Q&A
Biopyrrinsの尿中排泄量は、生体内の酸化的状態を反映すると 考えられ、ストレスマーカーとしても報告されています。
このキットは抗ビリルビンモノクローナル抗体を使用し、inhibition ELISAにより尿中Biopyrrinsを簡便に測定できます。
Q1. Biopyrrin EIA Kitは尿をサンプルとして測定しますが、尿の種類(早朝尿、2番尿、蓄尿など)はどれを使用するのが よいのでしょうか?
A1.一般論としては「早朝第一尿」を用いるのが普通です。しか し、実際のところ早朝第一尿の採取は困難なため、随時尿を 用いている例が多く見られます。
蓄尿も出来れば良いのですが「サンプリング後すぐに遮光 凍結」することが難しいので用いられません。
Q2. 尿採取にあたって添加剤(抗酸化剤等)は必要でしょうか?
A2.抗酸化物の添加は行わず、「採取後、すぐに遮光凍結する」よ うにして下さい。Biopyrrinsは1種類の物質ではなく、ビ リルビンの分解物の物質群です。そこに含まれる物質には 安定なものと不安定なものがあると考えられています。特 に高値の検体で不安定な場合が多く、経時的に値の低下の みられる場合があります。しかし、抗酸化物を添加するだけ では、その分解を止めることは難しいと考えます。
Q3. マウスやラットなどの血中のBiopyrrinsの測定は可能で しょうか?また細胞培養上清中のBiopyrrinsは出来ますか?
A3. 本キットはヒトの尿中Biopyrrinsを測定する事を前提とし て開発されていますので、動物での応用が可能かどうかの 検討はされておりません。
血清サンプルにおいては、ビリルビンとも反応します。
Biopyrrin EIA Kitの原形ともいえる方法では、数報の論文が出されていますが、キットを使用して培養上清の測定を検討 した際に、定量性に不具合がみられることもありました。
ヒト尿サンプル以外での測定を検討される際は、お問い合 わせください。
Q4. 本キットで測定したBiopyrrin量を濃度表示で表すことは可 能でしょうか?(例えばμmol/lのような表記法)
A4. 厳密な意味では、μmol/lのような濃度表記で表すことはで きません。ただし、本キットの試薬の設定は、原法の 1 μmol/l
のものが 1 u/lになるようにしてありますので、u/lを μmol/l と記載している論文もあります。
しかし、ここでいう 1 μmol/l は、Biopyrrinsがサンプル中にそのモル数含まれているということを必ずしも示してい るのではなく、試薬に使われている抗体に対して、サンプル
中のBiopyrrinsが「1μmol/l のビリルビンと同じ強さの抗原抗体反応を示す」ということを示しています。 従って、抗体に対するビリルビンの反応性とBiopyrrinの反
応性に差があれば、当然その分だけ実際の1 μmol/l からはずれると考えられます。その差がどの程度のものであるか は今のところ分かっていません。また、Biopyrrinsは、ビ
リルビン分解物の混合物であり、それぞれの物質について 反応性の差はあると思われますが、確認はされていません。
Q5. 本キットで測定されるものから、ビリルビンのみを除外で きますか?
A5.ビリルビンだけ除外する方法は、いまのところ確立されて いません。サンプル中にビリルビンがあれば、反応し、正誤 差を生じてしまいます。
Q6. 第2反応停止液を加えなくても問題無いでしょうか?
A6. これを入れないと反応が進行しますので、データのばらつ きが生じます。データのばらつきを押さえる意味でも各ウェルの反応時間を正確にあわせて入れて下さい。
参考文献
1) Yamaguchi T., et al., Bilirubin oxidation provoked by endotoxin treatment is suppressed by feeding ascorbic acid in a rat mutant unable to synthesize ascorbic acid, Eur. J. Biochem., 245, 233 (1997).
2) 山口登喜夫、杉本昭子、酸化ストレスと生体防御機構一バイオピリンを含 めて、臨床検査、45, 237 (2001).
3) Yamaguchi T., et al., psychological stress increases bilirubin metabolites in human urine, Biochem. Biophys. Res. Commun., 293, 517 (2002).
(メーカー:株式会社シノテスト) |