新製品 微生物検出キット(比色) Microbial Viability Assay Kit-WST
福岡県工業技術センターとの共同開発により微生物の比色検出キットを開発、10月30日より発売を開始致しました。本製品は、水溶性テトラゾリウムであるWST-8(特許2757348)を発色試薬として用いた微生物の比色検出キットです。
<特長>
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- 寒天培地法や微量液体希釈法に比べ、短時間での検出が可能(Fig. 2-5 , Table 1)。
- マイクロプレートを使った多検体処理が可能。
- 培地成分による影響を受けにくい(Fig. 6)。
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<キット内容>
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500 tests/ 1 kit(96 wellプレート5枚分)
- WST solution 1 ml × 5 tubes
- Electron mediator reagent 0.5 ml × 1 tube
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<本キット以外に必要なもの>
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- マイクロプレートリーダー(測定波長:450〜490 nm)
- 96穴マイクロプレート
- マイクロピペット及びチップ
- 1.5ml チューブ
- インキュベーター
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原理
微生物はエネルギー代謝活動により細胞内にNAD(P)Hを生成します。
WST-8は電子メディエーターを介する事で、このNAD(P)Hにより還元され、水溶性formazan(オレンジ色)を生成します(Fig. 1)。formazanの生成量は微生物のエネルギー代謝活性に比例するため、オレンジ色への呈色を見ることで、その微生物の生存率や活性度合を確認できます。
Fig. 1 発色原理
微生物増殖試験
細菌(E.coli , S.aureus)懸濁培地を10倍希釈系列で96 well マイクロプレートに播種した。
各wellに発色試薬を添加し、37℃でインキュベートしながら一定時間ごとの吸光度(460 nm)をマイクロプレートリーダーにて測定した(Fig. 2, 4)。それぞれの菌体密度においてOD460が0.5に達した時間を求めると、菌体密度とOD460 =0.5到達時間との間に高い直線関係が得られた(Fig. 3, 5)。
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Fig. 2 E.coli の発色曲線 |
Fig. 3 E.coli の菌体密度と発色時間 |
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Fig. 4 S.aureus の発色曲線 |
Fig. 5 S.aureus の菌体密度と発色時間 |
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薬剤感受性試験
各細菌を抗生物質を含むMueller-Hinton培地中で6時間(35℃)インキュベートした後、発色試薬を添加し2時間(35℃)反応させた。各薬剤濃度において、発色が確認されなかった濃度を同キットにおけるMinimum Inhibitory Concentration(MIC)とした。 Microdilution method(日本化学療法学会標準法)では22時間のインキュベーション後に目視でMICを求めるが、本キットを用いた場合、8時間でMicrodilution methodと同等のMIC(μg/ml)を得ることができた。
Table 1 Microbial Viability Assay Kit-WSTとMicrodilution methodでのMIC値の比較
薬剤感受性試験の手順
- 微生物を最適な培地で培養する。
- 培養した菌懸濁液を滅菌生理食塩水で OD550 が約 0.125 (0.5 McFarland相当)となるように希釈し、さらに滅菌生理食塩水で10倍希釈し接種用菌液とする(約107 CFU/ml)。
- 抗生物質などの被検物質をCa及びMgイオン濃度調整済み Muller-Hinton broth を用いて 2 倍希釈系列に調製する。(例えば、64, 32, 16, 8, 4, 2, 1, 0.5, 0.25, 0.12, 0.06 μg/ml)
- 96wellプレートへ抗生物質含有 Muller-Hinton broth 180 μl/wellを分注する。
- 各wellへ接種用菌液10 μlを分注する(約104 CFU/well)。
- 微生物に適した温度で 6 時間インキュベーションする。
- WST solution と Electron mediator reagent を 9 : 1 で混合し、検出試薬とする。
- 6 時間 インキュベーションしたマイクロプレートに、手順 7)で作成した検出試薬を10 μl/well添加し、更に、2時間インキュベーションする。
- マイクロプレートリーダーにて450〜490 nmの吸光度を測定する。
*グラム陽性菌や真菌を検体とされる場合は、Electron mediator reagent を滅菌水もしくはDMSOにて8倍希釈したもので、検出試薬の調製を行って下さい。
*必ずブランクを測定して下さい(菌を含まない抗生物質含有培地)。
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培地成分の影響を受けにくい
微生物の培養には各種培地が使用され、その成分も様々です。よって、これら培地成分による非特異的な発色(還元反応)が起こりにくいという事が検出試薬にとって重要なポイントです。Microbial Viability Assay Kit-WSTで採用しているWST-8は、培地成分による還元を殆ど受けませんので、より比色検出に適したテトラゾリウム化合物です。
Fig. 6 培地成分によるバックグランドへの影響
培地成分を含むPBS(pH 7.0)に検出試薬を加え、37℃にて24時間インキュベートし吸光度を測定した。
〈測定波長〉WST-8 formazan 460 nm
品名 |
容量 |
価格(¥) |
メーカーコード |
Microbial Viability Assay Kit-WST |
500 tests |
20,000 |
M439 |
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