新製品
<特長>
・ ヘモグロビンと反応しない。
・ 産生されたホルマザンは水溶性が高い。
・ 特殊な機械を必要とせず、結果の確認が目視でできる。
・ マラリア流行地のような電気が供給されていない地域でも測定ができる。
・ MTTホルマザン法では測定できなかった20-50%程度の欠損者に対しても測定できる。
・ マイクロプレートリーダーなどを利用して、少量の試薬で正確な酵素活性を定量的に測定できる。
<はじめに>
G6PD異常症とは、グルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)の活性が著しく低いため、ヘモグロビンの変性が起こり、溶血性貧血の症状を呈する病気です。G6PDの構造を決定する遺伝子はX染色体に存在し、伴性劣性遺伝の形式を取るため、発症はほとんどが男性です。世界中ではおよそ4億人がG6PDの異常遺伝子を持っているとみなされています。G6PD異常症患者は、平素は無症状ですが、マラリア薬として使用されているプリマキンを服用すると、溶血性貧血を引き起こしてしまいます。従って、マラリア流行地域における住民のG6PD異常症の確認は、大変重要な課題となっています1)。
G6PD異常症の確認には、今日までに多くの方法が発表され、蛍光スポット法2,3)、ホルマザン基質の3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H tetrazolium bromide(MTT)と発色試薬の phenazine methosulfate(PMS)を使ったホルマザン法 4,5,6) などが知られています。しかしながら、いずれの方法でも種々の問題を抱えているのが実情です7, 8)。
今回開発したG6PD Assay Kitは、ホルマザン基質である2-(2-methoxy-4-nitrophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5- (2,4-disulfophenyl)-2H tetrazolium monosodium salt (WST-8)を用いている為、へモグロビンと反応せず、G6PD異常症を簡便に判定することが可能となりました(Fig. 1)。
Fig.1 G6PD発色の原理
また、WST-8のホルマザンは水溶性で460 nmに最大吸収を有し、強い橙色を呈するため目視で発色結果の確認が出来ます。従って、マラリア流行地のような電気が供給されていない地域でも、電源や高価な機器類を一切必要とすることなく、その場で測定が可能です。更に本法は、MTTホルマザン法では測定できなかった20-50%程度の欠損者に対しても測定できるようになりました(Fig. 2)。また、電気が供給されている都市部では、マイクロプレートリーダーなどを利用して、少量の試薬で正確な酵素活性を定量することも可能です(Fig. 3)。
| A: G6PD欠損血液(<0.1 IU/g Hb) |
| B: 2 IU (25% activity) |
| C: 4 IU (50% activity) |
| D: 6 IU (75% activity) |
| E: 正常血液, 8 IU (100% activity) |
| Fig.2 発色例 (25℃で15分間反応) |
Fig.3 血液サンプルの発色の時間的増大
<キット内容>
・ Substrate mixture 2 ml×5本
・ Dye mixture 2 ml×5本
*別途必要な器具・試薬は、20 μl, 1000 μl マイクロピペットとチップ、1.5 mlマイクロチューブ、蒸留水および1 mol/l HClです。
<測定操作>
1) 1.5 mlマイクロチューブに蒸留水760 μlを入れ、これにSubstrate mixture 20 μlとDye mixture 20 μlをそれぞれ添加し、よく振り混ぜる。
2) 1)のチューブにサンプルの血液を5 μl添加し、5秒間よく振り混ぜる。
3) 25℃〜35℃で15分間インキュベートする。
4) 1 mol/l HClを10 μl添加し、反応を止める。反応停止後、目視で溶液の発色を、ポジティブコントロール溶液*1及び、ネガティブコントロール溶液*2と比較し、活性を判定する。
*1 ポジティブコントロール溶液は上記操作の中で操作2)の血液に、G6PDの活性が正常値を示す血液を使用して用時調製する。
*2 ネガティブコントロール溶液は上記操作の中で操作1)でSubstrate mixture は添加せずに用時調製する。操作2)で使用する血液はいずれでもよい。
<注意事項>
1.本キットは、冷凍にて保存してください。品質の劣化を防ぐ為に、融解後は冷蔵の場合は1ヶ月以内に、常温の場合は10日以内にご使用下さい。
2.多くの検体を測定する場合、操作1)を簡略化するためにSubstrate mixture 2 mlとDye mixture 2 mlを76 mlの蒸留水で希釈し(Total 80 ml)、1.5 mlのマイクロチューブに800 μlずつ小分けして保存されることをお薦めします。希釈後も冷凍・遮光で保存して下さい。もし、冷蔵で保存される場合は、必ず遮光し、3日以内にご使用下さい。
3.HClを添加し、反応を停止することで、目視でも、正常値の50%の活性しか持たないサンプル血液も容易に判別することができます。
4.マイクロプレートリーダーを用いれば、450-460 nmの吸光度を測定することで、活性を数値化することが出来ます。その際は、より正確な分析の為に、血液中のヘモグロビン量を測定することをお薦めします。
5.本品は試験研究用です。診断用には使用できません。
参考文献
1) A. Ishii, et al., Japanese Journal of Parasitology, 43, 312 (1994) .
2) E. Beutler, Blood, 28, 553 (1966).
3) E. Beutler and M. Mitchell, Blood, 32, 816 (1968).
4) V. Fairbanks and E. Beutler, Blood, 20, 591 (1962).
5) H. Fujii, et al., Acta Haematologica Japonica , 47, 185 (1984).
6) A. Hirono, et al., Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene, 26, 1 (1998).
7) I. S. Tantular, et al., Tropical Medicine and International Health, 4, 245 (1999).
8) A. Pujades, et al., Int. J. Hematol., 69, 234 (1999).
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