、AChEをほとんど含まない血漿中でも大きな発色が見られます。 一方、MATP+を用いた場合には、全血中では発色しますが、血漿中でほとんど発色しません(Fig.3)。 血漿中にはBChEが多く含まれていることが知られており、今回の結果はMATP+が血漿中のBChEとは反応せず、AChEと選択的に反応していることを示しています。 また、全血中のAChE活性をリアルタイム測定するため、F.Worekらの手法8) を参照し、436 nm 吸光度の発色速度をモニターしました。 その結果、直線的な436nm吸光度の増加が見られ、ヘモグロビンの影響を受けることなく全血中のAChE活性をリアルタイムに測定できることが確認できました(Fig.4)。

Fig. 3 全血および血漿サンプルを用いたAChE活性測定
Fig. 4 MATP+ を用いた全血中のAChE活性測定

 本試薬は、高いAChE選択性を示すことから、これまで煩雑であったBChE阻害剤の添加や赤血球の単離を行うことなく、簡便に血液中のAChE活性を測定できます。 また、神経組織のAChE活性測定やKarnovsky/Roots法を用いたAChE染色にも有用です。


[測定例1] 血液中のアセチルコリンエステラーゼ (AChE) 活性測定

サンプルの前処理

1) ヘパリン処理した血液を全血サンプルとした。

2) ヘパリン処理した血液40μlを1000xgで10分間4℃にて遠心し、上清を血漿サンプルとした。

測定

1) pH7.4 100mmol/l リン酸バッファー500μlに血液サンプル(全血、血漿)5μlを添加し、100倍希釈液とした

2)操作1)で調製したサンプル溶液200μlにAChE基質(Acetylthiocholine; 200μmol/l, MATP+; 1mmol/l) 100μlおよび2mmol/l DTNB 100μlを添加した。

3) 37℃で10分間静置した後、1000xgで10分間遠心した。

4) 上清200μlを96穴マイクロプレートのウェルに移し、マイクロプレートリーダー(405nmフィルター)で測定した。


[測定例2] 全血中のアセチルコリンエステラーゼ (AChE)活性測定(Kinetics)

1) ヘパリン処理した血液をpH7.4 100mmol/lリン酸バッファーで100倍希釈し、血液サンプルとした。

2) 操作1)で調製した血液サンプル1ml、pH7.4 100 mmol/l リン酸バッファー 1.8ml、10mmol/l DTNB0.1ml および10mmol/l MATP+ 0.1mlをキュベットに添加した。

3) 37℃で436nm吸光度変化を測定した。


参考文献

1) 杉本八郎 日薬理誌, 2004, 124 , 163-170.

2) Vanessa Battissi et al ., Clin. Chim. Acta .,2009, 402 , 114-118.

3) M. Salud Garcia-Ayllon et al ., Hepatology , 2006, 43 , 445-453.

4) Stephen Brimijoin and Pamela Hammond, J. Neurochemistry , 1988, 51 , 1227-1231.

5) Franz Worek et al ., Clin. Chim. Acta , 1999, 288 , 73-90.

6) Ramachandra S. Naik et al ., Chem. Biol. Interact., 2008, 175 , 298-302.

7) T. Kikuchi, T. Okamura, K. Fukushi, and T. Irie, Biol. Pharm. Bull ., 2010, 33 ,702-706.

8) F. Worek et al ., Clin. Chim. Acta ., 1999, 288 , 73-90.

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品名 容量 希望納入価格(¥) メーカーコード
MATP+ 10 mg 20,000 M450

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