蛍光タンパク標識キットは抗体などの高分子に Allophycocyanin(APC)、B-Phycoerythrin(B-PE)またはR- Phycoerythrin(R-PE)の蛍光タンパク(Phycobiliprotein)を標識するためのキットで、それぞれNH2タイプ、SHタイプの2種類があります。NH2タイプはその構造内に活性エステル基を有しているためアミノ基を有する標的分子と、SHタイプはその構造内にマレイミド基を有しているためスルフヒドリル基を有する標的分子と、それぞれ混合するだけで安定な共有結合を形成します。標的タンパク質がスルフヒドリル基をもっていない場合には付属の還元剤を用いて遊離SH基を調製することが可能です(ただしS- S結合の切断によってタンパク質の活性が失われる場合があります)。 蛍光タンパクがフルオレセインなどの低分子の蛍光色素に比べて優れている点として、下記のことが挙げられます。 ・ 蛍光タンパク1分子あたり、APCでクロモフォアを6個、B-PE とR-PEは30個含んでいるので、1分子あたりの蛍光強度が高い。 ・ 励起スペクトルの幅が広いため、種々の波長で励起できる。 APCはHe-Neレーザーの633 nm、またはKrイオンレーザーの647 nmに適しており、660 nm付近で赤色の蛍光を発する。FITCやR-PEと異なり、Arレーザーでは励起されない。 R-PEはArレーザーの488 nmやキセノンランプあるいは水銀アークのようなブロードな光源では適当な蛍光フィルターを用いて励起され、570 nm以上でオレンジ色の蛍光を発する。 特にFITCとR-PEの二重標識の組み合わせでは、両者とも488 nmで励起されるがFITCは530 nm付近に緑色、R-PEは570 nm以上でオレンジ色の蛍光を発する。 ・ 他のタンパク質と結合しても、蛍光色素の特性が変化しない。 本キットは、簡便な操作性、高い回収率、高い再現性などの特長を持っています。短時間で蛍光標識タンパク質を得ることができ、得られた標識体はそのまま免疫組織染色、FACSなどの様々な用途に利用することができます。本キットには標識に必要なすべての試薬と作製した蛍光タンパク標識体を保存するための溶液が含まれています。標識対象物には、分子量50,000以上のサンプルをご使用ください。
|
![]() Fig. 1 蛍光タンパク標識キットNH2タイプの標識反応 |
![]() Fig. 2 蛍光タンパク標識キットSHタイプの標識反応 |
品名 | 標識体の最大吸収波長 | 標識体の最大蛍光波長 |
Allophycocyanin Labeling Kit - NH2, -SH | 650 nm | 660 nm |
B-Phycoerythrin Labeling Kit - NH2, -SH | 546 nm | 575 nm |
R-Phycoerythrin Labeling Kit - NH2, -SH | 566 nm | 578 nm |
<本キット以外に必要なもの>
・ 10 ml, 200 ml, 1000 ml マイクロピペッター ・インキュベーター(37℃)
・ 0.5 ml チューブ ・遠心機(マイクロチューブ用)
<特長>
● 約2.5時間で標識体が調製できる。
● Filtration Tubeを用いた分離操作により高い回収率で標識体が得られる。
● 付属の保存溶液で標識体の長期保存ができる。
● 50〜200 μgのタンパクの標識が可能。
<キット内容>
・NH2- Reactive Phycobiliprotein※ ・Reaction Buffer ・WS Buffer ・Filtration Tube
※Phycobiliprotein :AllophycocyaninまたはB-Phycoerythrin
またはR-Phycoerythrin
|
<特長>
● 約2.5時間で標識体が調製できる。
● Filtration Tubeを用いた分離操作により高い回収率で標識体が得られる。
● 付属の保存溶液で標識体の長期保存ができる。
● 50〜200 μgのタンパクの標識が可能。
<キット内容>
・SH- Reactive Phycobiliprotein※ ・Reducing Agent
・RA Solution ・Reaction Buffer ・WS Buffer ・Filtration Tube
※Phycobiliprotein:AllophycocyaninまたはB-Phycoerythrin
またはR-Phycoerythrin
|