Q1 IgG以外のタンパク質にも標識することはできますか?
A1 分子量50,000以上のNH2 基をもつタンパク質であれば標識できます。低分子はチューブの膜を通過するため標識できません。
Q2 使用できるIgGが少量しかないのですが、標識できるでしょうか?
A2 使用できるIgGの量は50〜200 μgとしています。この範囲であれば性能に大きな違いはみられません。
10 μgのIgGでも標識可能ですが、バックグラウンドの上昇などの問題が生じる可能性があります。
Q3 サンプルは溶液になっていても問題ないでしょうか?
A3 問題ありません。
ただし、チューブ上で遠心や反応溶液の添加を行いますので、サンプル溶液の容量は100 μl以下にしてください。また、サンプル(IgGなど)の濃度が50 μg/100 μl以下である場合は、Filtrationを繰り返してタンパク量が50〜200 μg/100 μlとなるように濃縮します。溶液をFiltration tubeに入れて遠心して溶液を除く操作を数回行ってください。
フィルター上に残っているサンプル量が50〜200 μgとなればよいので、改めて溶解させる必要はありません。
Q4 サンプル溶液中の共存物は反応に影響しますか?
A4 共存物の種類により影響することがあります。
溶液中にどのような物質が含まれるかを確認の上、状況に応じてラベル化に用いるタンパク質の精製を行い、標識反応にご使用ください。
<高分子:分子量1万以上>
影響する可能性があります。
BSAやゼラチンなど高分子でアミノ基をもつ化合物は、Fil tration Tubeでも除くことができません。そのため標識され、蛍光性不純物として影響します。反応に使用する前に別途除去操作を行ってください。
一方、アミノ基を持たない化合物でも、高分子の不純物が多いとフィルターの目詰まりの原因になり、標識・精製操作に支障がでる可能性もあります。
*Fluorescein Labeling Kit-NH2 に限らず他のLabeling Kit に関しても同様の注意が必要です。
Q5 添付の保存バッファーでなくとも標識体の保存はできますか?
A5 可能です。
実験系の条件にあったバッファーに溶解し保存してください。ただし、標識後の安定性に関しては小社安定性データをそのまま利用することはできませんので別途、安定性をご確認下さい。
Q6 キット自体を冷凍保存してもよいですか?
A6 キットをそのまま冷凍保存しないでください。
NH2-Reactive Fluoresceinのみを冷凍して、他は冷蔵してください。
冷凍保存すると性能に影響する部品があります。
例えば、Filtration Tubeは、凍結するとメンブランにクラックや割れが生じて、濾過能力に影響します。
また、バッファーも冷凍することにより、緩衝能に影響する可能性があります。一度凍結されるとキットの性能を保証できなくなりますので、ご注意ください。
Q7 NH2-Reactive FluoresceinはDMSOに溶解後、保存できますか?
A7 長期の保存はできません。反応直前に溶解し、すぐに使用してください。
DMSOに含まれる水分によりNH2 -Reactive Fluoresceinが徐々に加水分解され、標識率が低下する可能性があります。
Q8 プロトコルの操作方法で、IgGにはいくつ蛍光基が導入されますか?
A8 IgG 1分子に対し、Fluoresceinが4〜7個 導入されます。
Q9 プロトコールの操作で未反応の色素は除去できますか?
A9 NH2-Reactive Fluoresceinは低分子であるため、Filtration tubeでほとんど除くことができます。
ただ一部の未反応や分解したFluoresceinが若干残ることがあります。除きたい場合には、さらに2回ほど洗浄してください。ただし組織染色などで使う場合は、壊れた色素による吸着などの問題はないと考えられます。
Q10 それぞれのモル吸光係数から標識率を算出する時に [0.22]がかけてありますが、この数値は何でしょうか?
A10 Fluoresceinの標識率の式は下記の通りです。
60,000は500 nmでのFluoresceinのモル吸光係数で、右辺の分子はFluoresceinのモル数になります。
Fluorescein は280 nmと500 nmに吸収があり、280 nm/500 nmの比が[0.22]です。280 nmの吸光度は「タンパク質の吸光度+Fluoresceinの吸光度」となっていますので、 500 nmの吸光度に0.22を掛けたもの引くことにより、タンパク質のみの吸光度が求められます。この吸光度をモル吸光係数で割ることで、分母はタンパク質のモル数となり、タンパク質1分子あたりに導入されたFluoresceinの個数として算出されます。
Dojindo Labeling Kitsは活性化試薬とFiltration tubeにより、抗体等を簡単に標識するためのキットです。
標識方法としてはアミノ基標識用のNH 2タイプとスルフヒドリル基標識用のSHタイプの2種類のキットがあります。NH 2タイプはN-hydroxy succinimide (NHS)で活性化した試薬を用いており、タンパク質等のNH 2基に標識することが出来ます。SHタイプはmaleimide基で活性化しており、還元抗体などSH基を有 するサンプルへ標識することができます。
前処理-反応-精製まで全て一つのFiltration tube上で行うことができ、3時間以内に標識体が得られます。1回の標識操作で50 〜200 mgのサンプルを処理することができます。Filtration tubeを用いた精製はゲルろ過や透析などに比べ標識体の回収率が高く、 貴重なサンプルの標識に適しています。キットには保存溶液が付 属しており、標識体を安定に保存することができます。また、得 られた標識体は、免疫組織染色、ELISA、ウエスタンブロッドな どの様々な用途に利用することができます。Peroxidase、Alkaline Phosphatase、ビオチン、蛍光など各種キットをシリーズで取り 揃えておりますので、ご利用ください。
<免疫組織染色例>
Fluorescein Labeling Kit-NH2を用いてマクロファージに発現するレセプターに対する抗体を標識し、マウス肺を染色した。レセ プター発現部位が特異的にFluoresceinによって染色された。
(画像提供:熊本大学医学部細胞病理学講座 寺崎泰弘先生)
Fig. マウス肺の組織染色画像
a)マクロファージに発現するレセプターの抗体をFluorescein Labeling Kit-NH2で標識した標識抗体で染色
b)マクロファージのマーカーで染色
c)核染色
d)多重染色画像
品名 | 容量 | 本体価格(¥) | メーカーコード |
Peroxidase Labeling Kit - NH2 | 3 samples | 17,000 | LK11 |
Peroxidase Labeling Kit - SH | 3 samples | 17,000 | LK09 |
Alkaline Phosphatase Labeling Kit - NH2 | 3 samples | 21,000 | LK12 |
Alkaline Phosphatase Labeling Kit - SH | 3 samples | 21,000 | LK13 |
Biotin Labeling Kit - NH2 | 3 samples | 12,000 | LK03 |
Biotin Labeling Kit - SH | 3 samples | 12,000 | LK10 |
Fluorescein Labeling Kit - NH2 | 3 samples | 21,000 | LK01 |