![]() |
トップページ > 18thフォーラム・イン・ドージン開催報告 |
![]() |
||
![]() |
||
![]() |
||
18thフォーラム・イン・ドージン開催報告感染症をめぐる宿主の応答と微生物の戦略さる11月30日、第18回のフォーラム・イン・ドージンが熊本で開催された。このフォーラムは、平成元年に(株)同仁化学研究所が現在の場所(熊本空港近くのテクノリサーチパーク内)に移転し、新社屋の杮落しとして企画されたのが始まりだが、年を重ねるごとに少しづつ発展してきた。熊本という一地方で開催するため遠方の参加者にとっては不便であるが、それはそれで、多少の意味も利点もあると考え、これまで地方での開催にこだわってきた。 今回のテーマは、「感染症をめぐる宿主の応答と微生物の戦略」ということで、計7演題の講演が行われた。もともとの発案は化血研顧問の岩永先生(九州大学名誉教授)であり、先生に紹介いただき、中西 義信 先生(金沢大学)と住本 英樹 先生(九州大学)に当番世話人をお願いした。感染を、微生物側からと宿主側からの両面から理解しようとする試みであり、前半は微生物側の生存戦略、後半は宿主側の応答という内容となった。しかし、これらの“攻撃”と“防御”とは表裏一体であり、しかもその区別は、ヒトにとってという視点を超えれば、かなり曖昧であることが講演を通して強く感じられた。 まず、全体の概要を中西先生が話された後、最初のセッションとして、三重大学(現 鈴鹿医療科学大学)の鎮西氏がマラリア感染症について、感染の各ステージでどのような分子が働くのかについて話され、次に東京大学薬学部の黒川氏が、黄色ブドウ球菌の増殖と病原性に必須の遺伝子の同定について紹介された。帯広畜産大学の嘉糠氏はショウジョウバエを感染症のモデルとしたサルモネラ菌感染の研究を紹介された。これらはいずれも感染症の制圧につながる重要な研究である。 後半は宿主側の応答、つまり自然免疫の仕組みに絞って、釜山大学の Lee 氏は細菌表層のペプチドグリカンや真菌のβ-1,3-グルカンの認識について、九州大学の福井氏はリンパ球におけるDOCK2の機能について最近の研究成果を紹介された。また、自然免疫を担う好中球による殺菌過程について、秋田大学の佐々木氏は好中球遊走におけるフォスファチジルイノシトール 3,4,5-三リン酸の役割について、住本氏はファゴソーム内での殺菌機構について講演された。最後は、金沢大学の白土氏が黄色ブドウ球菌が宿主のTLR2経路を利用してマクロファージによる貪食殺菌を回避する例について話された。 参加者は延80人を超える程度であったが、最後の総合討論でも質の高い議論で盛り上がり、参加者も満足されたのではないかと思う。今後も活発な質疑を行える会として開催を行っていきたい。
今回の要旨集の残部がありますので、ご希望の方は小社・蒲野(かばの)、または、info@dojindo.co.jp までご連絡ください。 (佐々本 一美)
問い合わせ先:熊本県上益城郡益城町田原2025-5 (株)同仁化学研究所内 |
Copyright(c) 1996-2007 DOJINDO LABORATORIES,ALL Rights Reserved. |