Q1 カルシウム蛍光プローブには幾つも種類がありますが、どのように使い分けるのですか?
A1 測定機器や測定波長などで選ばれることが多いようです。
製品名の後ろに[-AM]が付いているものは細胞膜透過型になります。
それぞれの試薬の特性は
【Fluo 4】
・1波長励起1波長蛍光
励起:λ ex=495 nm、蛍光:λ em=518 nm
・解離定数:360 nmol/l
・励起波長が長波長側にあるので細胞に与える傷害が少ない
(NADH,NADPH等の自家蛍光の影響が少ない)
・Arレーザー(488 nm)で励起出来る。
・Fluo 3よりも励起波長がArレーザーに近いためにFluo 3の2倍の蛍光強度が得られる。
【Fluo 3】
・1波長励起1波長蛍光
励起:λ ex=508 nm、蛍光:λ em=527 nm
・解離定数:400 nmol/l
・励起波長が長波長側にあるので細胞に与える傷害が少ない
(NADH,NADPH等の自家蛍光の影響が少ない)
・Arレーザーで励起出来る。
【Fura 2】
・2波長励起1波長蛍光
励起(λ ex,ca= 340 nm, λ ex,free= 380 nm)、蛍光:λem =510 nm
・解離定数:224 nmol/l
・Ca有無により励起波長がシフトするためratiometryが可能。
・ratiometryにより、プローブ濃度などの影響を避けられる。
【Indo 1】
・1波長励起2波長蛍光
励起:λ ex= 330 nm、蛍光(λ em= Ca:410 nm, Ca free:485 nm)
・解離定数:250 nmol/l
・励起波長の切替えの必要がないので、非常に早い速度のCa濃度変化や心筋細胞のような動きの試料も測定できる(但し、検出器は2台必要)。
【Rhod 2】
・1波長励起1波長蛍光
励起:λ ex=553 nm、蛍光:λ em=576 nm
・解離定数:1.0μmol/l
・励起波長が長波長側にあるので細胞に与える傷害が少ない
(NADH,NADPH等の自家蛍光の影響が出ない)。
・He-Neレーザー(543nm)で励起出来る。
【Quin 2】
・1波長励起1波長蛍光
励起:λ ex=339 nm、蛍光:λ em=492 nm
・解離定数:110 nmol/l
・一番最初に開発されたプローブ。
Q2 Caプローブが細胞に取り込まれているか確認をしたいのですが、どのような方法がありますか?
A2 細胞外液をCa過剰の状態にしておき、イオノマイシンを添加して下さい。Caの流入による蛍光の増加がみられます。その後、過剰のEGTAを添加することで蛍光の消光を確認することが出来ます。
Q3 カタログのプロトコル中に、Hank,s-HEPES bufferを使うように書かれています。Hank,s solutionまたはHEPES bufferのどちらかではいけないのでしょうか?
A3 必ずしも「Hank,s-HEPES buffer」である必要はありません。
実験の目的に応じたbufferをご使用ください。
Hank,s solutionは細胞の酵素活性を維持したいときに使用される塩類溶液です。HEPES bufferは緩衝域が6.8〜8.2と生化学的に適しており、細胞毒性もほとんどない緩衝剤です。
両者の特長を兼ねたHank,s-HEPES bufferは『生理的塩濃度をもつ緩衝剤』としてカルシウム研究に広く使用されております。
多くの論文で使用され実績があるためプロトコルに引用しています。
Q4 レコーディングメディウム中にCaがある場合、この溶液中のCaは細胞への導入や測定に影響しませんか?
A4 Fura 2-AM,Fluo 3-AMといったAM体はCaと反応しませんので、導入時に特に影響はありません。
測定の際もプローブを細胞にロード後に、細胞外液を洗浄・交換すればバックグランドの上昇は抑えられます。
Q5 Fluo 3-AMなどのCaプローブが細胞内に入りにくい場合、どうすればよいでしょうか?
A5 Pluronic F-127、Cremophor ELといった界面活性剤を使用することにより、改善されることがあります。
Q6 Calcium Kit - Fluo 3に入っているProbenecidはどのような働きをするのでしょうか?
A6 Probenecidは陰イオントランスポーター阻害剤といわれるもので、細胞内に取り込まれたFluo 3が細胞外に漏れ出すのを防ぐ役割をします。色素の漏れが早い細胞でご使用いただくと効果的です。必ずしも必要な薬剤ではありませんので、余分なものを添加したくない場合、また、陰イオントランスポーターを研究対象とする場合等には使用しないで下さい。
Q7 Fluo 3でCa濃度を測定することは出来ますか?
A7 理論的には濃度測定は可能です。
しかし、現実的には細胞からのプローブの漏れや試料の厚みなどによる強度差があり、絶対的な濃度の測定は難しい状況です。
濃度を算出したい場合には、Fura 2やIndo 1といったratiometryが可能なプローブをご使用いただく方が良いと考えます。
Q8 フローサイトメトリーで測定したいと思いますが、どの試薬が使用できますか?
A8 Fluo 3-AM,Fluo 4-AM(Ar-レーザー励起, 488 nm)やIndo 1(UVレーザー, 365 nm)といったものが使用できます。
Q9 Fluo 4-AM、Fura 2-AMといった細胞膜透過型の試薬をbufferに溶かすことは出来ますか?出来ない場合、どのように溶解すればよいのでしょうか?
A9 AM体の試薬は、bufferに直接溶解できません。
DMSOに一旦溶解後、そのDMSO溶液をbufferに添加してください。
また、AM体はbufferなどの水溶液中では加水分解をしますので、bufferに溶解後は直ちにご使用ください。
Q10 Fluo 3-AMとFluo 4-AM
A10 基本的な性質(Kd値など)は非常に似ているのですが、
Fluo 4 は 極大励起波長がFluo 3よりも短波長側にシフトしていることにより、Arレーザー(488nm)で励起した際に、Fluo 3の約2倍の蛍光強度を示します。
同じ濃度で使用した場合、Fluo 4の方が強い蛍光強度や明るい蛍光画像を得ることが出来ます。
*カタログ、ホームページにもプロトコルがございますので、こちらもご覧下さい。
( http://www.dojindo.co.jp/catalog/protocol/p15.pdf )
品名 | 容量 | 本体価格(¥) | コード | メーカーコード |
Fluo 4-AM | 1 mg | 39,000 | − | F311 |
Fluo 4-AM special packaging | 50 μg×8 | 29,000 | − | F312 |
Fluo 3 | 1 mg | 25,000 | 345-05721 | F019 |
Fluo 3-AM | 1 mg | 33,400 | − | F023 |
Fluo 3-AM special packaging | 50 μg×8 | 23,800 | 349-06961 | F026 |
Fura 2 | 1 mg | 24,200 | 347-05421 | F014 |
Fura 2-AM | 1 mg | 28,800 | − | F015 |
Fura 2-AM special packaging | 50 μg×8 | 18,200 | 348-05831 | F025 |
Fura 2-AM solution | 1 ml | 38,800 | 343-05401 | F016 |
Indo 1 | 1 mg | 21,000 | 348-05571 | I004 |
Indo 1-AM solution | 1 ml | 34,000 | 348-05571 | I006 |
Quin 2 | 100 mg | 15,000 | 344-04711 | Q001 |
Rhod 2 | 1 mg | 28,000 | 344-05811 | R001 |
Rhod 2-AM | 1 mg | 45,000 | 341-05821 | R002 |
Calcium Kit-Fluo 3 | 2000 assay | 65,000 | − | CS21 |