金ナノ粒子の調製とそれを利用したバイオセンシング

Preparation of Gold Nanoparticles and Their Applications for Biosensing

顔写真

三浦 佳子
(Yoshiko Miura)
名古屋大学大学院工学研究科

顔写真

米澤  徹
(Tetsu Yonezawa)
東京大学大学院理学系研究科

 

[ Summary ]

 Metal nanoparticles exhibit size-dependent optical, electronic, magnetic and catalytic properties, which are of great potential for engineering new materials and sensors. Prospective applications for nanoparticles in small-sized electronic devices, such as single electron transistors as well as in biosensing and bioimaging. Especially, for biosensing and bioimaging applications, gold and silver nanoparticles, which are covalently linked to biomolecules, such as peptides, nucleic acids, and proteins, have been intensively investigated according to their high absorption coefficients at the absorption peak maximum, that is, at ca. 520 nm and ca. 420 nm, respectively. In addition, biosensing using gold nanoparticles can be a cost-effective and easy to use for sintering electron microscopic samples, thanks to their easy preparation and high contrast against electron beams.

 In this paper, we would like to concentrate on gold nanoparticles, which can be more stable than silver nanoparticles, because of the stability against oxidation of gold nanoparticles and of stronger bonding formation between Au-S on the particle surface. Some preparative techniques of gold nanoparticles with different sizes and promising biosensing methods with gold nanoparticles will be surveyed.

キーワード:ナノ粒子、金、センシング、染色、プラズモン共鳴、電子顕微鏡

 

1. はじめに

 ナノ粒子が近年のナノテクノロジーブームにのって、材料とし て研究が広く展開されるようになって久しい1,2) 。ナノ粒子にも、その材料、目的によって様々な種類のものがあり、光学材料、磁 性材料、導電材料としての応用展開が検討されてきている 3)。特に、可視光の波長程度の粒子径を持つナノ粒子はそれ自体が無色 であっても、規則的に集積させることによって、特定の波長のみ の光を遮断するフォトニック結晶としての利用が考えられており、 可視光の回折による構造色を発現することができる 4)。また、蛍光材料として、最近はCdS、CdSeなどの半導体粒子にも注目が集 まっており、量子ドットを用いたバイオセンシング材料として大 いにもてはやされている5)。また、磁性粒子として知られる酸化鉄 は、磁場をかけることによってガン温熱療法に用いられる検討が なされている6)

 一方、ナノ粒子のうち特に金は染色材料として、教会で古くか ら使われているステンドグラス、日本では江戸切子などの鮮やか な赤色を出すための材料として使用されてきている。最近では、塗 料向け無機顔料や陶器のための着色剤としても利用が始まってき ている。こうした金ナノ粒子の広い意味でのバイオセンシングに 対する応用展開は、透過型電子顕微鏡のための生体染色剤から始 まり、長い間利用され、さらには家庭内で用いられるキットとし ての応用にまで広く展開されてきた。これは、金の高い発色性や 低いと考えられている毒性によるところも大きい。そして、透過 型電子顕微鏡での染色のために様々な大きさのナノ粒子の製造法 が開発されてきた7)

 本小文では、金属、半導体、酸化物など様々な種類があるナノ 粒子の中でも金ナノ粒子に焦点をあて、その調製法とバイオセン シングへの実際の応用展開について展望してみたい。

2.金ナノ粒子の調製法−概要

 金ナノ粒子は最も古くから研究されてきているナノ粒子であり、 様々な製法が知られている。その鮮やかなワインレッドの色彩は、 ステンドグラスなどに使用されている。こうした金ナノ粒子はガ ラス内に存在するイオンが焼結の際に還元されて生じるものであ る。一方、最近では、陶器の無鉛赤色絵具や無機塗料顔料として も利用されてきている。これらは、液相でナノ粒子を調製し分散 液として得て使用するものである。1600年ごろの記述に、塩化金 を植物由来のアルコールで還元したとの記述もあると聞くが、こ うした液相法での金ナノ粒子調製の科学的研究は1857年、イギリ スの有名な化学者であるFaradayによって検討されたものが最初 である8,9)。Faradayは、得られた金ナノ粒子分散液が電解質の添 加によって不安定になることを見出し、高分子を添加して安定化 した。彼の金ナノ粒子分散液は現在でもロンドンで見ることがで きる。調製法を変えることによってその粒子径を変えることがで き、色を変化させることも可能である。ナノ粒子の色は、プラズ モン共鳴によるものであり、Mie理論によって検討されているが、 一般的には粒子径が大きくなると吸収極大は長波長にシフトする と考えられている10)

 水に分散する金ナノ粒子の調製法として最も利用されているも のが、クエン酸やアスコルビン酸を還元剤として用いているもの

である11-12)。1973年、Frensはクエン酸を利用した還元によっ て、粒子径を制御し、なおかつ均一なナノ粒子を作ることを提案 した。この報告は、ナノ粒子の材料応用への最初の大きなステッ プとなったといえる11)。決して濃度を高くはできないが、他の保 護剤を導入せずともナノ粒子を分散させられる利点を有している。 一般的には、これらのナノ粒子は、その表面にクエン酸が吸着し、 アニオン性を帯びていると理解されている(図1)。粒子径は約20 nmのものが調製しやすく、この程度の粒子径を持った金ナノ粒子 は非常に鮮やかな赤色を示し、その吸収係数も比較的大きい。ア スコルビン酸による還元は、Stathisらによって報告されている 12)。還元剤としては、この他に、水素、ホルムアルデヒド、エタノー ル、タンニン酸、ジボラン、水素化ホウ素塩などが用いられ、ま た、超音波、光照射、γ線照射などのエネルギー照射による還元 事例も報告されている。

 細胞ラベルを考えたとき、小さなナノ粒子を用いるほど、感度 と分解能が向上するといっていい。しかし、あまり小さいものは、 電子線の散乱能も小さく、プラズモン吸収も示さないので、電子 顕微鏡観察にも光学的観察にも不向きであると言える。また、粒 子径がそろっていれば、粒子径の違いによる多重染色が可能であ るので、比較的大きな粒子で単一粒子径のものを得る方法はきわ めて重要である。そこで、生体系への応用の観点からよく利用さ れるいくつかのナノ粒子の製法に関して、次の節で述べることに する。

3.粒子径をそろえた金ナノ粒子

3.1 ウンデカゴールド

 ウンデカゴールドは文字通りAu 11クラスターのことを意味する。11個の金原子からなるクラスターがトリアリルフォスフィン とアニオン性リガンドに包埋されている。すでにさまざまにラベ ルされたものが市販されているが、このような小さなナノ粒子を 作ることは難しい。また、ウンデカゴールドはやや黄色い色を示 す。粒子径は1 nmを切り、約8.2Åである。1分子修飾のウンデカゴールドも市販されており、生体系の修飾剤としては非常に良 く利用される金クラスターである。 3.2 グルタチオン

 グルタチオン(GSH)とは、グルタミン酸、システイン、グリシ ン(いずれもアミノ酸)から成るトリペプチドで非タンパク質性の チオール成分として細胞内に大量に存在する。グルタチオンはシ ステインが真ん中にあり、チオール基に対して、非常に剛直でバ ルキーな部位がついていると考えられ、実際、グルタチオンの存 在下、次節のように、塩化金酸溶液に水素化ホウ素ナトリウムを 添加することで単分散で高分散の金ナノ粒子をえることができる 13)。さらに、チオール分子はそれ自体がジスルフィドになる酸化反応 を用いて金イオンを還元することができるため、塩化金酸に対し て、グルタチオンを大過剰に加えることによって、特別に還元剤 を加えることなく、グルタチオンによって保護された金ナノ粒子 を合成することが出来る。このとき、GPCカラムを利用すること によってナノ粒子をその大きさで分画することができる 14)

3.3 水素化ホウ素ナトリウム還元−チオール保護

 チオールを保護剤として事前に添加し、塩化金酸溶液を水素化 ホウ素ナトリウムを滴下することで容易に2〜3 nm程度の粒子径を持つ金ナノ粒子を調製することができる。1994年にBrustら が報告してから15,16)、その容易性、高い再現性、安定性によって 広く用いられる方法である。有機溶媒に分散したナノ粒子を得る には、あらかじめ相転移触媒によって塩化金酸を有機相に移して から還元を行う。チオールを保護剤としてナノ粒子を調製すると きには、その粒子径は、チオール/金比と、チオールの分子構造 によって制御されることが知られている17,18) 。チオール/金比が大きくなるほど、得られるナノ粒子の粒子径は小さくなり 17)、チオール部に対して分子がバルキーになるほどやはり粒子径は小さ くなる18)。そのことは、図2にしめすように、チオール部に対し てバルキーになれば、チオール−金の相互作用力は同じで非常に 強いので、ナノ粒子が小さくなる必要があると考えられる。

3.4 リンを用いた還元

 塩化金酸水溶液を激しく攪拌しているところにリンエーテル溶 液を導入することによって、常温で金ナノ粒子を調製することが 出来る。pH調整剤として炭酸カリウムを添加する。数分で塩化金 酸の黄色から暗い赤色に変化して、ナノ粒子の合成ができている ことが分かる。また、ナノ粒子溶液を加熱することでナノ粒子は 成長するほか、さらに塩化金酸とリン溶液を添加することで、ナ ノ粒子を太らせることができる19)

3.5 タンニン酸による還元

 3.6に述べるクエン酸がナノ粒子調製のための金属イオン還元 剤として有名であるが、クエン酸にタンニン酸を加えることで、還 元速度を速めることができる。クエン酸(1ナトリウム)とタンニ ン酸の混合水溶液を、加熱還流してある塩化金酸溶液に一気に投 入する。投入速度が粒子径に影響することもあるので注意が必要 である。このとき、タンニン酸が還元の役割を担い、クエン酸が 分散剤として働いていると考えることが多い。

3.6 クエン酸による還元

 Frensによって開発された方法で 11)、10 nmを超える金ナノ粒子を単一粒径で供給できるため、広く応用されている。還元剤と してはクエン酸3ナトリウムを用い、塩化金酸の沸騰水溶液に添 加する。大きなナノ粒子を生じさせるには、塩化金酸濃度の増大 や全体の溶液量の増大を行う。沸騰した塩化金酸水溶液に水溶性 チオールとクエン酸を同時に添加しても金ナノ粒子を得ることが できる。このとき、チオール/金イオンの量比が粒子径に大きく 影響する20)。但し、チオールを先に添加したときには、金イオン とチオールとの相互作用によりクエン酸では還元できない。

 同様にアスコルビン酸(ビタミンC)によって塩化金酸を還元 し、金ナノ粒子を得ることも可能である12)

3.7 エタノールによる還元

 アルコールがアルデヒドになる酸化反応は、金イオンの還元に 利用することができる。pH調整剤として炭酸カリウムを含む塩化 金酸水溶液にエタノールを添加し、超音波照射することで、金ナ ノ粒子を得られる。また、こうした溶液を適切な水溶性高分子の 存在下、リフラックスすることで、金ナノ粒子を容易に再現性よ く得ることができる21)

4.金ナノ粒子を利用した生体の染色

 金ナノ粒子の生体への最もシンプルな応用は、金のプラズモン 共鳴による強い発色性を用いた生体や組織の染色である 22)。生体染色は、生体組織や分子の生体内分布を調べるのに最も頻繁に用 いられる方法の一つである。染色によって生体の実態を明らかに することは、生体組織の基本的な情報だけでなく、遺伝子の発現、 酵素の働きを知る貴重な手段である。色素、蛍光、放射線ラベル など各種の方法が試みられているが、コントラストと特異性の高 い生体染色の開発に向けて、絶えず努力が続けられている。金ナ ノ粒子は、金の分子安定性が金属としては高く、生体に対する毒 性も低いと思われ(詳細は後述する)、ナノ粒子がナノレベルであ ることから生体親和性を確保しやすかったことから、金ナノ粒子 の応用として早くから試みられてきた。

 もちろん、蛍光標識などでも、抗体と結合させて、様々な分子 を修飾することが可能であるが、蛍光の一部を修飾することに よって、光学的な性質に影響を与えることもしばしばであるので、 新規な蛍光分子の設計には注意が必要である。一方、金ナノ粒子 ではその光学特性は金属のプラズモンに基づいているので、退色 が少なく、種々の抗体の修飾に耐えることができ汎用性が高い。 また、金ナノ粒子が貴金属であることから、光特性を生かして、光 学顕微鏡で観察することができる上、透過型や走査型の電子顕微 鏡など種々の電子顕微鏡でも、高いコントラストを持つため容易 に観察可能である23)。また、有機化学的な染色剤ではないので、酵 素活性(特にHRP活性)がないことから、酵素抗体法と併用する ことも可能で、複雑な生体を重ねて染色する際にも有用である。 現在は、抗体結合金ナノ粒子が大量に市販されており、金に銀が 接着することを利用し、増感するキットも販売されている。抗体 結合金ナノ粒子を利用した生体染色法はもはや定番となったと いってもいい。例えば図3のような生体染色写真を得ることがで きる。特に金ナノ粒子部分はコントラストが強く、簡単に確認す ることができる。

 生体染色剤として金ナノ粒子を利用する際には、金独特の発色 性を用いているが、これをより高度に利用することも可能である。 楠見らは様々な生体分子のバイオイメージングについて報告して いるが24)、その観察の際にも金ナノ粒子の強い発色性やプラズモ ン現象は利用価値が高い(図4)。蛍光分子や金ナノ粒子で標識し た抗体を用いて、生体膜上の分子をラベルすると、その分子の in-situでの動きを観察することができる。蛍光分子(GFPなど)で はその観察時間は10秒以下で、その後著しく退色してしまうのに 対して、金ナノ粒子は20分近く観察することが可能であり、生体 の動きをリアルに追跡するのに適している。例えば、GPIアンカー である、CD59を標識して、NRK細胞を観察したところ、動きが 一時的に分子の拡散運動が一時的に拘束されることを見出した 25)。このことはGPIアンカー部分が集合したラフトドメインを形成し て、シグナル伝達を起こしていることを示している。また、リン

脂質の分布についても膜骨格に沿って分布していることがわかっ た。このように金ナノ粒子を用いることによって、動的な生体の 性質を詳細に明らかにすることが可能となっている。

 また、金ナノ粒子は発色団として用いることもできるが、強い 吸光性も有している。楠見らは前述の実験を発展させて、集光性 を利用した膜タンパク質の光ピンセットの開発も報告している 24)。金ナノ粒子にレーザーをあてると、金ナノ粒子の集光性から光の 間には相互作用が働く。このレーザーをずらすとその相互作用に 伴って、膜タンパク質を牽引することができるのである。この原 理から、膜分子をピンセットのように用いて動かすことができ、光 ピンセットと呼ばれている。抗体で染色した金ナノ粒子で膜物質 を可視化することができるが、その膜物質を光ピンセットで動か すことによって、膜物質の性質や生体膜の流動性、ドメインなど を詳細に調べることが可能である27)。線維芽細胞のCD44を金ナ ノ粒子で標識化して、細胞膜上を牽引した。その結果、細胞膜上 には膜タンパク質の拡散係数の違い、粘弾性の違いが存在するこ とをin-situ測定より明らかにすることができた。更に、膜物質で 細胞膜上を走査したところ、膜上の流動性の違いを可視化するこ とができ、アクチン骨格を描くことができた。

 このように金ナノ粒子は今までの蛍光分子にはない強い発色性 を備えているが、金ナノ粒子と抗体を単に結合しただけでは金ナ ノ粒子の疎水性が高く、タンパク質の変性を招きやすい。また、金 ナノ粒子に対するタンパク質の非特異吸着も考えられる。更に金 ナノ粒子がむき出しの状態であれば、粒子同士の凝集をきたしや すいので、単純な生体染色以外(一分子標識、イムノセンシング) の用途に対しては難点が出てくる。そこで、材料化学サイドでは よりよい金ナノ粒子の調製方法やコート分子の開発が注視されて いる。

 コンタクトレンズ、人工臓器など、どのような生体材料をとっ ても生体適合性が高く、タンパク質などの非特異吸着が少ない、表 面の需要は高い。このような性質を持つ表面で注目を浴びている のは、ポリエチレングリコール修飾表面で、親水性が高いが、タ ンパク質の非特異吸着性が少ないことから優れた表面修飾法とし

て知られている28)。ポリエチレングリコールを用いて、金ナノ粒 子を不活性化することもできるが、エチレングリコール鎖はオリ ゴマーレベルの長さがあればタンパク質の非特異吸着を防ぐこと ができる(図5)。トリエチレングリコールチオールで修飾した金 ナノ粒子溶液にリゾチームを加えても非特異的な金ナノ粒子の凝 集は観察されなかった29)。このような不活性な表面の一部を官能 基で置換すれば、金ナノ粒子の生体親和性は特異的なものになり、 バイオセンシングする上で有用である。また、反応性官能基を導 入したポリエチレングリコールを用いた例も報告されている 30)

 また、金ナノ粒子を生体親和性の高い分子で被覆することで細 胞や菌体に積極的に取り込ませることもできる。カチオンで表面 を修飾した金ナノ粒子は細胞膜との親和性とナノ粒子の生体浸透 性のため、細胞に積極的に取り込まれる。さらにカチオン性の粒 子がDNAと親和性を持つことから31)、金ナノ粒子を用いたジー ンデリバリーを行うことができると報告されている 32)。しかし、同時にカチオン性の金ナノ粒子については、細胞毒性を有すること がわかっており33)、ナノ材料の生体応用への可能性と安全性は注 意深く見守る必要がありそうである。

5.金ナノ粒子を用いたタンパク質や生体リガンド のバイオセンシング

 金ナノ粒子によるバイオセンシングについても盛んに検討が行 われている。既に実用レベルで盛んに利用されているのは、生体 染色と同様で、金ナノ粒子の“色”を用いた、イムノクロマトグ ラフィーによるバイオセンサーである。金ナノ粒子は発色性がよ くかつ退色しないことから、保存安定性、判定の容易性、特別な 装置を必要としないなどの長所を発揮する。他の酵素発色法や蛍 光標識法などに比べて、センシングに有用である。現在は、妊娠 判定キット、糖尿病検査キットなど我々が薬局で目にするものか ら、医療機関で感染症の検査を受けるときに用いるものまで非常 に広く使われている。ここに具体的な方法とその例を示しておこう。

 イムノクロマトグラフィーのキットはターゲットに対して結合 する二種類の抗体を用いることによって作成することができる (図6)34)。ターゲットとなるタンパク質やウイルスを認識する二 種類の抗体を作成し、一つは金ナノ粒子(抗体1またはリガンド)、 もう一つ(抗体2)はクロマト用紙に結合させておく。試料溶液と 金ナノ粒子を混合してから、クロマトグラフィーの操作を行うと、 抗体1がターゲットを捉えて、金ナノ粒子と共に移動していく。こ のターゲットが抗体2によって捉えられると、ターゲットは抗体 1と2にサンドイッチされ、抗体2の場所に金ナノ粒子がターゲッ トと共に沈着し、スポットとして現れることになる。染色方法の 一種であるから、金ナノ粒子を用いる必要性があるわけではない が、高い発色性を生かすことによって、蛍光では考えられないよ うな高い検出感度を実現することが可能である。例えば、コレラ 毒素のBサブユニットのリガンドである、GM1のリポソームに金 ナノ粒子を内包させて、コレラ毒素のモノクローナル抗体と組み 合わせてセンシングを行った例を紹介しよう35) 。コレラ毒素と金ナノ粒子を含む溶液を用いて、クロマトグラフィーを行ったとこ ろ、fg/mlの濃度から、コレラ毒素はクロマト用紙上で明確なス ポットとして検出され、他のタンパク質とは明確に区別された。ま た、この分析に必要なのは20分足らずであり、PCR法を用いた コレラ菌の検出の方法に比べて遥かに早いことがわかった。 金 ナノ粒子の濃度を検出するスキャナーと組み合わせれば、金ナノ 粒子のスポットから毒素濃度の定量も可能である。このように、抗 体を結合させた金ナノ粒子を用いた検査の充実は、医療の向上に 多いに役立っている。現在も優れた抗体の開発や、抗体に変わる 生体リガンドの利用などによって、検査能力の向上が試みられて いる。

 ここで用いている金ナノ粒子の“色”について多少厳密に考え ると、金のプラズモン吸収が元になっているので、ナノ粒子の粒 径によって制御されている。したがって、均一な金ナノ粒子を用 いれば、分光機器と組み合わせて、敏感なバイオセンシングの系 を組み立てることができる。多価なタンパク質を用いた、センシ ングの系を挙げてみよう。ダイメリックなタンパク質であるトロ ンビンのリガンドを基板上に結合させ、ここにトロンビンを加え る36)。その後、トロンビンのリガンドを結合させた、粒径一定の 金ナノ粒子(12± 1 nm)を加えて、タンパク質の量をUVスペクトルと水晶発振子によって測定した。UVスペクトルの530 nm付近に金ナノ粒子に基づく吸収体が現れ、nmオーダーから、検出 することができた。また、同様にリガンドを固定化し、トロンビ ンと金ナノ粒子を加えたところ、トロンビンの検出を行うことが できた。一方で、ウシ血清アルブミンなどのタンパク質は検出さ れなかった。

 また、多価なタンパク質としてよく知られているのが、糖鎖認 識タンパク質であるレクチンである37)。レクチンは多種多様であ るが、通常、糖鎖認識部位はタンパク質中に複数あり、多量体の タンパク質であることが多い。金ナノ粒子にポリエチレングリ コールをリンカーとしてラクトースを結合させた。この金ナノ粒 子は水や緩衝溶液に安定に分散し、アルブミンを加えても変化な く分散していた。このタンパク質にラクトース認識レクチンであ る、RCA120を加えたところ、金ナノ粒子が凝集して、色調がピン クから紫色に変化した(図7)。また、吸光度の変化から μg/mlオーダーで、レクチンを検出できることがわかった。この認識性は金 ナノ粒子に結合させたラクトースの量によって変化した。そして、 この色調変化は過剰のラクトースを加えることによって、元に戻 ることがわかった。その他、マンノースを結合させた金ナノ粒子 とコンカナバリンAの組み合わせによっても、著しいUVスペク トルの変化が観察されることがわかっており38) 、 μg/mlオーダーからの検出が可能である。

 球状ウイルスもリガンドとの結合サイトが複数存在することか ら、多価な結合を利用し、微粒子による検出が可能である。磁性 微粒子をアデノウイルスやヘルペスウイルスの抗体と結合させる。 この水溶液に対して、ウイルスを加えていくと、それぞれのウイ ルスに特異的に、磁性微粒子が凝集することが動的光散乱によっ て観測された。結合の検出感度は未だ低いが、発色性に優れた金 ナノ粒子の利用や粒径の調節によって、球状ウイルスは鋭敏に検 出可能と予想される39)

 また、生体リガンド自体の弱い相互作用を金ナノ粒子で増幅し て、測定しようとする試みもある。生体ではペプチドとタンパク 質、糖鎖とタンパク質といった明確に知られている相互作用の他 に、タンパク間や糖鎖間の弱い相互作用の存在が知られており、細 胞間接着やシグナル伝達に大きな役割を果たしている。ルイスX 糖鎖、ラクトースを結合した金ナノ粒子を調製し、PBSバッ ファー中で混合した。ルイスX結合金ナノ粒子はCa2+ イオン存在下で、電子顕微鏡や動的光散乱によって、金ナノ粒子の凝集が観 察された。一方、ラクトースでは凝集は見られなかった 40)

 このように、金ナノ粒子の色調やUV活性を生かすことで、生 体相互作用を鋭敏に観察することが可能である。 医療の高度化、 ポストゲノムの解析のためのタンパク質の解析などに威力を発揮 することが期待される。

6.金ナノ粒子を用いたDNA解析

 現在、バイオテクノロジー分野において最も需要が多いのは、遺 伝子の解析である。遺伝子の解析は、ゲノム解析といった基礎科 学分野から、医療診断、そして、親子鑑定や犯罪捜査など使用例 を挙げればいとまがない。ゲノムの解析はPCR技術、DNAマイ クロアレイの発達によって、迅速化著しい。金ナノ粒子を用いた DNAの解析技術についてはどうであろうか。

 DNAは遺伝子として機能しているが、化学的には一本のDNA が相補鎖を伴って、二重らせんを形成する特性を有している。 DNAと金ナノ粒子のハイブリダイゼーションは、そもそも金ナノ 粒子のアーキテクチャーとして提示された。金ナノ粒子にDNAを 結合させて、金ナノ粒子と相補的なDNAと組み合わせた(図8) 41,42)。金ナノ粒子を一定の間隔で提示することができ、この金ナノ粒子 の分子集合体は温度によって可逆的に集合−解離することができ た。この方法は金ナノ粒子のナノ空間制御に優れた方法であり、金 ナノ粒子を利用したデバイスや回路の精密設計への利用を示唆し ている。現在は光リソグラフィーなどのトップダウン的なアプ ローチとDNAのナノアーキティチャーによって、精密な金ナノ粒 子配置が可能になっている。また、このように金ナノ粒子の配置 を精密に制御すると、金ナノ粒子同士の発色性などが粒子間距離 によって変化することから、DNAの相補鎖形成を金ナノ粒子で追 跡できると考えられた。

 12merのオリゴDNAを結合させた金ナノ粒子を調製し、ここ に相補的な配列を含むDNA鎖(24、38、72mer)を加えた(図9)。金ナノ粒子は単独では分散しているが、DNAの二重相補鎖の 形成によって、それぞれの金ナノ粒子が架橋され、凝集した 43)

10 nm程度の金ナノ粒子を用いている場合、凝集によるピークの 変化はわずかであるが、基板表面上で金ナノ粒子を凝集させると、 吸光度に著しい上昇が見られた。また、50〜100 nmの大きな金ナノ粒子をわずかに加えると、金ナノ粒子のピーク値に大きなシ フトが生じて、DNAの二重相補鎖の形成を色調変化で追跡するこ とができた44)

 また、DNAの解析では、遺伝子のわずかな違いを検出すること が重要である。例えば一塩基の違いが疾患に関与することが多い からである。15-mer DNAを結合したDNAに塩を加えていくと、凝集を観察することができるが、相補的なDNAを加えない系、相 補的なDNAを加えた系、ミスマッチのDNAを含む系ではその凝 集や色調に変化があることがわかった45)。そして、大変面白いこ とに金ナノ粒子と溶液の界面に位置する一残基の核酸(この場合、 5,末端の核酸)の違いで、凝集挙動には大きな差が見られた。完 全相補鎖DNAの場合には凝集に基づく、色調の変化があり、ピー クが525 nmから560 nmに変化するのに対して、一塩基違うDNAの場合はピークの変化は観察されなかった。ところが、ミス マッチをDNA相補鎖の中央部に含む場合にはその変化は殆ど観察 されなかった。このように金ナノ粒子の凝集と色調変化のみに基 づいて、ミスマッチの検出や位置の特定ができる可能性も示唆さ れている。

 相補鎖形成における金ナノ粒子の凝集は色調変化にも現れるが、 種々の機器を組み合わせた定量、精密測定も試みられている。 DNAを水晶発振子上に固定化して、そのDNAと相補的な金ナノ 粒子を加えて、その変化を観測した。DNA相補鎖の形成によって、 次々に金ナノ粒子が集積化して、10-10 Mオーダーの金ナノ粒子を加えるだけで、QCMの振動数変化となって現れ、基板上のDNA を同定することができた46)。同様の手法で、金ナノ粒子を表面上 に集積化すると、基板近傍に金ナノ粒子が集積化するため、イン ピーダンスの変化など、電気化学的手法による検知も可能であった。

 更にDNAマイクロアレイの可視化やDNAの二重相補鎖形成の 解析に用いることもできる。微細に固定化したDNAに相補的な DNAを有する金ナノ粒子を吸着させた。 二重相補鎖を形成する と金ナノ粒子がマイクロプレート上に結合する。金ナノ粒子を可 視化剤として用いると、ターゲットとなるDNAがpMレベルの低 い濃度から検出することが可能であった。また、金ナノ粒子の吸 収は530 nm付近であるが、530 nmだけでなく、630 nmのレーザーでも高感度検出が可能だった。さらに、動力学的解析を行っ たところ、二重相補鎖の形成は濃度依存的であり、協同的効果に よっても相補鎖形成の速度論が変化することがわかった 47)

 このようにDNA解析における金ナノ粒子の利用は多いに可能性 がある。未だ、金ナノ粒子の粒径制御といった物理化学的な側面 と、DNAの相補鎖の長さ、ミスマッチなどの影響の研究が混在し ている感がある。しかし、一つ一つの問題をクリアしていけば、そ の他のバイオセンシング同様、蛍光法などをしのぐ解析技術にな ると考えられる。

7.おわりに

 本小文では、金ナノ粒子のみにターゲットを絞り、その調製法 とバイオセンシングへの応用について最近の研究を概観した。ナ ノ粒子はそのサイズが生体分子のサイズであり、それ自体の取り 扱いにもこれまで生体系で応用されてきたテクニックが使われる ことも可能である。今後は、さらに金のみならず様々なナノ粒子 が生物科学分野に利用されてくると思われる。しかしながら、ナ ノ粒子の基本部分はここにご案内した内容が今後も基礎となって 展開されるものと考えている。今後、物理化学、ナノ粒子科学者 と生物科学者がひとつとなって、きわめて新しいアイデアのもと にナノ粒子のバイオ応用が展開されることを筆者らは期待し、本 小文が幾ばくかの貢献ができれば幸いである。

参考文献

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著者氏名 三浦 佳子(Yoshiko Miura)
年  齢 33歳
所  属 名古屋大学大学院工学研究科 助手
連絡先 〒464-8603 名古屋市千種区不老町
TEL:052-789-2538 FAX:052-789-2528
E-mail: miuray@mol.nagoya-u.ac.jp
出身校 京都大学大学院工学研究科材料化学専攻
学  位 博士(工学)
研究テーマ 生体高分子によるナノマテリアルサイエンス
著者氏名 米澤 徹(Tetsu Yonezawa)
年  齢 39歳
所  属 東京大学大学院理学系研究科 助教授
連絡先 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
TEL & FAX: 03-5841-2356
E-mail: yonezawa@nanoparticle.info
出身校 東京大学大学院工学系研究科工業化学専攻
学  位 博士(工学)
研究テーマ 金属ナノ粒子の調製と応用、シリコン表面を用いた 単分子膜形成、ナノマテリアルサイエンス
主な著書 「金属ナノ粒子の合成・調製、コントロール技術と最適 応用」、米澤 徹 監修、技術情報協会 (2004).

Tetsu Yonezawa, メWell-dispersed Bimetallic Nanoparticles -Nanoparticles of Noble Metals Synthesized in Liquid Phaseモ in メMorphology-Controlled Materials ~ Advanced Materials Processing and Characterizationモ, Y. Waseda and A. Muramatsu Eds., Chapter 4, Springer-Verlag, Berlin, pp. 85-112 (2004).

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