お知らせ

九州大学-同仁化学組織対応型連携に関するお知らせ

 九州大学と小社は、九州大学での優れた研究成果を迅速に実用化することを目的に組織対応型(包括的)連携契約を締結しております。下記の技術に関して現在実用化を検討しております。これらにご興味がございましたら小社までお問い合わせ下さい。

No.001 タンパク質蛍光標識技術

 九州大学の宗らは、場感受性の蛍光基であるダンシル基をNi-NTA錯体に結合した新規キレート錯体化合物が、ヒスチジンタグの近傍に疎水的なトリプトファンを複数個有するペプチドタグ(His6-Trpn)と結合することで、蛍光強度の増大と最大蛍光波長のブルーシフトを示すことを見出した。これは、タンパク質を効率的に蛍光標識するための全く新しい技術であり、細胞内のタンパク質の動態研究等に有用であると期待される。
タンパク質を蛍光標識するしくみ

・N. Soh, D. Seto, K. Nakano and T. Imato, Mol. BioSyst., 2006, 2, 128-131.

No.002 過酸化脂質計測用蛍光試薬

 九州大学の宗らは、新規の過酸化脂質蛍光検出試薬としてspy-HP(swallow-tailed perylene derivative for hydroperoxide)を開発した。spy-HPはトリフェニルホスフィンに蛍光基であるペリレン類を連結した構造であり、また脂質への親和性を向上するためアルキル鎖を有している。spy-HPに脂溶性過酸化物であるm-chloroperoxybenzoic acid(MCPBA)を添加すると、ホスフィンオキシド体の形成に伴い蛍光が大きく増強することが確認された。本化合物の蛍光波長は十分に長く(λex = 524 nm, λem = 535 nm in methanol)、DPPPのような短波長励起が必要な従来の過酸化脂質計測用蛍光試薬で問題となる生体試料由来の自家蛍光の影響や生細胞へのダメージを大きく軽減できる。また本化合物の反応体(ホスフィンオキシド体)の蛍光量子収率は極めて高くなっている( 〜1 in methanol)。このように本試薬は、過酸化脂質計測用蛍光試薬として非常に優れた特徴を有している。

過酸化脂質計測用蛍光試薬の構造式

・N. Soh, T. Ariyoshi, T. Fukaminato, K. Nakano, M. Irie, T. Imato, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2006, 16(11), 2943-6