Q&A
DNAは紫外線や化学物質、生体内の活性酸素などにより損傷を 受ける。この損傷が正しく修復されないと突然変異を誘発し、癌 や老化の原因ともなる。DNA損傷の修復機構の一つに塩基除去修
復があり、この時AP siteと呼ばれる塩基除去部位が出現する。このAP siteの検出はDNAの損傷部位を測定し得る有効な方法であ る。
このキットはAP siteと特異的に結合するARPによるビオチン化を行ない、検体DNA中のAP siteを簡便に定量できる。
Q1. DNA Damage Quantification Kitに含まれるARP 溶液の濃度はどれくらいですか?
A1.ARP solution: ARP 5 mg/1.5 ml H2O になっています。
Q2. DNA固定用にアミノプレートとしてELISA用プレートア ミノを用意したのですが、使用出来るでしょうか?
A2.基本的には大丈夫です。実際にアミノプレートを用いてAP サイトの検出を行っている例があります。ただし、BSA等 によるブロッキングが必要になってくるかもしれません
A.Kanazawa et al., Cancer Letters, 156, 51 (2000).
K.Kubo et al., Biochemistry, 31, 3703 (1992).
Q3. Filtration tubeの分画分子量はどのくらいですか?
A3. キットの中に入っているチューブの分画分子量は30Kです。
Q4. DNAの精製度が1.8以上を推奨されていますが、1.5程度 でも測定は可能ですか?
A4. 1.5では確認していませんので、保証は出来ません。1.6〜 1.7のDNAで測定した結果、大きなバラツキは見られてませんでした。推奨として1.8としています。
精製度が低いということは、タンパクの混入が考えられる と思います。タンパクはブロッキング作用を持ち、DNAが プレートに吸着するのを妨げる可能性があります。
Q5. 抽出したDNAをARP化せずに保存することは可能ですか?
A5.溶液状態での保存はAP siteが増えてくるので注意が必要です(冷蔵、冷凍の両方)。
エタノール沈殿を行い、ペレット状にして冷凍保存して下 さい。
AP 部位は確かに切断が起こりやすい部位です。ただcaralist freeの状態で保存されていれば、3'側に切断があってもARPの検出には支障ありません。むしろ抽出DNAが
凍結状態以外の環境下で保存されていた場合、自然に起こ る脱塩基によって形成されたAP部位の問題の方が重要にな ります。この場合、サンプルに同一条件下で保存されていた
標準DNAが含まれる場合は補正が可能になります。ARP修飾後のAP部位は安定ですので、抽出後の速やかなARP 処理をおすすめします。
Q6. 洗浄用PBSTの保存方法が室温になっていますが、安定性 はどの程度でしょうか?
A6. 室温で半年以上持ち、かなり安定です。長期保存すると白い 濁りが出てくる場合がありますが、測定には影響はありま せん。冷蔵保存の場合は沈殿が出てくる可能性があります。
Q7. 標準DNA の長さはどのくらいですか?
A7. キットに用いている標準DNAはウシ胸腺DNAを精製した もので、長さは大体20 kbp程度です。
文献に従いAP buffer(pH 5.0のクエン酸バッファー)中で一定時間熱処理を行って生じさせています。
H.Ide,et.al.,Synthesis and Damage Specificity of Novel Probe for Detection of Abasic Sites in DNA, Biochemistry, 32, 8276 (1993).
Q8. 40 AP sites/100,000以上のstandard solutionを作成することが出来ますか?
A8. 弊社では50 AP sites/100,000までのARP-DNAを調製したことはありますが、それ以上はありません。キットのスタ
ンダードDNAは0〜40 AP sites/100,000 です。
理論的にはそれ以上のARP-DNAを調製することは可能です が、検量線の直線性がどこまで保持されるか保証できません。
高いレベルの塩基傷害を検出するには、サンプルDNAを同 じ濃度の傷害のないDNA、つまり0 ARP-DNAでキットの測定レンジに希釈してアッセイを行い、その後に実際のAP
数を換算して求める方法がよいのではないかと思います。
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